データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「東京戦略2012」の実現のための日メコン行動計画

[場所] 
[年月日] 2012年7月10日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 第4回日本・メコン地域諸国首脳会議において採択された「東京戦略2012」に従い、日本及びメコン地域諸国は、第5回日メコン外相会議において、以下のとおり具体的な行動及び措置を定める行動計画を採択した。

1.第1の柱メコン連結性を強化する

1.1 経済回廊に関し、物理的、制度的及び人的連結性強化に関する案件を実施するための行動及び措置

・日本は、「カンボジア国道5号線改修事業」について実施中の調査を着実に進める。

・日本及びカンボジアは、「国道1号線改修計画」の支援に向けた協議を継続する。

・日本及びカンボジアは、「ネアックルン橋梁建設計画」について事業を着実に 実施する。

・日本及びカンボジアは、「シアヌークビル港多目的ターミナル整備計画」を着実に実施する。

・タイ及びミャンマーは、ダウェイ深海港及びタイへの接続道路の支援を行う。日本は、協力の可能性を検討する。この関係で、日本、タイ及びミャンマーは、民間部門への信頼を強化する見地から、ダウェイ深海港開発、及び、タイへの接続道路、経済特区、貿易及び交通の円滑化等の関連するインフラのための、三カ国間の対話を立ち上げる。

・日本及びベトナムは、「カイメップ・チーバイ国際港開発計画」について、事業を着実に実施する。

・日本及びラオスは、「国道9号線整備計画」(メコン地域東西回廊)について、事業を着実に実施する。

・ラオスは、第3メコン橋からブン・アン港に接続するラオス・ベトナム国境に至る、国道12号線の整備を着実に実施する。

・日本は、JETROが実施したバンコク・ハノイ間輸送調査報告書に基づき、当該ルートを用いた物流のF/Sを実施する。

・東西経済回廊に加えて国道8号線及び同12号線の潜在性を認識しつつ、ラオス、タイ及びベトナムは、これらの道路における人及びモノの交通の促進の ための方法及び手段、ラオス、タイ及びベトナムの間の、法的枠組みを含む協 定の可能性、要求された水準を満たすための、これらの道路の向上のための資金及びファシリティの動員についての調査を実施する。

・ベトナムは、ハノイからハイフォン港に至る、高速道路の建設を工程に沿い 着実に実施するとともに、国道1号線の整備を着実に実施する。

・タイ及びミャンマーは、メーソット・モーラミャイン間の東西経済回廊区間の整備を着実に実施する。

・日本及びラオスは、ラオスにおける「ビェンチャン国際空港拡張計画」について事業を着実に実施する。

・日本及びベトナムは、「ノイバイ国際空港第二旅客ターミナルビル建設計画」について事業を着実に実施する。

・日本は、「ロンタイン国際空港建設事業」について実施中の調査を、引き続き着実に進める。

・日本及びカンボジアは、「メコン地域通信基幹ネットワーク整備計画」について、事業を着実に実施する。

・メコン地域諸国は、大メコン圏経済協力プログラム(GMS)越境交通協定(CBTA)の完全な実施の促進を行う。

・ベトナムは、「多様な交通網によるメコン地域の経済回廊の連結性強化イニシアティブ」を促進する。

・日本及びベトナムは、引き続き、以下の案件の開発可能性に関する議論を行う。

  - ホーチミン東西高速道路からホーチミン・チュンルオン間高速道路までの2.7キロの連結道路の建設

  - 国道19号線及び国道1A号線との間の17キロの連結道路の改修

  - ソクチャン地方及びチャヴィン地方を接続するダイガイ橋建設

・日本とベトナムは、セミナーの開催等を通じて道路分野の技術やノウハウに関する情報交換をはじめとした協力を推進する。

・日本及びメコン地域諸国は、他のドナー及び国際機関により実施されている協力、特に、経済回廊のためのインフラ案件について本分野での国際協力を強化するため、情報を共有する。

1.2 日メコン経済産業協力イニシアティブ(MJ-CI)の更なる実施のための行動及び措置

・日本及びメコン地域諸国は、2010年の第2回日本・メコン地域諸国会議において採択された「日メコン経済産業協力イニシアティブ(MJ-CI)行動計画」について、日メコン産業政府対話及びJETROにより実施されているメコン地域におけるビジネスニーズ調査を通じ、メコン地域諸国及び日本からの強いビジネスニーズのある計画を優先付けすることにより、着実に実施する。優先的な案件の着実な実施のため、日本及びメコン地域諸国は、民間企業 の関与が確保されるよう、日メコン産業政府対話を毎年開催する。また、日本及びメコン地域諸国は、メコン地域における関係政府機関及び民間部門との間で小規模な対話セッションを開催する。日本とメコン地域諸国は、MJ-CI 行動計画の実施及び評価のため、日・ASEAN経済産業協力委員会・東西回廊開ワーキンググループ(AMEICC-WG)を主要な調整機関として活用 する。

