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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 福田赳夫内閣総理大臣のフィリピン訪問に際してのプレス・リリース

[場所] マニラ
[年月日] 1977年8月18日
[出典] 外交青書22号,373−374頁.
[備考] 仮訳,抜粋
[全文]

1.福田赳夫日本国総理大臣は,フェルディナンド・E・マルコスフィリピン共和国大統領閣下の招待により,夫人とともに1977年8月17日及び18日,フィリピン共和国を公式訪問した。福田総理大臣夫妻には,鳩山威一郎外務大臣,園田直内閣官房長官,田中龍夫通商産業大臣の他政府の高官が随行した。

2.福田総理大臣は,8月17日及び18日マルコス大統領と会談を行い,両友好国が共通の関心を有する国際的,地域的な幅広い諸問題及び二国間に存在する諸問題について意見交換を行つた。この首脳会談には日本側より鳩山外務大臣,園田官房長官,田中通商産業大臣,フィリピン側よりロムロ外務長官,ヴィラタ財務長官,キアソン通商長官,シカット国家経済開発長官,タタド情報長官,アスピラス観光長官,パテルノ産業長官,レイド天然資源長官が出席した。

3.総理大臣は,今回の訪問によつて,日本とフィリピンとの間に存在する友誼と相互信頼との関係を改めて確認し得たことを喜ぶとともに,このような両国間の友好関係を更に揺ぎないものとするために,日本国政府がフィリピン共和国政府と政治,経済,文化等あらゆる分野にわたつて一層緊密な協力を行つてゆく用意があることを明らかにした。

4.総理大臣は大統領より現在フィリピンで推進されている諸開発計画につき説明を受けた。総理大臣は,マルコス大統領の有能な指導のもとでフィリピン国民が払つている開発努力を高く評価するとともに,日本国政府としては,かかる努力に対し,引き続き協力してゆく意向であるとの考えを再確認した。この関連において,大統領は,フィリピン政府が日本の協力を求めたいプロジェクトのリストを提案した。このリストは,農業,社会サービス,医療施設,文化,教育,及びマンパワーの諸分野におけるプロジェクトを含んでいる。総理大臣は,日本国政府は,提案されたプロジェクトにつき,更に検討する旨述べた。

5.総理大臣は,今後とも日本からフィリピンに対する民間直接投資が,フィリピンの経済・社会の発展に見合つた形で促進されることを期待した。

6.総理大臣は,日本とフィリピンとの間の貿易の安定的な拡大が,両国各々の利益に適うものであるとの認識の下に,日本国政府としても,かかる健全な両国間貿易の発展のためにできる限りの努力を払うとともに,企業側における各種の努力を支持することを明らかにした。

7.福田総理大臣は,現在両国政府間で行われている友好通商航海条約の改定交渉を重視し,両国政府が,本件につき引き続き緊密に話し合うことによつて,双方に満足のゆく形で合意が得られることを希望した。

8.福田総理大臣は,近年のように日本とフィリピンとの経済関係が緊密になればなるほど,両国関係を更に幅広い基盤の上に築くためのあらゆるレベルでの両国国民間の交流が愈々重要になつてきているという認識の下に,日本国政府としては,今後ともフィリピン共和国政府との協力により人的,文化的交流を促進するとともに,民間における友好親善のための努力を支援することを明らかにした。