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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] マハディール・マレイシア首相主催晩餐会における村山内閣総理大臣の挨拶

[場所] 
[年月日] 1994年8月27日
[出典] 村山演説集,130−131頁.
[備考] 
[全文]

マハディール首相閣下、令夫人、

並びに御列席の皆様、

 今夕は、私共のために、かくも盛大な晩餐会を催していただき、また只今は、マハディール首相閣下より心暖まるお言葉を頂き、心より御礼申し上げます。本日は、ジャアファー国王陛下に謁見を賜り、またマハディール首相との会談で、二国間関係及び国際問題についての率直な意見交換を行う機会を得ました。本日は、今後の日・マレイシア両国関係を発展させていく上で大変有意義な一日であったと確信しております。

首相閣下、

 この度の訪問は、私にとり、東南アジア地域を訪れる初めての機会でありますが、この美しい貴国を訪問できましたことは、私の大きな喜びとするところであります。貴国は、独立以来、十代の国王陛下のもと、また貴首相を始めとする四代の首相による現実的かつ聡明な政治的リーダーシップに導かれ、確固たる政治的安定の基礎の上に、驚異的な経済発展を成し遂げられました。私は、首相ご就任以来十三年の長きに亘り、確固たる信念に基づき、営々と国家建設の舵取りをしてこられた貴首相に対し、特別の敬意を表したいと思います。

首相閣下、

 私は、日本の九州は大分県というところの出身です。今回の貴国訪問に際し、私は、九州は貴国の言葉では、ジャアファー国王陛下の御出身地の、[ヌグリ・スンビラン」を意味すること、また、大分県はマハディール首相閣下の御出身地のケダ州とは「友好交流に関する覚書」を交わす等、地方レベルでも緊密な交流があることを知り、強い親近感を感じております。

首相閣下、

 わが国と貴国との友好協力関係は、貴首相ご就任以来一段と緊密化し、両国の歴史の中で前例のないほど良好な関係にあることは、喜びに耐えません。貴首相の提唱・推進された「東方政策」のもと、八十二年より本年まで既に四千名を超える貴国の青年が日本で学び、現在貴国の繁栄を支える礎として、各界において活躍されていると聞いております。両国国民の心と心の繋がりがある限り、日・マレイシア両国関係は、磐石であると確信しております。

首相閣下、令夫人並びに御列席の皆様、

 最後に、私は皆様と共に杯を上げ、ジャアファー国王陛下及び同妃殿下の御健康、マハディール首相閣下、令夫人の一層の御発展、そして日本とマレイシア国民の友情の更なる発展をお祈りして、乾杯したいと思います。

 乾杯。

 ありがとうございました。