データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第3回日メコン外相会議議長声明

[場所] ハノイ
[年月日] 2010年7月21日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

1.第3回日メコン外相会議は,7月21日にベトナムのハノイにおいて,第43回ASEAN閣僚会議に続いて開催された。同会議では,ベトナム社会主義共和国のファム・ザー・キエム副首相兼外務大臣が議長を務め,日本国の岡田克也外務大臣,カンボジア王国のハオ・ナムホン副首相兼外務・国際協力大臣,ラオス人民民主共和国のアルンケオ外務大臣補佐官,ミャンマー連邦のニャン・ウイン外務大臣,タイ王国のカシット・ピロム外務大臣が出席した。

2.外相は,友好,相互理解及び協力の精神の下,メコン地域及びより広く東アジア地域における平和,発展及び繁栄のため,日メコン協力の進展及び将来の方向性を含む共通の関心事項である様々な案件について有意義な議論を行った。外相は,共通の関心を有する地域及び地球規模の課題についても意見交換を行った。

3.外相は,日メコン協力を強化するとの意思を再確認するとともに,第1回日本・メコン地域諸国首脳会議における「東京宣言」及び「行動計画63」を日本とメコン地域諸国との間で「共通の繁栄する未来のための新たなパートナーシップの確立」を成功裡に構築するためのガイドラインとすることを確認した。

4.外相は,第1回日本・メコン地域諸国首脳会議以降に,「行動計画63」及びメコン地域諸国が提案したイニシアティブの実施において著しい進捗が見られていることを高く評価した。この関連で,外相は,第1回日本・メコン地域諸国首脳会議においてベトナムのグエン・タン・ズン首相が提案した二つのイニシアティブについて初期段階の議論が行われていることを確認した。

5.メコン地域諸国の外相は,日本による「緑あふれるメコン(グリーン・メコン)に向けた10年」イニシアティブに関する詳細な説明を歓迎するとともに,同イニシアティブを実現するため日本とともに協力していくとの意思を表明した。

6.岡田大臣は,ASEAN連結性に関するマスタープランに関連して,物理的、制度的及び人と人の連結性を向上させるため,メコン地域諸国に対する支援を継続する意思を表明した。この関連で,メコン地域諸国の外相は,ASEANの統合及び共同体を構築するためのプロセスを強固にするため,日本及び適切な関係国がASEAN諸国との対話を実施するとの日本の提案をこれがASEAN及びその域外との連結性に関して協力の方法を探求するよう求めるASEAの呼びかけに符合するものとして歓迎した。外相は,メコン地域におけるインフラ整備,制度構築及び人材育成がASEAN及び東アジアの発展と調和した形で進められなければならないとの共通の視点を強調した。また、外相は、メコン地域開発についてのドナー及びパートナーとしてのタイの強いコミットメントを歓迎した。

7.外相は,共通の関心を有する地域及び地球規模の課題について緊密な協力を強化し,地域における平和,安定及び繁栄の確保のため,既存の日メコン協力を深化・拡大するとの決意を再確認した。この関連で,外相は,相互理解の雰囲気の下,朝鮮半島,ミャンマー,国連安全保障理事会常任理事国問題を含む国連改革といったいくつかの共通の関心を有する地域及び国際情勢の課題について議論した。

8.朝鮮半島について、外相は,2005年9月の六者会合共同声明及び関連の国連安保理決議に従った朝鮮半島の非核化の重要性を強調し,関連の国連安保理決議を完全に遵守する必要性を再度強調した。また,外相は,北朝鮮が拉致問題を含む国際社会の人道上の懸念に取り組む必要があることを強調した。

9.外相は,ミャンマーで本年行われる総選挙が,自由,公正で,すべての関係者が参加する包含的な形で行われるべきであり,それがミャンマーの安定と発展に貢献することとなることを期待した。

10.外相は,国連改革,特に常任・非常任理事国双方の拡大を通じた安保理改革が緊急に必要であることを再確認した。日本は,日本が国連安全保障理事会の常任理事国になることに対するメコン地域諸国による引き続いての支持を高く評価した。

11.外相は,「東京宣言」で述べられているとおり,第2回日本・メコン地域諸国首脳会議を本年10月にハノイにて開催すること,及び,2011年に次回日メコン外相会議を日本の主催により開催することを期待した。