データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ゴー・チョクトン・シンガポール首相主催晩餐会における村山内閣総理大臣の挨拶

[場所] 
[年月日] 1994年8月29日
[出典] 村山演説集,132−133頁.
[備考] 
[全文]

ゴー・チョクトン・首相閣下、令夫人、並びに御列席の皆様、

 今宵は私共のためにこのような盛大な宴を催していただき、また只今は、ゴー首相閣下より暖かい歓迎の言葉を頂き、心から御礼申し上げます。

私は今回初めて貴国を訪問し、緑豊かで清潔な貴国の国造りに感銘を受けました。貴国は、アジアのみならず、世界で最も成功した経済発展のモデルであり、今後は、ゴー首相の提唱された「ネクスト・ラップ」(次の世代)政策の下、二十一世紀へ向けて新たに飛躍しようとしておられます。こうした時期に貴国を訪問し、ゴー首相と親しく意見交換をする機会を得、また貴国の繁栄の基盤を作られたオン・テンチョン大統領閣下、リー・クアンユー上級相閣下ともお会い出来たことは私にとって大きな喜びであります。

首相閣下、

 日本とシンガポールは、二国間において友好と協力の関係を築いて参りました。今後は、更にグローバルな視点から、世界経済や地球規模的な問題といった幅広い分野において、対話と協力のパートナーとして共に歩んでいく時機が来ていると確信しております。

 私は、今回東南アジアを初めて訪問し、各国の目覚ましい発展振りと、そこに働く人々の将来への確信に満ちた目の輝きを目の当たりにし、改めて「二十一世紀はアジアの世紀」との感を強く致しました。貴国は、将来への鋭い洞察から、しばしば他の諸国に先駆け、リードする形で、自由で開放的な政策を探り進めてこられましたが、この進取の国民性こそが、貴国を今日に至らしめたと推察致します。

ゴー首相閣下、令夫人

並びに御列席の皆様、

 最後に、私は皆様と共に杯を上げ、貴首相閣下御夫妻の御健康並びにシンガポール共和国の一層の繁栄、そして日本とシンガポール両国間の友好と協力の関係の益々の発展のために乾杯したいと存じます。

 乾杯。

 ありがとうございました。