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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 東西・南部経済回廊に関する日メコン国際会議「連結性の完成及び経済的繁栄の創造」成果文書

[場所] タイ・バンコク
[年月日] 2010年9月9日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

1.東西・南部経済回廊に関する日メコン国際会議が,「連結性の完成及び経済的繁栄の創造」をテーマとして,タイ王国及び日本国政府の共催により,9月9日にタイのバンコクにおいて開催された。同会議では,タイ王国のカシット・ピロム外務大臣及び日本国の藤村修外務副大臣が共同議長を務め,カンボジア王国,ラオス人民民主共和国,ミャンマー連邦,ベトナム社会主義共和国,関係国際機関及び開発パートナーからの代表者が出席した。

2.同会議においては,メコン地域におけるモノ・サービスの自由な移動を含む連結性の向上に貢献し,より強い共同体意識を醸成することになる東西・南部経済回廊及びその周辺地域の経済発展の重要性が強調された。また,二つの交通回廊を本格的な経済回廊に発展させることは,GMSの発展及びASEAN連結性に関するマスタープランを補完することになり,同会議では,そのための政策オプションや提言に議論の焦点が当てられた。同会議の結果は,GMSの開発の実現やマスタープランの具体化に関与している関係者にも共有されることになる。

3.さらなる経済回廊の発展のために,同会議においては以下の問題につき,議論が行われた。

 ・東西・南部経済回廊沿いのインフラの「ミッシング・リンク」の解消。

 ・越境交通の整備及び貿易促進。

 ・経済回廊関連投資の促進及び流通・生産拠点の整備。

 ・メコン地域諸国の人々の能力開発及び人材育成の強化。

 ・地域内の物理的インフラに係る膨大な需要に応えるための,官民パートナーシップ(PPP)による資金調達の促進,及びメコン地域諸国と開発パートナー間の一層の効果的な協力の強化。

 ・税関行政官の能力向上施策並びに,シングル・ウィンドウ及びシングル・ストップ・サービスの確立による税関能力の向上。

 ・越境交通協定(CBTA)の本格的実施の推進。

 ・透明性を確保した上での規則・基準の調和。

4.同会議では,経済発展の基盤となる基礎的な物理的インフラ建設の重要性が認識された。この文脈において,東西・南部経済回廊の連結性の強化に対する日本政府の貢献が評価された。日本政府は,既に完成している第二メコン友好橋,国道9号線及びカンボジア国道の整備,カンボジアのネアックルンにおいて予定されているメコン河橋梁の建設,ベトナムのラックフェン港をはじめとする港湾開発を含めて,資金的貢献を行っている。また,同会議では,既に完成しているタイのメーソットからミャンマーのティンガニーノにかけての東西経済回廊沿いの道路建設,今後予定されるメーソットからミャンマーのコーカレイにかけての道路補修及び改修,南部経済回廊沿いのタイのカンチャナブリからタイ・ミャンマー国境にかけての連結道路の整備,既に完成している南部沿岸回廊沿いのカンボジア・コッコンからスラエ・アンブルにかけての道路改修を含めたタイ政府による資金的貢献についても,評価された。

5.また,同会議では,ハード・インフラとソフト・インフラの連携が極めて重要であることが認識された。この点を踏まえ,経済回廊を最大限活用するためには,ハード・インフラに加えてソフト・インフラの整備に取り組むことが重要であることも,議論された。

6.同会議の結果は,本年10月にハノイで開催される第2回日メコン首脳会議に報告されるとともに,日メコン協力の中でフォローアップされることとなる。