[文書名] 第4回日メコン外相会議議長声明
1.第4回日メコン外相会議は,2011年7月21日にインドネシアのバリにおいて第44回ASEAN閣僚会議に続いて開催された。同会議では,日本国の松本剛明外務大臣が議長を務め,カンボジア王国のカオ・キムホン外務・国際協力省長官,ラオス人民民主共和国のトンルン・シースリット副首相兼外務大臣,ミャンマー連邦共和国のワナ・マウン・ルイン外務大臣,タイ王国のチトリア・ピントン外務副次官,ベトナム社会主義共和国のファム・ザー・キエム副首相兼外相が出席した。
2.松本外務大臣は,本年3月11日の東日本大震災に際して,メコン地域諸国及びその国民から日本に対して暖かい支援を頂いたことに深い感謝の意を述べ,日本とメコン地域諸国との間の連帯を再確認した。
「共通の繁栄する未来のための新たなパートナーシップ」の下での協力
3.外相は,日メコン協力の進展及び将来の方向性を含む共通の関心事項である様々な案件について有意義な議論を行い,日メコン協力を強化するとの意思を再確認するとともに,「東京宣言」及び「行動計画63」を日本とメコン地域諸国との間で「共通の繁栄する未来のための新たなパートナーシップ」を成功裡に確立するためのガイドラインとすることを確認した。
4.外相は,第3回日本・メコン地域諸国首脳会議以降に,「行動計画63」及びCLV,CLMV,ACMECSの協力枠組みを含むメコン地域諸国が提案したイニシアティブの実施において著しい進捗が見られていることを高く評価した。また,「行動計画63」中の案件を検討し,この地域の実情に対応する優先事項を明確にすることの必要性についても確認した。
5.外相は,ASEAN連結性マスタープランの実施の進展を歓迎するとともに,日メコン協力とASEAN協力との相乗効果とASEAN連結性を向上させることの重要性を強調した。
6.外相は,2011年6月24日に日本政府及びタイ政府との共催で,バンコクで開催した「グリーン・メコン・フォーラム」の成功を歓迎した。同フォーラムにはメコン地域諸国からの代表及び関係企業,地方自治体の代表が参加した。外相は,自然災害の緩和を含む環境・気候変動問題に取り組むために「官民連携のアプローチ」を強化することを歓迎し,かかるアプローチが地域の環境保護と経済成長の両方を達成するために有効であるとの認識を共有した。さらに,外相は,メコン河の水及び関連する資源の持続可能な発展,利用,保存及び管理を促進するため,関連する地域及び国際機関,特にメコン河委員会(MRC)との協力及び協調を強化することが必要であることを強調した。さらに,外相は,二国間オフセット・クレジット・メカニズムの設置のために更に議論することの重要性について共有した。
7.外相は,衛星を通じた地域情報共有ネットワークの開発,専門家派遣,日本における研修の実施を含む包括的な取組である「ASEAN防災ネットワーク構築構想」に係る日本の新たなイニシアティブを評価した。
8.外相は,この地域への投資の増加を歓迎するとともに,ビジネス環境のさらなる改善の重要性を強調した。外相は,日本とメコン地域諸国の官民双方が参加する形で2010年12月14日に東京で開催された,「官民協力・連携促進フォーラム日メコン全体会合」等,メコン地域における官民協力強化に向けた日本のイニシアティブと努力を高く評価した。さらに,外相は,本年後半に開催予定の第3回日本・メコン地域諸国首脳会議の前に,日本が第2回官民協力・連携促進フォーラム日メコン全体会合を開催することを決定したことを歓迎した。また,外相は,投資セミナー,投資ミッション,専門家派遣,メコン地域において開催された日本企業との官民対話等の官民協力の進展も歓迎した。外相は,経済的繁栄を確保し,また,この地域への貿易,投資を増加させるため,官民協力を活用する必要性を再確認した。
9.外相は,人間の安全保障の問題の重要性についても確認した。また,この地域の脆弱性を克服し,ミレニアム開発目標を達成するためには,食料安全保障・食品の安全性,母子保健・感染症対策が優先されるべき事項であるという認識を共有した。
10.外相は,第3回日本・メコン地域諸国首脳会議で議論されるべきアジェンダとして右事項を取り上げるという日本の提案を歓迎した。
11.外相は,ミャンマーの外務大臣からミャンマーの最近の状況及び同国の民主化及び国民和解に向けた前向きな取組に関する報告を受けた。外相は,報告を評価するとともに,ミャンマーが民主化及び国民和解のプロセスを一層加速することを期待した。また,外相は,ミャンマー政府の取組を支援する考えを共有した。
地域問題,国際問題
12.外相は,共通の関心を有する地域及び地球規模の課題について緊密な協力を強化し,地域における平和,安定及び繁栄の確保のため,既存の日メコン協力を深化・拡大するとの決意を再確認した。
13.外相は,2005年の六者会合共同声明及び関連の国連安保理決議に従った朝鮮半島の非核化が重要であることを表明した。この文脈で,最近公表された北朝鮮によるウラン濃縮活動について懸念が表明された。外相は,具体的な行動が六者会合の再開に資する環境を醸成する旨強調し,不可欠なステップとして,誠実で建設的な南北対話の重要性を強調した。また,外相は,関連の国連安保理決議に基づく措置を着実に実施することの重要性を強調した。さらに,外相は,北朝鮮が拉致問題を含む国際社会の人道上の懸念に取り組むことの重要性を強調した。
14.外相は,海洋問題がアジア太平洋地域の平和,安定,発展のため,海洋の問題が平和的な協議を通じて,かつ,1982年に採択された国連海洋法条約(UNCLOS)を含む,普遍的に認められた国際法の原則に基づき解決されるべきであることに同意した。
15.外相は,軍縮及び大量破壊兵器及びその運搬手段の不拡散,並びに大量破壊兵器関連物資及び小型武器の不法移転や不法取引との戦いの分野における協力を強化することの重要性を強調した。
日メコン会議
16.外相は,第3回日本・メコン地域諸国首脳会議を本年にインドネシアにて開催すること,及び,2012年に次回日メコン外相会議をカンボジアの主催により開催することを期待した。