[文書名] 福田総理大臣のインドネシア訪問に際してのプレス・リリース
1.福田赳夫日本国総理大臣は,スハルト・インドネシア共和国大統領閣下夫妻の招待により,夫人とともに1977年8月12日から14日まで,インドネシア共和国を公式訪問した。福田総理大臣夫妻には,鳩山威一郎外務大臣,園田直内閣官房長官,田中龍夫通商産業大臣の他政府の高官が随行した。
2.福田総理大臣は,8月13日スハルト大統領と会談し,両友好国が共通の関心を有する国際的,地域的な幅広い諸問題及び二国間に存在する諸問題について意見交換を行つた。この首脳会談には,日本側より鳩山外務大臣,園田内閣官房長官,田中通商産業大臣,インドネシア側よりマリク外務大臣,ウィジョヨ経済・財政・工業担当国務大臣,ラディウス商業大臣,ユスフ工業大臣,トイブ農業大臣及びスダルモノ国家官房長官が出席した。
3.福田総理大臣は,今回の訪問によつて,日本とインドネシアとの間に存在する友好関係が,歴史的・地理的・文化的要因に深く根ざしたものであることを改めて認識し得たことを喜ぶとともに,このような両国間の友好関係を更に揺ぎないものとするために,日本国政府がインドネシア共和国政府と,政治,経済,文化等あらゆる分野にわたつて一層緊密な協力を行つてゆく用意があることを明らかにした。
4.福田総理大臣は,インドネシアの経済・社会開発への努力を高く評価するとともに,日本国政府としては,かかる努力に対し,引き続き協力してゆく意向であるとの考えを再確認した。
5.福田総理大臣は,両国間の大型協力プロジェクトたるアサハン・アルミ・プロジェクトが順調に建設段階に入りつつあることを評価するとともに,今後とも同プロジェクトが両国間の緊密な協力によつて円滑に進捗してゆくことを希望した。総理大臣は,また,両国間の協力の下に実現されたLNGプロジェクトが,幾多の困難を克服して,今般,そのLNG第一船の日本への運航まで漕ぎ着けたことを高く評価した。
総理大臣は,今後とも,日本からインドネシアに対する民間直接投資が,インドネシアの経済・社会開発の必要に見合つた形で促進されることを期待した。
6.福田総理大臣は,日本とインドネシアとの間の貿易の安定的な拡大が両国各々の利益に適うものであるとの認識の下に,日本国政府としても,かかる健全な両国間貿易の発展のためにできる限りの努力を払うとともに,企業側における各種の努力を支持することを明らかにした。
7.総理大臣は,日本国政府が,両国間の文化的交流の重要性に対する認識に基づき,今後ともインドネシア共和国政府との協力によりこの面における交流を促進するとともに,民間におけるそのための努力を支援することを明らかにした。
この関連で,両国民の間の文化交流を一層強化するための具体的方策が検討されている。
8.福田総理大臣は,今回の訪問中,スハルト大統領夫妻を初めインドネシア国民が,総理大臣夫妻及びその随員一行に対して示した暖かいもてなしに深く感謝した。
9.総理大臣は,スハルト大統領夫妻に対し,双方にとつて都合の良い時期に日本を訪問するよう招待した。大統領は,喜んで招待を受けることを明らかにした。
スハルト大統領と福田総理大臣のメッセージ(仮訳)
(1977年8月14日,ジャカルタ)
インドネシア共和国スハルト大統領と日本国福田総理大臣は,福田総理大臣のインドネシア公式訪問を通じ,日イ関係の将来への展望につき次の諸点について認識を共にした。
1.日イ両国は協調と連帯の精神に則り,ともにアジアひいては世界の安定と平和のために寄与したい。
2.両国は国際社会における各々の責任を自覚し,排他的に走ることなく諸分野における一層緊密な協力関係を世界の平和と繁栄に貢献するよう発展させたい。
3.両国の関係をより一層安定した基礎の上に構築するため,経済の分野にのみ限らず広く社会,文化,学術,スポーツその他の面での一層緊密な協力関係を活発化し,福田総理大臣のインドネシア訪問に反映されたような両国民各層の間の心と心の触れ合いを促進したい。
4.両国は相互信頼の下に,対等な協力者としてその関係を発展させたい。