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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 包括的戦略的パートナーシップへの関係格上げに関するタイ王国政府と日本国政府との間の共同声明

[場所] バンコク
[年月日] 2022年11月17日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

1.プラユット・ジャンオーチャー・タイ王国首相の招待により、岸田文雄日本国内閣総理大臣は、2022年11月17日から19日にかけてバンコクで開催された、第29回APEC首脳会議に出席するため、タイを訪問した。両首相は、2022年11月17日に首相府で二国間会談を行った。

2.両首脳は、ハイレベルの往来により強化された日タイ関係の発展、特に2022年5月1日から2日にかけての岸田総理大臣のタイ公式訪問、2022年5月25日から27日にかけての第27回国際交流会議「アジアの未来」(日経フォーラム)に出席するためのプラユット首相兼国防大臣の東京訪問、及び、日メコン、日本が開発パートナーであるACMECS、日ASEAN、国連等の下での地域・多国間枠組みでの協力に満足をもって留意した。

3.2012年に両国の「戦略的パートナーシップ」が構築されて以来、両国は幅広い分野で二国間関係を深化・拡大させてきた。特に、外交関係樹立135周年に当たる本年、両首脳は相互に訪問し、安全保障、経済、地球規模課題など様々な分野で二国間協力を推進させた。また、両首脳は、2022年11月17日にバンコクにおいて、ドーン・ポラマットウィナイ・タイ王国副首相兼外務大臣と林芳正日本国外務大臣との間で「日タイ戦略的経済連携5か年計画」が署名されたことを歓迎した。両国の戦略的パートナーシップ、特に経済パートナーシップを、より強靭で持続可能な未来に向けた協力の新たな道筋を描くことにより、時代の変化に適合し、対等なパートナーとして経済関係を共創するという共通認識に基づき、本5か年計画は、3つの協力分野、すなわち、(1)人材育成、規制改革、イノベーション、(2)バイオ・循環型・グリーン(BCG)経済、及び(3)インフラにおける2022年から2026年の間の経済関係の方向性を定めた中期的指針として機能することになる。

4.以上を踏まえ、また、緊密で多方面にわたる両国関係の進展と「戦略的パートナーシップ」の継続的な深化・拡大を認識し、両首脳は、進展する地域・世界情勢における現在及び新たな課題の中で、全方位の協力を推進するという共通の強い決意を反映し、「戦略的パートナーシップ」を「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げすることに合意した。

5.これに関し、両首脳は、意義ある「包括的戦略的パートナーシップ」を発展させるために緊密に協力し、両国間、国民間、さらにそれを超えた相互利益、進展及び繁栄のために「日タイ戦略的経済連携5か年計画」の実施を具体的行動に移していくというコミットメントを確認した。