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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「日メコン協力戦略2024」の実施に関する第17回日・メコン外相会議共同議長声明

[場所] マニラ
[年月日] 2026年7月22日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

 以下の声明は、2026年7月22日にフィリピンのマニラで開催された第17回日・メコン外相会議の共同議長である、茂木敏充日本国外務大臣及びレ-・ホアイ・チュン・ベトナム社会主義共和国外務大臣によって発出された。

1 我々は、メコン諸国と日本との間の長年の友好とパートナーシップに対する我々のコミットメントを再確認した。我々は、強靱で、持続可能かつ繁栄した、多様で、包摂的、自由かつ公正な日・メコン・パートナーシップを共創し、共通の課題に共同で対処し、強靱性を高め、自律性を促進することで、経済安全保障及び人間の安全保障を確保するため、協力を更に深化させることの重要性を強調した。

2 我々は、インド太平洋地域における安定、協力及び持続可能な発展のためのメコン地域の地政学的、経済的及び戦略的な重要性を再確認し、この地域及びそれを超える地域の発展に積極的に貢献していくことに引き続きコミットした。これに関して、我々は、メコン地域の持続可能な開発に対する日本の継続した強いコミットメントと多大な貢献について深い感謝と共に認識し、地域の連結性、経済的強靱性、デジタル・トランスフォーメーション及び環境の持続可能性の推進において、日本が頼りになり、信頼できる、不可欠なパートナーであることを認識した。

3 我々は、2025年7月の第16回日・メコン外相会議以降、「日メコン協力戦略2024」の実施において達成された具体的な進展を歓迎した。我々は、地域の連結性及び物流の強化、エネルギー安全保障と持続可能なエネルギー移行の促進、非伝統的安全保障問題に対応する能力の強化並びに地域の強靱性の向上を目的とする、様々なイニシアティブ及び大規模プロジェクトを通じた日・メコン協力の継続的な前進を満足の意をもって認識した。我々は、メコン河委員会(MRC)との協力の下で実施され、メコン地域の持続可能な経済発展に資するよう、水質モニタリング、調査及び管理の能力を強化するとともに、下流域諸国間における当該分野の国際協力の基盤を築くことを目的としている無償資金協力「メコン河下流域における水質管理強化計画」に関する署名及び交換公文を歓迎した。我々はまた、国際組織犯罪に対処するため、日本が国連薬物・犯罪事務所(UNODC)を通じて、メコン地域における国際的な組織犯罪に対する越境協力の強化、及び、国際組織犯罪及びサイバー空間を利用した詐欺の阻止を目的として、メコン諸国の捜査能力の強化、域内の法執行協力、情報共有及び実務協力の向上のため支援を実施していることを歓迎した。

4 我々は、「戦略2024」の3本柱、すなわち(1)ポストコロナにおける強靱で連結された社会、(2)デジタル化、(3)非伝統的安全保障問題への積極的対応、の下で、日・メコン協力を更に効果的に前進させるという我々のコミットメントを改めて表明した。

A ポストコロナにおける強靱で連結された社会

a 我々は、質の高いインフラ開発の推進、物理的・制度的及び人と人との連結性の強化、並びにメコン地域内及びメコン諸国と日本の間の貿易及び投資を円滑化するための物流ネットワークの強化に対する我々のコミットメントを再確認した。

b 我々は、世界的な不確実性が高まる中で、経済安全保障の重要性が増大していることを強調した。我々は、特に災害、感染症及び紛争といった緊急時において、食料、エネルギー、重要鉱物、その他経済の安定及び国家安全保障に不可欠な重要物資への確実なアクセスを確保するため、貿易円滑化、物流の連結性を促進し、強靱で、透明性のある、信頼できる、多様化した、持続可能なサプライチェーンを強化する協力を推進するための我々のコミットメントを再確認した。

c 我々は、日ASEAN農林大臣会合で採択された日ASEANみどり協力プランの下での取組を通じて、日本の技術及び経験を活用し、メコン地域における強靱で持続可能な農業、漁業及び食料システムの構築に引き続き協力することへのコミットメントを再確認した。

