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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] マラッカ・シンガポール海峡の航行安全に関するインドネシアとマレイシア及びシンガポール3国共同ステートメント

[場所] マニラ
[年月日] 1977年2月24日
[出典] 外交青書22号,407−408頁.
[備考] 仮訳
[全文]

 インドネシア,マレイシア及びシンガポールの外務大臣会議は,マラッカ・シンガポール海峡における航行安全の増進並びに汚染防止対策及び措置に関する密接な協力及び協調の促進のための措置を検討するため,1977年2月24日マニラにおいて開催された。

 インドネシア外務大臣アダム・マリク閣下,マレイシア外務大臣トゥンク・アーマド・リタウディン閣下及びシンガポール外務大臣S・ラジャラトナム閣下が会議に参加した。

 外務大臣は,1976年12月20,21両日ジャカルタで開催された高級官吏会議の報告を検討かつ考査し,並びに以下の勧告を採択しているマラッカ・シンガポール海峡の航行安全に関する協定に署名した。

1.船舶は,マラッカ・シンガポール海峡通航の間は常時,最低3.5メートルの余裕水深(UKC)を維持し,かつ,特に危険水域航行の際にはあらゆる必要な安全措置をとるものとする。

2.マラッカ・シンガポール海峡の3カ所の危険水域,即ちワン・ファゾム・バンク水域,メイン・ストレート及びフィリップ水道並びにホースバー灯台沖における航行分離方式(TSS)の設定

3.深喫水船,即ち喫水15メートル以上の船舶は,バッファロー・ロックまでのシンガポール海峡においては指定された深喫水航路(DWR)を通航することととし,また,バッファロー・ロックから,バツ・ベランティまでの水域では特定の航路を航行することを勧告される。その他の船舶は,緊急時を除き,深喫水航路に進入しないことを勧告される。

4.航行分離方式の効果的かつ効率的な実施のため,航行援助施設は改良される。

5.大型船舶のため現在行つている任意の通報の手続及び制度は継続される。

6.シンガポール海峡の危険水域における任意水先の原則は適用される。

7.巨大タンカー(VLCC)及び深喫水船は,危険水域通航の間,12ノットを超えない速度で航行することを勧奨され,かつ,深喫水航路においては追い越しが禁止される。

8.海図及び潮流・潮汐のデータは改善される。

9.1972年国際海上衝突予防規則の規則10は,実施できる限り航行分離帯で適用される。

10.航行分離方式の実施は,沿岸国に財政的負担をかけないものとし,必要な資金は利用者が負担する。

11.海洋汚染処理のための共通政策が作成される。

12.マラッカ・シンガポール海峡を航行する全てのタンカー及び大型船舶は,保険及び補償制度により然るべく保証されるものとする。

  インドネシア,マレイシア及びシンガポールの外務大臣は,フィリピン共和国政府に対し,マニラでの会議のため与えられた便宜に関し,謝意を表明した。