[文書名] メコン地域における官民協力・連携促進フォーラム第3回日メコン全体会合:鈴木外務副大臣御挨拶
メコン各国政府及び民間セクター代表の皆様,ご列席の皆様,
本日はご多忙な中,「メコン地域における官民協力・連携促進フォーラム第3回全体会合」にご出席をいただき,ありがとうございます。カン・ゾー・ミャンマー国家計画・経済開発大臣をはじめ,メコン5カ国の政府代表の皆様,民間セクター代表の皆様,それから様々な分野に知見を持った実務者の皆様が,このフォーラムのために訪日されていることに対し心から歓迎の意を表します。
近年,メコン地域諸国を含むASEAN諸国の経済発展は,我が国を含む世界の熱い注目を集めています。安倍政権としてもこの地域を極めて重視しており,年初から安倍総理,麻生副総理,岸田外務大臣が相次いで東南アジアを訪問した次第です。また,先々週には経団連会長以下総勢140名のミッションがミャンマー,カンボジアを訪問し,先週には関経連ミッションがタイを訪問するなど,我が国の官民を挙げてこの地域との関係強化に努めているところです。
1 我が国によるメコン地域開発支援と日メコン協力
従来からアジア地域は,政治,経済,文化等様々な面において我が国と密接な関係にあり,我が国の政府開発援助(ODA)の重点地域となってきました。我が国は,公的資金と民間の活動を有機的に連携させて経済協力を進め,同地域の発展に貢献してきました。また,環境・気候変動対策,感染症対策,防災等の地球規模,地域全体の課題に対する取組に対しても支援を行ってきました。
ASEANは,自らの最重要課題として,2015年のASEAN共同体構築を目指しています。安倍総理は先般の東南アジア訪問において,このASEAN共同体構築に向けたプロセスを,あらゆる側面で支援すると表明しました。
我が国は,これまでもASEAN域内の大陸部に位置するメコン地域のハード及びソフト面のインフラ整備を積極的に後押しし,連結性向上に資する支援を行ってきました。昨年4月の第4回日本・メコン地域首脳会議においても,我が国は事業総額約2兆3千億円にのぼるメコン地域の発展に貢献する主要インフラ57案件のリストを提示しています。
一方,経済成長を牽引するのは,この物理的連結性と呼ばれるハード・インフラの部分のみではなく,インフラを運営していくための制度面の整備や人材育成などのソフト面も重要です。我が国は,そのような制度面や人材育成面での支援についても特に力を入れてきており,今後とも一層充実させていく考えです。
昨年の日メコン首脳会議では,以上の①「メコン連結性を強化する」という柱の他,②メコン地域の経済成長のための投資や貿易を促進する「共に発展する」,③自然災害,母子保健対策等を行い,「人間の安全保障及び環境の持続可能性を確保する」という3つの協力の柱により構成された「東京戦略2012」を採択しました。この「東京戦略2012」は,日メコン協力を進めていく際の今後の指針となるでしょう。
2 メコン地域における官民連携
メコン地域がより一層の発展を遂げるためには,官,すなわち政府関係者の力だけでは不十分であることは明らかです。むしろ我々政府は,いかに民間の皆様に自由な経済活動を行っていただけるか,そのための環境整備にさらに力を入れていきたいと思っております。たとえば,投資の枠組みについて言えば,カンボジア,タイ,ベトナム,ラオスの間では各々経済連携協定や投資協定を通じた枠組みが既にありますが,ミャンマーとの間でも現在,投資協定の締結に向けて鋭意努力をしているところです。また,現地の実情やニーズに基づいて,現地の商工会議所,進出企業の皆様方とも連携して,各々の国の政府関係者と投資環境の一層の改善に向けてさまざまな協議を行ってきております。このような地道な活動にも今後とも力を入れていきたいと思います。
本日の会議においては,午前中にまず,現在のメコンの状況を大きく俯瞰するため日本と参加各国の官民の皆様からご説明を頂きます。また午後の分科会においては,さらに分野別の議論を深めることとしております。テーマとしては,インフラ,環境問題といった皆様のご関心の高い分野に加え,食文化やコンテンツ産業についても取り上げる
こととしました。メコン地域においても,生活スタイルの多様化,余暇の過ごし方の変化などから,これらは今後成長が一層見込まれる潜在性の非常に高い分野だと考えます。
大きな経済成長の可能性のあるメコン地域の開発を今後も持続的に進め,日本とメコン地域諸国の双方がwin-winの関係を築いていくためには,民間のニーズをいち早く把握し,民間の活力を取り込んでいくことが重要です。本日お集まりの皆様の活発な議論を期待します。
3 参加者へのメッセージ
本フォーラムは,2009年の第1回日メコン首脳会議において,官民協力を促進することが確認されたことに端を発し, 今回で第3回目を迎えます。
本日は,メコン地域諸国から政府代表者,民間代表者及び各分野で御活躍される実務者の方に加え,日本側からは関係省庁,民間企業の方々多数にお集まりいただきました。本日のフォーラムを機に様々な立場の方々が日本とメコン地域で有機的につながり,今後のメコン地域の発展に資するような活動が生まれるきっかけとなることを願っております。ありがとうございました。
(了)