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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 民主カンボディア連合政府樹立宣言

[場所] クアラルンプール
[年月日] 1982年6月22日
[出典] 外交青書27号,479−480頁.
[備考] 
[全文]

 1981年9月4日にシンガポールで発表された共同声明に基づき、ノロドム・シアヌーク親王殿下、ソン・サン閣下、キュー・サムバン閣下は、民主カンボディア連合政府樹立に合意した。

  趣旨

 民主カンボディア連合政府の趣旨は次の通り。

1.すべての勢力を動員して共に闘い、祖国を主権と独立を有する国に戻すため、ヴィエトナム侵略者の手中からカンボディアを解放する。

2.カンボディアをめぐる国際会議の宣言と国連の関連諸決議を実行する。

  行動準備

1.民主カンボディア連合政府は飽くまでも、国連加盟国としての民主カンボディア国家の合法性と機構の枠内のものである。したがって、民主カンボディア連合政府は、国連における民主カンボディアの議席を守るために努力する。

2.民主カンボディア連合政府に参加する3者は、公明に供与された国際援助を受け入れ 管理する権限を有し、それぞれの組織、政治的独立、行動の自由を保持する。民主カンボディア連合政府は、こうした自治に反し、あるいは制限するいかなる決定をも下す権利をもたない。

3.民主カンボディア連合政府は、三派精神の原則、平等の原則、非優位(いかなる一方も支配権を持ってはならない)の原則の下に活動を繰り広げる。

4.民主カンボディア連合政府は、重大問題については話合いで合意に達する原則の下で活動する。その重大問題とは次のとおりである。

(1)カンボディア問題の解決。

(2)国際条約と協定。

(3)カンボディア問題の解決を討議する代表団を含む重要代表団の派遣。

(4)民主カンボディア連合政府の機構、構成の変更。

(5)民主カンボディアの各国駐在、国際機構駐在の大使若しくは代表の派遣。民主カンボディアの外交活動の秩序と効力を保証するため、民主カンボディア連合政府樹立後6ヵ月内は、現在の民主カンボディアの大使あるいは代表の更迭を提出してはならない。

5.いかなる一方も、上述の条項の決定あるいは活動に反した場合、無効となる。

  民主カンボディア連合政府の構成と活動

 民主カンボディア連合政府は、閣僚会議を通じて権力を行使する。

 三派精神の原則、平等の原則、非優位の原則に基づく閣僚会議は、内閣の中核と一部協調委員会によって構成される。

1.内閣の中心メンバーは次の通り。

(1)議長ノロドム・シアヌーク殿下。

(2)副議長キュー・サムバン閣下(外交担当)。

(3)首相ソン・サン閣下。

2.次の協調委員会を設置する。

(1)財政・経済

(2)国防

(3)文化・教育

(4)衛生・社会

 各協調委員会は、3者から閣僚クラスのもの1人ずつ、計3人によって構成されるが、これら協調委員会委員の職位は、内閣構成の一部分ではなく、内閣の中心に属する。

 民主カンボディア連合政府閣僚会議はカンボディアで例会を開き、非常事態の場合には特別会議を開く。会議は民主カンボディア連合政府の議長、副議長あるいは首相によって召集され、内閣の中心メンバー3人は順番に議長を担当する。

 閣僚会議の中央は、民主カンボディア連合政府の行動準則に関する解釈と実行に際して相違点があれば、討議、解決し、解決できない場合には、3者の代表が話合いによって解決策を作り出し、民主カンボディア政府を責任をもって維持してゆく。

 上述の行動準則に従う中で、もし解決不可能な事態となり、民主カンボディア連合政府が役割を果たせなくなった場合、3者はそれぞれ連続性を維持し、行動の自由の権利を保持する。その事態の下では、民主カンボディア国家の持続性を確保するため、現在キュー・サムバン閣下によって指導されている民主カンボディアが、唯一の合法的なカンボディア国家であり、国連の加盟国として活動を回復する権利をもつ。