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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 地域的な包括的経済連携(RCEP)に係る共同首脳声明

[場所] 
[年月日] 2020年11月15日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

我々、東南アジア諸国連合(ASEAN)の構成国であるブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ及びベトナム並びにオーストラリア、中国、日本、韓国及びニュージーランドの国家元首又は行政府の長は、2020年11月15日、第4回RCEP首脳会議の機会にテレビ会議形式で会合した。

我々は、2019年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大がもたらした未曽有の挑戦に世界が直面している時にRCEP協定への署名に立ち会ったことを喜ばしく思う。我々の経済に対する感染拡大の悪影響並びに人々の生活及び福利の観点から、RCEP協定への署名は、経済回復、包摂的な発展、雇用の創出を支援し、地域のサプライチェーンを強化するという強いコミットメント、並びに開かれた、包摂的な、ルールに基づく貿易・投資協定に対する我々の支持を示すものである。我々は、RCEP協定がCOVID-19の感染拡大に対する我々の地域の対応にとって重要であり、感染拡大後の包摂的かつ持続可能な経済回復の過程を通じて地域の強靱性を構築する上で重要な役割を果たすことを認識する。

我々は、RCEP協定が、地域の先進国、開発途上国及び後発開発途上国という多様な国々により構成される前例のない巨大な地域貿易協定であることに留意する。世界のGDPのほぼ30%に当たる合計26.2兆米ドルのGDPを伴う、世界人口の約30%に当たる22億人の市場を対象とし、世界の貿易の28%近くを占めることとなる(2019年統計に基づく)協定として、我々は、RCEPが、世界最大の自由貿易協定として、世界の貿易及び投資のルールの理想的な枠組みへと向かう重要な一歩であると信じる。

我々は、また、RCEP協定が、ASEANにより開始された最も野心的な自由貿易協定であり、地域枠組みにおけるASEAN中心性の増進及びASEANの地域パートナーとの協力の強化に寄与することに留意する。RCEP協定は、20章から構成され、現代的な、包括的な、質の高い、及び互恵的な協定として、ASEANとRCEPに参加する非ASEAN諸国との間の既存の自由貿易協定がかつて対象としていなかった分野及び規律を含むものである。物品及びサービスの貿易並びに投資を対象とする特定の規定とは別に、RCEP協定は、知的財産、電子商取引、競争、中小企業(SMEs)、経済協力及び技術協力並びに政府調達に関する章を含むものである。我々は、RCEP協定の物品及びサービスの貿易並びに投資における自由化の水準を考慮すると、同協定が特に市場アクセスの観点から、域内のビジネスに広範な機会を開くことを確信している。

我々は、RCEP協定から得られる機会及び同協定の完全な潜在力は、同協定が効力を生ずることでのみ実現され得るということに同意した。この目的のため、我々は、少なくとも6のASEAN構成国及び3の非ASEANの署名国が批准書、受諾書又は承認書を同協定の寄託者に寄託することで実現する、同協定の早期発効のための各国の批准等の国内手続を迅速化するよう、事務方に指示した。我々は、また、閣僚に対し、地域に影響する貿易及び経済の問題に関する対話及び協力のプラットフォームとしてRCEPを発展させ、定期的に我々に報告するよう要請した。

我々は、RCEPが開かれた包摂的な協定であり続けることを確保することを約束する。さらに、我々は、RCEPにおけるインドの役割を高く評価し、RCEPがインドに対して引き続き開かれていることを改めて強調する。また、2012年からのインドのRCEP交渉への参加及びより深化したかつ拡張された地域のバリューチェーンを構築する地域のパートナーとしてのインドの戦略的な重要性を考慮し、16の原交渉参加国の1国として、インドのRCEP協定への加入は歓迎される。この点に関し、我々は、RCEPの担当閣僚により確認された別添の「インドの地域的な包括的経済連携(RCEP)への参加に係る閣僚宣言」を歓迎した。