1.3 特に2020年までにアジアにおけるモノのアジア・カーゴ・ハイウェイ」構想という日本及びASEAN加盟国で共有された構想の実施を通じた、メコン地域における貿易円滑化及び税関近代化のための行動及び措置

・2014年3月までを目処とするベトナムへのNACCS型システムの導入及び右に関連した税関職員のための能力向上を始めとして、日本税関とメコン諸国税関との間で「アジア・カーゴ・ハイウェイ」構想実現のために合意された貿易円 滑化・税関近代化のための措置・支援を着実に実施する。

1.4 「ASEANスマート・ネットワーク」構想の実施を通じたメコン地 域における次世代情報通信技術(ICT)インフラの開発のための行動及び措置

・日本及びメコン地域諸国は、メコン地域におけるICTインフラ開発とその利活用による環境問題等の社会課題の解決のため、ASEANスマート・ネットワーク構想を実現するべく、以下の行動を行う。

  * 日本及びメコン地域諸国は、実施予定のF/Sの結果を日メコン各種会合等で共有し、具体的案件を形成する。

  * 日本は、同地域におけるICTインフラ整備やその利活用の促進のため、同地域において実証実験を実施する。

2. 第2の柱 共に発展する

2.1 健全なマクロ経済のための行動及び措置

・日本は、「工業化戦略及び2020年に向けた行動計画」の作成に向けた協力を実施する。

・日本は、ミャンマーの資本市場育成支援を実施する。

2.2 産業発展の強化のための措置

・日本は、電力の供給の向上のため、「ラオスにおけるナムグム第一水力発電所拡張計画」の検討を進める。

・日本及びラオスは、電力の供給の向上のため、「南部地域電力整備事業」について、事業を着実に実施する。

・日本は、電力の供給の向上ため、「バルーチャン第2水力発電所補修」(ミャンマー)の可能性を検討する。

・日本及びメコン地域諸国は、アジア開発銀行(ADB)等関係機関と密接に協力し、域内の安定的な電力供給を実現するため、送電網の向上のための支援 を検討する。

メコン地域における裾野産業育成のため、専門家派遣や研修の実施を通じて中小企業育成の支援を行う。

・日本は、ODAまたは他のスキームを通じ、日本企業がメコン地域の市場に参入することを促すため、主要な鉱物埋蔵地に関連するインフラ改善を環境に配慮した形で支援する。

・食品加工業、縫製業、機械工業、観光産業等のメコン地域諸国における有望産業の育成及び新産業・サービス分野創出のため、JETRO等関係機関と協力し、個別産業向けワークショップ開催、専門家派遣を実施する。

・日本及びメコン地域諸国は、メコン・インスティテュート(MI)がJICA及びタイ国家経済社会開発庁(NESDB)とともに「工業団地標準化プロ グラム」を実施することを歓迎する。

・日本は、メコン・インスティテュート(MI)の東西経済回廊の民間部門開発の拡大及び南部経済回廊における中小企業の競争力強化のための活動への支援の可能性を検討する。

