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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] メコン地域における官民協力・連携促進フォーラム第4回日メコン全体会合:三ツ矢外務副大臣冒頭発言

[場所] 
[年月日] 2014年2月18日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 メコン各国政府及び民間セクター代表の皆様、ご列席の皆様、

 本日はご多忙な中、「メコン地域における官民協力・連携促進フォーラム第4回日メコン全体会合」にご出席をいただき、ありがとうございます。ソマート・ラオス公共事業運輸大臣をはじめ、メコン5カ国の政府代表の皆様、民間セクター代表の皆様、そして様々な分野に知見を持つ実務者の皆様が、このフォーラムのために訪日されたことに対し心から歓迎の意を表します。

 日・ASEAN友好協力40周年であった昨年はかつてなく、メコン地域諸国を含むASEAN諸国と我が国の関係が強化された年でした。年初から安倍総理を始め日本の閣僚が次々にASEAN諸国を訪問しました。特に安倍総理は1月のタイ、ベトナムへの訪問を皮切りに、36年ぶりのミャンマー、11月のラオス、カンボジア訪問をもって全てのASEAN諸国の訪問をわずか1年のうちに果たし、12月には日・ASEAN特別首脳会合及び日メコン首脳会議も開催しました。この点だけをとっても、安倍政権がどれほどこの地域を重視しているかがお分かり頂けると思います。また、日本企業の注目も高く、多数の経済団体ミッションがこの地域を訪れています。私自身もこうした経済団体の方々と積極的に意見交換の場を持ち、政府としてこの流れを後押ししていくべく取り組んできております。

1 我が国によるメコン地域開発支援と日メコン協力

 さて、従来からメコン地域諸国とは、政治、経済、文化等様々な面において我が国と密接な関係にあり、昨年は日越外交関係樹立40周年、日カンボジア外交関係樹立60周年でもあり、民間企業の皆様からも記念行事への御協力を頂きこの場を借りて改めて感謝申し上げます。また、今年は日ミャンマー外交関係樹立60周年、来年には日ラオス外交関係樹立60周年と続きますので引き続き宜しくお願いいたします。

 昨年はミャンマーに特に大きな注目が集まりました。また、メコン地域の経済回廊の整備に伴い、カンボジアやラオスについても日本企業の投資が増加しています。他方で、昨今、タイ、カンボジア情勢及び米国の金融緩和策の段階的縮小もあり、新興国としてのメコン諸国もリスクが強調されることが増えてきました。しかし、我が国のメコン諸国への支援はそうした短期的な視点によって左右されるものではなく、それぞれの国、地域の発展のため長期的視野に立って続けていく所存です。なお、この機会にタイにおいては全ての関係者に対し、暴力を行使することなく自制ある行動をとるように改めて強く促すとともに、関係者間の立場の相違が、民主的プロセス及び真摯な対話を通じて平和裡に解決されることを強く期待します。また、カンボジアにおいても、全ての関係者に対し、暴力を行使することなく平和裡に問題の解決をはかるよう改めて御願いしたいと思います。また、昨年7月の総選挙の結果をめぐり、与野党間の対話が速やかに再開され、事態の正常化が早期に実現することを強く期待します。

 ASEAN自らの最重要課題であるASEAN共同体構築はいよいよ来年2015年末に迫っています。日メコン協力はこのASEANの大きな夢の実現にも資するものです。ASESN統合の課題といえば、連結性の向上とASEAN域内格差の是正ですが、我が国は、引き続きASEAN域内の大陸部に位置するメコン地域のインフラ整備を積極的に後押しし、連結性向上に資する支援を行っていきます。また、我が国は、ハード・インフラの部分のみではなく、インフラを運営していくための制度面の整備や人材育成などのソフト面の支援についても今後とも一層充実させていく考えです。また、メコン地域の経済発展をあらゆる側面から支援し、域内の格差是正にも力を入れていきます。

 日メコン協力において、我が国は、2012年4月の首脳会議において、今後3年間で約6千億円の支援を内容とする「東京戦略2012」を採択しておりますが、昨年12月に東京で行われた日メコン首脳会議においては中間評価を行い、また、メコン各国との一連の二国間首脳会議において、総額2千億円規模の支援の表明及び署名を行っております。また、2012年の段階ではまだ本格的支援が再開されていなかったミャンマーとの間では、昨年から本格的に支援を再開したところであります。

2 メコン地域における官民連携

 私どもは民間企業の皆様に活躍していただく環境整備のために様々な取組を行っています。例えば、昨年12月には日ミャンマー投資協定が署名されました。これはミャンマーにとり初めての自由型投資協定であり、ミャンマーの投資環境がより一層向上することが期待されます。加えて、昨年はメコン地域諸国全てに対して査証緩和を行ったほか、カンボジア、ラオスとの間でも直行便開設に向け航空協定の交渉開始が合意されました。今後、人的交流が促進され観光を含め経済活動もより一層活発化することを期待しております。

 本日の会議においては、午前中に現在の日メコン協力について各国の考えを日本と主に各国の皆様から御紹介頂きます。また昨今メコン地域の産業構造について注目が集まっていますが、メコン開発を通じた日本企業の競争力強化について日本総研主任上席研究員の大泉啓一郎様より御講演頂きます。午後の分科会においては、さらにインフラ・経済特区(SEZ)、観光、保健医療といった分野別の議論を深めることとしております。これらの分野は安倍政権としても成長戦略の一環として非常に重視する協力分野です。

3 結び

 私は、今後メコン地域はますます発展していくものと確信しております。日本とメコン地域諸国の双方がwin-winの関係を築いていくためには、民間のニーズをいち早く把握し、民間の活力を取り込んでいくことが重要です。本日のフォーラムを機に官民双方の関係者が重層的かつ有機的につながり、今後のメコン地域の発展に資する活動がより多く生まれるきっかけとなることを願っております。有難うございました。