[文書名] ビルマ連邦社会主義共和国と日本国との間の共同コミュニケ
1.日本国総理大臣福田赳夫閣下夫妻は,ビルマ連邦社会主義共和国大統領ネ・ウイン閣下及び同国首相マウン・マウン・カ閣下の招待により,1977年8月10日から12日まで,ビルマ連邦社会主義共和国を公式訪問した。
総理大臣には,外務大臣鳩山威一郎閣下,官房長官園田直閣下,通商産業大臣田中龍夫閣下ほか政府高官が随行した。
2.(1) 福田総理大臣は,8月10日,ネ・ウイン大統領を往訪し,親密且つ友好的な雰囲気のもとで会談を行つた。会談において,両首脳は,両国間に存在する友誼と相互信頼の関係を再確認すると共に,両国が相互に関心を有する諸問題及び現下の国際情勢について意見を交換した。会談にはビルマ側から,国家評議会書記サン・ユ大将,タウン・チイ国家評議会委員,マウン・マウン・カ首相及びフラ・ポン外務大臣が同席した。
(2) 福田総理大臣は,更に8月11日,マウン・マウン・カ首相と会談を行い,双方が共通に関心を有する諸問題について話し合つた。会談では,主として二国間の問題がとりあげられた。
会談には,ビルマ側からは,チイ・マウン保健・情報大臣,フラ・ポン外務大臣,イエ・ガウン農林大臣,マウン・チョウ第2工業大臣,フラ・エイ貿易大臣,ティン・スエ第1工業大臣,タン・セイン計画・財務大臣ほか政府高官が出席した。
(3) なお,上記の二つの会談には,日本側から鳩山外務大臣,園田官房長官,田中通商産業大臣ほか政府高官が同席した。
3.会談において,両国首脳は,今日の世界では,すべての国々が増々相互依存の関係に立ちつつあることをあらためて認識するとともに,各国が,相互に協力しつつ,恒久の平和と繁栄という共通の目標に向つて,引き続き努力を払つてゆくことが肝要であるということについて,意見の一致をみた。
4.両首脳は,最近の国際情勢,就中,アジア情勢について率直な意見交換を行つた。双方は,平和,安定及び繁栄が,世界の平和の維持に不可欠であることに留意するとともに,アジアのすべての国が協調と連帯の精神にのつとり,また,領土保全,政治的独立の尊重及び内政の不干渉に基づいて相和して努力して行くことが,平和で豊かなアジアの建設のために重要である旨を再確認した。
5.福田総理大臣は,ネ・ウイン大統領及びマウン・マウン・カ首相との会談において,東南アジア諸国との間に協調と連帯の精神に基づいて,親しい隣人関係を築いてゆくことが日本の外交の基本的目的の一つである旨を表明した。総理大臣は,また,日本が,ビルマ及びその他の東南アジア諸国の開発のための自主的な努力に対し,可能な限り寄与してゆくことを基本的方針としていることを,確認した。
6.福田総理大臣は,先般のASEAN諸国首脳との話し合いについて説明するとともに,日本としては,ASEAN諸国の自主独立の精神ならびにこれら諸国の域内調和の促進強化と,地域の発展の達成に向けられた積極的努力を高く評価している旨述べた。
7.福田総理大臣は,ビルマ政府及び国民が国家建設のため不断の努力を継続していることに敬意を表すると共に,その成功を祈念した。この関連において総理大臣は,日本国政府がビルマの発展と繁栄のために,引続き積極的な協力を行つてゆく旨を確認した。
8.ビルマの指導者は,日本が,ビルマ及びその他の東南アジア諸国の発展への努力の実現のために,可能な限り寄与してゆきたいとの基本政策を彼らに伝えた福田総理大臣の友好的な配慮を多とした。
9.両国首脳は,日緬両国間において,その伝統的友好関係が,相互協力及び互恵の原則に基づき,多くの分野において着実且つ円滑な進展を遂げてきたことに,満足の意を表明した。双方は,これまで日本からビルマ側に供与された経済・技術協力が,ビルマの社会・経済の発展に寄与したことに満足の意を表するとともに,貿易関係の面においても,両国の関係の一層の拡大が望まれることについて,合意をみた。双方は,また両国間の友好協力関係が,今後,相互に関心のある全ての分野において強化拡大されることが望ましいと述べた。
10.両国首脳は,今回の福田総理大臣夫妻のビルマ連邦社会主義共和国訪問が,すでに存在する両国間の友好・協力関係の一層の増進に大きく寄与したことに満足の意を表明するとともに,今後とも両国の首脳間の個人的接触が一層深められることを強く希望した。
11.(1) 福田総理大臣は,ビルマ滞在中に,同総理大臣夫妻及び随員一行がビルマ側から受けた暖かい歓迎と厚遇について,ネ・ウイン大統領閣下及びマウン・マウン・カ首相閣下,並びにビルマ政府及び国民に対し深甚なる感謝の意を表明した。
(2) 福田総理大臣は,双方にとり都合のよい時期に,ネ・ウイン大統領閣下及びマウン・マウン・カ首相閣下が日本を訪問するよう招請し,同大統領及び同首相は,この招待を,深甚なる謝意をもつて受諾した。