・日本及びベトナムは、ベトナムにおける質の高い大学の開発のための協力の可能性につき、引き続き議論を継続する。

・ベトナムは、メコン職業訓練センターの取組に関する案件のプロポーザルを策定する。日本は、本取組の策定に係るベトナムの努力に留意する。

・日本及びメコン地域諸国は、JETROが実施する以下の取組を歓迎する。

  * ベトナムにおいて産業支援を強化のために実施する部品調達展示商談会の開催

  * 加工食品産業の競争力強化のために実施する食品の安全性及び食料安全保障に向けた専門家派遣

  * タイにおける地場企業の日本進出支援のためのセミナー開催

  * 事実に基づくミャンマーの経済及改革及び開発のための政策アドバイスの提供のためのJETRO調査「ASEAN経済統合及びミャンマー経済」の開始

・日本は、CLV諸国における既存の日本センターのネットワークを通じたメコン地域における起業家育成のための共通研修プログラムを継続する。

・日本及びベトナムは、「ハノイ市都市鉄道建設計画1号線」について、事業を着実に実施する。

・日本及びベトナムは、「ハノイ市都市鉄道建設計画2号線」について、事業を着実に実施する。

・日本及びベトナムは、「ホーチミン市都市鉄道1号線」について、事業を着実に実施する。

・日本及びベトナムは、「ホアラック科学技術都市振興事業」について、事業を着実に実施する。

・日本及びカンボジアは、「シェムリアップ上水道拡張計画」について、事業を着実に実施する。

・日本は、「ハノイ市都市鉄道5号線」について、実施中の調査を、引き続き着 実に進める。

・日本及びベトナムは、ハノイ市及びホーチミン市における都市鉄道網の整備や運営組織設立支援、開業に向けた法整備に係る協力を継続する。

・日本は、タイの内航タンカー代替建造や、ミャンマーへの内航旅客船に関する支援などを含む、内航海運/水運による交通及び物流強化にかかる支援を行う。

・日本は、学校・病院・道路建設、農業開発等支援等を通じ、ミャンマー少数民族への支援を強化する。

・日本は、日ミャンマー農業協力対話を通じた協力を検討する。

・日本は、ラオスを始めとして地雷・不発弾除去のための支援や能力向上支援を実施する。

・日本及びメコン地域諸国は、地元の中小企業による、より容易な融資へのアクセスのための、中小企業の融資に関する知識共有の機会の拡大を行う。

・日本は、ミャンマーにおけるインターネット、放送等の情報通信インフラ整備に関する支援を着実に実施する。

・日本は、タイの経済社会の発展に貢献するため、ICTを用いた情報基盤整備の協力を行う。

・日本は、アジア太平洋電気通信共同体(APT)と連携して、ミャンマーにおいて「情報セキュリティ(公開鍵のマルチ利用)プロジェクト」を実施する。

2.3 外国投資のための経済環境の向上のための行動及び措置

・日本及びメコン地域諸国は、メコン地域諸国における経済特区の開発のための協力を行う。

・日本及びミャンマーは、経済特区を含むティラワ開発の可能性を検討する。

・日本は、CLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)諸国の各国における経済特区(SEZ)に関する研修プログラムを実施する。

・メコン地域諸国は、ASEAN包括的投資協定(ACIA)及びASEANサービス枠組み協定(AFASs)の実施を促進する。

・ミャンマーと日本は、投資協定交渉を進捗させる。

・日本及びメコン地域諸国は、日本貿易振興機構(JETRO)が、自由貿易協定の理解の向上のため、それぞれのメコン地域諸国の政府関係機関と協力し、日本及び地元企業のためのワークショップを開催することを歓迎する。

・日本及びメコン地域諸国は、JETROによる、サービス産業も含む日本からの投資促進、裾野産業育成支援、輸出産業育成支援、一村一品展示会などの日本とメコン地域諸国間の貿易・投資の拡大に向けた様々な活動を歓迎する。

・日本及びメコン地域諸国は、日ASEANセンターにより実施される投資及び貿易促進のための取組を奨励する。

・日本は、メコン地域の市場への民間企業の進出を促進するため、日本の円借款とともに、アジアにおけるインフラ整備のため日本貿易保険(NEXI)の 特別支援枠を活用する。

2.4 官民協力のための行動及び措置

・日本は、官民協力・連携促進フォーラムを引きつづき開催する。

・日本とメコン地域諸国は、引き続き、貿易及び投資の促進のため、官民合同対話を実施する。

・日本は、日メコン産業政策対話を実施する。

・日本及びベトナムは、「ラックフェン国際港建設計画」について、事業を着実に実施する。

・日本は、「ベトナム・ロンアン省環境配慮型工業団地関連事業」について、調 査を踏まえ、引き続き支援を検討する。

・日本は、「ベトナム・ハノイ上水事業」について、調査を踏まえ、引き続き支援を検討する。

2.5 グローバル市場経済へメコン地域諸国を組み込むための行動及び措置

・日本及びメコン地域諸国は、2012年末までにRCEP交渉開始を目指すというASEAN首脳会議の議長声明を踏まえ、作業部会を通じた協力を強化し、東アジアの包括的経済連携の可及的速やかな交渉開始及び同協定に関する議論の更なる進展を目指し、取り組む。

・日本、カンボジア、ミャンマー、タイ及びベトナムは、ラオスのWTO加盟を支持する。

2.6 文化交流・観光促進のための行動及び措置

・日本及びメコン地域諸国は、日本旅行業協会(JATA)が,同協会メコン地域観光促進委員会の策定する「活動計画」に沿い,観光促進を実施することを歓迎する。

・日本及びメコン地域諸国は、日ASEANセンターによる観光促進事業を奨励する。

・日本及びメコン地域諸国は、ミャンマーに文化ミッションを派遣した結果等を踏まえ、メコン地域の多様性に着目しながら、有形無形の文化遺産の保護等の分野において、各国との交流・協力を強化する。

