データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ミャンマーに対する円借款に関する交換公文の署名

[場所] 
[年月日] 2013年5月26日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

1. 26日(現地時間同日),ミャンマー連邦共和国の首都ネーピードーにおいて,我が方沼田幹夫駐ミャンマー大使と,先方リン・アウン財務・歳入副大臣(H.E. Dr. Lin Aung, Deputy Minister for Finance and Revenue)との間で,510億5,200万円を限度とする円借款3件に関する交換公文の署名が行われました。

2. 対象案件の概要

 (1)貧困削減地方開発計画(フェーズ1)(供与限度額170億円)

 ミャンマーのインフラ整備の状況は,他のアセアン諸国と比べて低い水準にとどまっており,特に地方部における生活基盤インフラの整備が喫緊の課題となっています。この計画は,ミャンマー全国の7地域及び7州において,生活基盤インフラ(道路,電力,給水等)の新設・改修を行うものです。この計画の実施により,地方部の住民の生活水準が向上し,地方部における開発・貧困削減に寄与することが期待されます。

 (2)インフラ緊急復旧改善計画(フェーズ1)(供与限度額140.52億円)

 ミャンマーでは電力不足が深刻で,特に水力発電量が減少する乾季には計画停電が発生する等,電力需要のひっ迫が経済・社会活動にも影響を及ぼしています。今後,ティラワ経済特別区開発を含むヤンゴン都市圏における経済活動の活発化に伴って,更なる電力需要増が見込まれ,安定供給体制の確立が急務となっています。この計画は,ヤンゴン都市圏の火力発電所・変電所を改修することにより出力増強・効率化を図るものです。この計画の実施により,電力供給事情が改善され,ミャンマーの持続的経済成長に寄与することが期待されます。

 (3)ティラワ地区インフラ開発計画(フェーズ1)(供与限度額200億円)

 ヤンゴン近郊のティラワ経済特別区(以下「SEZ」という。)は,豊富な労働力及び既存の産業集積,また既存港湾が活用できること等が利点となっており,ミャンマー政府は優先的に開発を推進する意向を表明しています。しかし,同SEZ建設予定地はインフラが未整備となっており,企業進出を促進するためには,SEZ内部及び周辺のインフラ整備が重要な課題となっています。

 この計画は,ティラワ地区向けに十分な電力供給が可能となるよう電力関連施設(変電,発電,送配電等)を整備するとともに,増大するコンテナ貨物需要に対応した港湾の拡張を行うものです。この計画の実施により,同地区への直接投資の流入を促進し,同地区を含むヤンゴン都市圏の発展及び雇用創出を図り,ミャンマーの持続的経済成長に寄与することが期待されます。

3. 供与条件

 (1)金利:年0.01%

 (2)償還期間:40年(10年の据置期間を含む)

 (3)調達条件:一般アンタイド

(参考)ミャンマーは,面積約68万平方キロメートル(日本の約1.8倍),人口6242万人(2011年IMF推定),人口1人当たりGDP(国民総所得)は832米ドル(2011年IMF推定)。