[文書名] 日・ベトナム間における科学技術・イノベーション・デジタルトランスフォーメーション及び経済安全保障分野の優先協力事項リスト
2026年5月2日、高市早苗日本国内閣総理大臣とレー・ミン・フン・ベトナム社会主義共和国首相の首脳会談において、両首脳は、日本とベトナムとの間の「包括的戦略的パートナーシップ」を実質的かつ包括的に推進するための方針と施策について、誠実かつ率直に議論した。
2023年11月の「包括的戦略的パートナーシップ」への格上げに関する日越共同声明における「経済的連携と経済安全保障」及び2025年4月の「共同プレスリリース」における科学・技術・イノベーション・デジタルトランスフォーメーション(DX)という新たな協力の柱の確立に基づき、また、経済の自律性と強靱性の確保に関する共通認識を共有した上で、両首脳は、科学技術、半導体、人工知能(AI)、エネルギー、重要鉱物、農業の分野において、今後優先的に推進すべき具体的な協力事項について、以下のとおり一致した。
1. 科学技術
・ 2026年中に科学技術協力合同委員会の開催の調整を行うことを確認した。
・ 宇宙航空研究開発機構(JAXA)とベトナム宇宙センター(VNSC)との間の「衛星データ交換に関する協定」の推進を歓迎し、災害対応や農業等の分野への衛星データの活用促進を確認する。
・ 地球観測衛星の打上げ・運用計画は、日越間の協力空間を新たな高みへと押し上げるものであり、可能な限り早期にLOTUSat-1衛星の打上げを実施することを含めた本プロジェクトの成功に向けて、人材育成の推進を含めた連携を継続することを確認した。
・ 災害予測や気候変動対策のための地球観測、衛星データ活用に関する人材育成等の分野における連携や民間企業の参画も含めた連携を、引き続き強化することを確認した。また、宇宙空間の平和的かつ持続可能な利用を確保するため、国際場裡における協力を推進することで一致した。
・ 今般、署名された「情報通信技術(ICT)及びデジタルトランスフォーメーション分野における協力覚書」の下、効果的に通信分野等における連携等の協力を実施することを確認した。
・ 日越間の官民でハイテクに関する議論を行うための場を早期に調整していくことで一致した。
2. 半導体
・ 「日ASEAN科学技術・イノベーション協働連携事業(NEXUS)」及び「さくらサイエンスプログラム」を引き続き効果的に実施していくことを確
認した。
・ 両国間の教育協力の象徴的なプロジェクトである日越大学に開設された
半導体チップ技術学部の開始を歓迎する。
・ NEXUSプログラムの下で、半導体分野における日越共同研究について、第
1回公募として5件の共同研究プロジェクトを共同支援することで同意し、第2回公募として最大10件の共同研究プロジェクトの実施を見込む。
・ 半導体分野における日越共同シンポジウムの早期開催に向けて緊密に連携することを確認した。
3. 人工知能(AI)
・ 「日ASEAN・AI共創イニシアティブ」の枠組みを通じて、AI分野における具体的な協力を推進する。
・ 日本はAI分野における信頼できるパートナーとして、アジアの多様な言語・文化を反映した大規模言語モデル(LLM)や産業別のAI基盤モデルの共同開発及び活用に向け、計算資源、知見及びAI開発のノウハウを提供する用意がある。
・ 日本は、ODA及び柔軟な産官学連携を通じ、AI分野の人材育成と人的交流を強力に支援する。
・ AI駆動型モビリティ・プラットフォームの構築・実装を目的とした広島大学とハノイ工科大学の科学技術協力を通じた日越共同研究プロジェクトを採択することを決定した。
4. エネルギー・重要鉱物
・ サプライチェーンの維持と地域のエネルギー自主性に向けた協力を推進する。
・ AZECの枠組みにおける15のパイロットプロジェクトの早期実施、及び日本が発表したパワー・アジア(アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ)の下での協力案件の具体化について、双方の互恵原則の下で協議を促進する。
・ 「パワー・アジア」の枠組みの下、日本の官民のパートナーによる、ニソン製油所における原油調達にかかる支援を行う方向で一致した。
・ 双方のニーズと能力に応じた、2040年以降の原子力分野における協力の可能性に関する協議を促進する。
・ 日越サプライチェーン強靱化に向けて、重要鉱物分野における協力の推進を議論する。
5. 農業・食料安全保障
・ 「日越農業協力中長期ビジョン」第3期(2025年〜2030年)の効果的実施に向けた連携をする。
・ メコンデルタ地方における高品質・低排出米100万ヘクタールプログラムの実施を民間企業と共同しつつ共に進めることで、世界の食料安全保障に貢献する。
・ ベトナム産ポメロと日本産ブドウの相互の市場の早期開放に向けた調整を加速する。
訪越に際して署名・交換された文書
1. 総務省と科学技術省の「情報通信技術(ICT)及びデジタルトランスフォーメーション分野における協力覚書」
2. 農林水産省と農業環境省の「かんがい排水分野の技術交流に関する協力覚書」
3. 災害に対して強靭な農村開発計画に関する借款契約(L/A)
4. 北部山岳・兵陸地帯における地域コミュニティの生産支援のための気候変動適応インフラ整備計画に関する借款契約(L/A)
5.日・ベトナム間の二国間クレジット制度(JCM)に関する改定協力覚書
6.宇宙航空研究開発機構(JAXA)とベトナム国家宇宙センター(VNSC)間の「衛星データ交換に関する協定」