2.7 CLMV開発及びCLV開発の三角地帯への支援を強化するための行動及び措置

・日本及びメコン地域諸国は、ASEAN統合基金(JAIF)を用いたCLV開発の三角地帯のための案件の実施を引き続き加速化する。

・カンボジア、ラオス、ミャンマー及びベトナムは、CLMV経済大臣会合にて採択されたCLMV行動計画を実施する。

3. 第3の柱 人間の安全保障及び環境の持続可能性を維持する

3.1 防災協力のための行動及び措置

・日本及びメコン地域諸国は、世界防災閣僚会議in東北の成果を踏まえ、災害に強い強靱な社会の構築や、ポスト兵庫行動枠組の策定に向け協力する。

・日本は、「ASEAN防災ネットワーク構築構想」の実現に寄与するASEAN防災人道支援調整(AHA)センターとメコン地域諸国やその他のASEAN各国の防災機関とのネットワークの構築を推進する。

・日本は、AHAセンターへの協力及びその実施を強化する。

・日本及びベトナムは、「衛星情報の活用による災害、気候変動対策計画」を着実に実施する。

・日本は、メコン地域に対し、ハードインフラとソフトインフラ対策を組み合わせた総合的な防災力向上の支援を行う。

・日本は、タイにおけるチャオプラヤー川流域の洪水対策を支援するため、防災ICTシステムの構築を促進する。

・日本とタイは、人材育成等の措置を通じ、神戸のアジア防災センター(ADRC)及びバンコクのアジア災害予防センター(ADPC)との間の連携を強化するための取組を促進する。

・日本とベトナムは、都市の浸水対策等の下水道分野における協力を推進する。

3.2 環境及び気候変動課題のための行動及び措置

・日本及びメコン地域諸国は、2010年に策定したグリーンメコンに向けた10年イニシアティブに関する行動計画を着実にかつ迅速に進展させる。

・日本及びメコン地域諸国は、水力発電案件による影響を含む、メコン河の持続可能な管理と開発に関する調査についての協力を行う。

・日本は、メコン河委員会への専門家派遣を通じて、メコン河流域の水資源管理を引き続き支援する。

・日本及びメコン地域諸国は、低炭素成長の実現にむけて、二国間オフセットクレジット制度の可能性を中心とした政策ツールを活用するための協議を加速化する。

・日本及びメコン地域諸国は、東アジア低炭素成長パートナーシップ対話の成果に沿って、協力を推進する。

・日本及びカンボジアは、カンボジアにおける「トンレサップ西部流域灌漑施設改修計画」について、事業を着実に実施する。

・日本は、カンボジアにおける灌漑排水施設改修事業について、実施中の調査を、着実に実施する。

・日本及びメコン地域諸国は、ヘイズ予防措置に関する協力の可能性について検討する。

・日本及びベトナムは、水環境保全や再生水利用、下水汚泥の資源化・エネルギー利用等の下水道分野における協力を推進する。

・日本及びベトナムは、総合水資源管理に関するワークショップの開催等を通じ、水資源分野に関する両国の協力関係を強化する。

・日本及びベトナムは、環境・防災のための情報通信基盤整備事業の実現に向けて、防災ICTワークショップを通じ、ベトナムにおける環境及び防災分野の諸課題を解決するための行動をとる。

・日本及びベトナムは、メコンデルタ沿岸地域の持続的な農業及び地方の発展のための気候変動対策の可能性について考慮する。

ベトナムは、環境にやさしい産業分野における案件の発展の可能性を検討する。

3.3 様々な開発パートナーと協力し、メコン地域諸国横断的な目標を2015年までに達成するための行動及び措置

・日本及びメコン地域諸国は、18万人新生児を含む約14万2千人の乳幼児の命を救う、2約1万2千人の妊産婦の命を救う、3エイズによる死亡者約2 万名を削減する、4結核による死亡者約1万6千人の削減する、5マラリアによる死亡者約5万5千人を削減する、というメコン地域諸国横断的な人間の安全保障の目的達成に寄与するため、他の開発パートナーと共に、母子保健及び感染症に関するための具体的な行動をとる。

・日本は、「感染症研究国際ネットワーク推進プログラム」の実施により、新興・再興感染症分野における研究の促進を通じた若手研究者の育成を行い、当該感染症の脅威の克服に貢献する。

・日本は、アジア太平洋電気通信共同体(APT)と連携して、ラオスにおいて「ルーラルエリアにおけるICTを利用した医療情報プロジェクト」を実施する。

3.4 メコン地域におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジに資するための行動及び措置

・日本は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを目指した保健システム強化のための研修等の実施を検討する。

