データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] マハティール首相主催晩餐会における橋本内閣総理大臣の挨拶

[場所] マレーシア
[年月日] 1997年1月8日
[出典] 橋本内閣総理大臣演説集(上),281−282頁.
[備考] 出典では「マハディール首相」となっており、そのままにしてある。
[全文]

マハディール首相閣下

並びにご列席の皆様

 今朝の当地到着以来、私どもにいただいた温かいおもてなし、並びに、かくも盛大に歓迎の晩餐会を催していただいたことに対し、まずは、心よりお礼申し上げます。本日は、ジャアファー国王陛下及び同妃殿下に謁見を賜るとともに、マハディール首相との会談で、二国間関係及び国際情勢についての忌憚のない意見交換を行う機会を得ました。本年二月、閣下が日本を訪問された際の意見交換と同様、今回も国際情勢に対する閣下の所見を大変興味深く拝聴いたしました。

首相閣下、

 今回の訪問において、世界一のツイン・タワーをはじめ、クァラ・ルンプールに林立する高層ビル群、至るところで槌音高く進行中の建設現場、更には色とりどりの民族衣装をまとった笑顔あふれる人々を車中から垣間見るにつけ、貴国が確固たる政治的安定の上に驚異的な経済発展を遂げられていることを強く実感した次第であります。

 この場をお借りして、貴首相がご就任以来示されてきたリーダーシップとそれに導かれたマレイシア国民のたゆまぬ努力に対し、改めて敬意を払うものであります。

 我が国と貴国との友好協力関係は、一九八一年に貴首相が「東方政策」を提唱されて以降、経済面を中、心に飛躍的な発展を遂げてきました。また、両国の経済面での緊密化に伴い、より広範な政治的協力及び文化面での交流も拡大してきております。更に、「東方政策」を通じての両国国民の心と心のつながりは、両国にとっての貴重な財産となっております。

首相閣下

 アセアンは本年創設三十周年を迎えますが、この三十年間のアセアン諸国の政治的安定と経済的発展にも誠に目を見張るものがあります。こうした中で、私は、二十一世紀に向け、日本とアセアンとが共通のパートナーとして、緊密な協力関係を確立していくことがますます重要となってきていると考えます。こうした緊密な協力を通じてこそ、二十一世紀のアジア・太平洋地域の、そして世界全体の平和と繁栄が得られるものと確信しております。

 また、こうしたパートナーシップの構築に当たって、我が国としては、三十周年という記念すべき年のアセアン議長国を務められる貴国との間で、引き続き緊密に連絡を取り合っていきたいと考えます。

首相閣下、(令夫人)並びにご列席の皆様

 (要すれば、ペルー日本大使公邸占拠事件に言及)

 最後に、私は皆様とともに杯を上げ、国王陛下及び同妃殿下のご健康、マハディール首相閣下及び令夫人の一層のご発展、そして両国の永遠の友情を祈念して乾杯したいと思います。

 乾杯

 ありがとうございました。