データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ハノイ日本人学校訪問時における橋本内閣総理大臣の挨拶

[場所] ベトナム
[年月日] 1997年1月12日
[出典] 橋本内閣総理大臣演説集(上),290−291頁.
[備考] 
[全文]

 ハノイ日本人学校の児童生徒の皆さん、お早うございます。

 私は、総理大臣の橋本です。ハノイでは、NHKの衛星放送が受信できますので、皆さんの中には私の顔をテレビで見て知っている人もいると思います。

 今回、私は日本とアセアン諸国との関係を更に発展させるために、アセアン各国を訪問することになり、こうしてヴィエトナムにも初めてお邪魔しました。昨日は、ムオイ書記長やキエット首相と、日本とヴィエトナムとの関係を今後どうのように発展させるかについて話し合い、今朝はホーチミン廟を参拝しました。ハノイでの仕事も無事終わり、この後すぐ、シンガポールへ向かわなくてはなりませんが、その前にハノイ日本人学校の生徒児童の皆様が一生懸命勉強している様子を是非見てみたいと思い、学校に立ち寄らせてもらうことになりました。

 私のハノイ滞在は、短いものでしたが、たいへん印象的でした。ヴィエトナムの人々の生活習慣には日本人と似たところが多いと感じましたし、空港から街に向かうハノイ郊外の風景は、皆さんが生まれるずっと前の、私が皆さんのような子供の頃の日本の田園風景に似ていると思いました。ヴィエトナムは、日本と比べ、まだ十分豊かとは言えませんが、ヴィエトナムの若い人々が、汗を流し一生懸命頑張っている姿を見ると、この国はこの先どんどん発展していくものと確信しました。

 皆さんが通っているこのハノイ日本人学校は、昨年四月に世界で九十二番目に開校された、世界で一番新しい日本人学校です。新設されたばかりなので、教材や備品の面で足りないものも多いかと思います。そのため、私は皆さんのために日本から図鑑、顕微鏡、楽器等のプレゼントを持ってきましたので、皆さんで有意義に使って下さい。

 皆さんがここヴィエトナムでたくさんのことを学び、楽しい学校生活を送られ、将来日本と、この国ヴィエトナムを結ぶ架け橋となられることを心から願っています。いろいろと大変なこともあるかと思いますが、身体に気をつけて元気で頑張って下さい。