・日本は、貧困地域における病院または診察所建設のための支援を行う。

・ベトナムは、薬剤、保健、疾病手当の分野での案件の発展の可能性を検討する。

3.5 食料安全保障及び食品の安全性のための行動及び措置

・日本は、ASEAN+3緊急米備蓄(APTERR)の活動の下、メコン地域において自然災害等の緊急時に支援する米を備蓄し、食料安全保障の強化と貧困の撲滅を目指す取り組みを実施する。

・日本及びメコン地域諸国は、ASEAN食料安全保障情報システム(AFSIS)に関し、2015年までを目途に、アセアン諸国の自立的な枠組みによる組織運営を確立し、食料安全保障情報に係る①データベースの改善・更新、②農産物需給見通し及びアセアン食料安全保障分析レポートの作成、③早期警戒情報の作成、④人材育成、⑤その他の新たな活動を国際機関やドナーからの支援を得て実施する。日本は、中長期需給見通しの作成及びそのための畜産、飼料作物関連のデータ項目拡充に係る新たな活動を支援する。

・日本は、検疫管理、検査、規制制度や実験分析等、地域の食料の安全性に関する能力向上の強化のためにメコン地域諸国と協力する。

・ベトナムは、食品の安全性の分野における案件の発展の可能性を検討する。

3.6 社会保障のための行動及び措置

・日本は、高齢者等の社会的弱者に対する社会保障分野の取組に関する政策対話を目的とした定期的な会議の開催を通じ、メコン地域の社会保障政策の推進を引き続き支援する。

・日本は、国際協力機構(JICA)等による,専門家派遣,研修生受入等を通じた、メコン地域における社会保障分野の人材育成を引き続き支援する。

・日本は、国際労働機関(ILO),世界保健機関(WHO),地域協力機構(東南アジア諸国連合)との協力を通じた,社会セーフティネット(雇用,労働者の安 全と健康等の分野)の構築・整備,また,労使団体の社会セーフティネットに関する政策決定への参加促進を引き続き支援する。

・日本は、国際労使ネットワーク等を通じたインフォーマルセクターの組織化を草の根レベルで支援し、メコン地域の社会保障水準の向上を支援する。

3.7 投資支援のための行動及び措置(コンプライアンスの遵守、ディーセントワーク、環境評価基準の尊重)

・日本は、投資促進機関の能力向上のための行動をとる。

4.分野横断的な行動及び措置

・日本は、第4回日本・メコン地域諸国首脳会議において日本が提示した主要インフラ案件(57案件)を実施するようメコン地域諸国と協力する。メコン地域諸国は、案件の実現に向け最大限努力する。

・日本及びタイは、インフラ・ワーキング・グループの立ち上げに向け、議論を継続する。

・日本は、インフラ開発を推進し、主要インフラ案件をフォローアップするため、また、ラオスにおいて拡大ODAタスクフォースを開催する。

・日本は、基礎生活分野などの社会基盤整備にあたって、円借款、無償資金協力、技術協力を活用し、2013年度から 2015年度までの3年間で約6,000億円の支援を着実に実施する。

・メコン地域諸国は、日本のODAを効率的かつ効果的に使用するために必要な措置をとる。

・タイは、地域における開発ドナーとして、メコン地域におけるインフラ開発案件及び技術協力のため、約8.83億円のコミットメントを実現する。

・日本及びメコン地域諸国は、環境・エネルギー、生物資源、感染症制御、防災などの地球規模課題の解決を目指し、地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)を実施する。

・日本及びメコン地域諸国は、東アジアにおける地域共通課題の解決を目指して、e-ASIA共同研究プログラムを実施する。

・日本及びメコン地域諸国は、首脳会議、外相会議、SOM等の会議で定期的に地域・国際情勢を議論する。

・日本は、東日本大震災を受けて、青少年交流を通じて、日本再生に関する外国の理解を増進させるため、キズナ強化プロジェクトにより、2012年度に1,345人の招へい又は派遣を行う

・日本は、日本の大学及び教育機関によるメコン地域諸国からの学生、及び、より多くの日本の学生のメコン地域諸国への派遣を歓迎する。また、日本は、我が国とメコン地域諸国との間での質の保証を伴う大学間交流を促進する。

5.フォローアップの仕組み

・日本及びメコン地域諸国は、行動計画の行動及び措置の実施の進捗について、日メコンの定例会議(首脳会議、外相会議、経済大臣会議、及び高級実務者会議)においてフォローアップを行う。

・大臣は、また、行動計画は生きた文書であり、定期的に見直され、かつ、必要な場合には更新されることに合意した。