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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] キエット・ヴィエトナム首相主催晩餐会における村山内閣総理大臣の挨拶

[場所] 
[年月日] 1994年8月25日
[出典] 村山演説集,128−129頁.
[備考] 
[全文]

キエット首相閣下、

並びに御列席の皆様、

 今般、キエット首相閣下のお招きにより、日本の総理として、初めてヴィエトナムを訪問し、先程、キエット首相閣下との間で、未来に向けての幅広い日越友好・協力関係のあり方について極めて有益な会談を行うことが出来ました。昨年のキエット首相閣下の日本訪問と合わせ、今般の私のヴィエトナム訪問により、貴国と日本との長い歴史の中で、まさに確固たる日越新時代の礎を確立出来たものと喜んでおります。

 本日、空港からの道すがら、あるいは公式行事からの行き帰りに、生き生きとした目で、汗を流して国造りに励んでおられるヴィエトナムの方々の姿に深い感銘を受けました。

 今、貴国では、「おしん」が、テレビで全国放映されて、人気を得ていると聞いております。私を含めて、同世代の日本国民にとって、「おしん」は国造りに励んだ昔の労苦の日々を思い出させるドラマであります。「おしん」世代の人々が、日本の戦後復興、経済発展を支えたといっても、過言ではありません。

 貴国の発展の為には、海外からの資金や技術の導入に加え、優れた人材を養成することが必要であります。ハノイ市内にある文廟には「賢材は国家の元気なり」と記した石碑が残っていると伺っております。その言葉に象徴されるように、国家建設に当たっての人造りの重要性は、申すまでもなく、日本はこの分野でも協力をすすめていきたいと考えます。

 もともと、両国国民は、箸を使い、米を主食とし、お茶を飲むことでも、その共通性があげられています。こういった文化的共通性の上に立ち、両国国民は必ずや、相互理解、相互信頼に基づく幅広い友好・協力関係を更に深めていくことを、私は確信しております。

キエット首相閣下、

並びに御列席の皆様、

 本日は、心温まる歓迎を頂くとともに、素晴らしい歓迎宴を催して頂き、ありがとうございます。

 最後に、貴国の輝かしい未来と日越両国の今後の益々の友好の為に、またキエット首相をはじめとする御列席の皆様方の健康を祝し、杯をあげたいと思います。乾杯。