d 我々は、世界のエネルギー市場の不確実性の下において、適切に機能し自由で透明性のある市場及びルールに基づく貿易を維持することの重要性を再確認した。我々はまた、より強靱なエネルギー・サプライチェーンを構築するため、石油備蓄の強化に関する国際協力、生産国と消費国の間のエネルギー分野における緊密な連携、並びにアジア・エネルギー・資源供給力強靭化パートナーシップ(パワー・アジア)及びASEANエネルギー協力行動計画2026-2030の実施を含む地域イニシアティブを通じた協力の重要性を認識した。我々はまた、クリーンエネルギー移行、エネルギー効率、再生可能エネルギーの導入及び地域間電力連携に対する日本の継続的支援を歓迎した。我々はさらに、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)の下での協力の進展を歓迎し、各国の事情及び開発優先事項を踏まえつつ、再生可能エネルギー、エネルギー効率、持続可能な燃料、スマートグリッド、エネルギー貯蔵技術及び脱炭素化の取組における更なる協力を奨励した。

B デジタル化

a 我々は、持続可能な開発及び経済競争力の主要な原動力としてのデジタル・トランスフォーメーションの重要性を再確認した。したがって、我々は、ASEAN連結性戦略計画を支える、メコン諸国におけるデジタル・インフラ及びデジタル連結性の整備・改善に対する日本の継続的な支援の重要性を再確認した。

b 我々は、日ASEAN・AI共創イニシアティブの下で、知見及びベスト・プラクティスの共有などを通じ、経済成長、イノベーション及び持続可能な開発に資する、安全、安心で、包摂的かつ信頼できる、AIに関する協力を強化することの重要性を再確認した。我々はまた、この点に関連して、他の新興技術に関する協力の重要性を再確認した。

c 我々は、生産性、資源効率、気候強靱性及び持続可能な食料システムを改善するため、AI、IoT、リモート・センシング及びデータ駆動型技術の適用を通じて、メコン地域におけるスマート農業を促進する方法を模索する意図を表明した。

C 非伝統的安全保障問題への積極的対応

a 我々は、メコン河委員会に対する日本の支援が、メコン河流域が直面する新たな水関連の課題に対処し、メコン河流域の持続可能な開発を促進するための地域能力の強化に資することを評価した。我々は、メコン地域における越境水資源管理、すなわち洪水・干ばつリスク管理及び水質モニタリングを含む分野におけるメコン諸国の能力強化に対する日本の継続した支援を歓迎した。我々はまた、日本が支援した、水資源管理を含む越境環境問題に対処するためのACMECSプロジェクトの進捗を歓迎した。

b 我々は、サイバー犯罪、オンライン詐欺、マネー・ローンダリング、人身取引及びテロ資金供与を含む国際組織犯罪がもたらす新たな脅威に懸念を表明した。我々は、日ASEANサイバーセキュリティ能力構築センター(AJCCBC)及び国連薬物犯罪事務所(UNODC)と連携し、域内の法執行協力、関係当局間の調整、情報共有、サイバーセキュリティ演習及び能力構築並びに啓発を強化する日本の取組を歓迎した。我々はまた、関連の地域枠組みによるものを含め、法執行機関間の地域調整の強化に対する日本の支援を歓迎し、地域協力のために日本の警察庁リエゾンが新たにバンコクに配置されたことに留意した。

c 我々は、気候変動、自然災害、環境悪化、大気汚染及び公衆衛生上の緊急事態を含む越境課題に対処するに当たり、日・メコン協力を更に強化することにコミットした。我々は、アジア健康構想の下での協力を深化させることの重要性も再確認した。

5 我々は、日・メコン協力における民間セクターの参画を促進することの重要性を強調した。我々は、地域及びグローバルのバリューチェーンへの統合を強化するため、零細・中小企業の能力強化の重要性を強調した。このため、我々は、ビジネス・ネットワーキング、官民対話、貿易及び投資機会のためのプラットフォームの設立を、メコン・日本協力の各国に奨励するとのベトナムの提案に留意した。

6 我々は、各種サブ地域協力メカニズムの中でも、日・メコン協力がASEAN共同体構築の取組に貢献していることを認識し、「日メコン協力戦略2024」、ASEAN共同体ビジョン2045、インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)及び5月の高市総理大臣のハノイ訪問の際に示された日本の進化した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」との連結性を確保することの重要性を再確認した。

7 我々は、ASEAN、大メコン圏(GMS)、エーヤワディ・チャオプラヤ・メコン経済協力戦略(ACMECS)、フレンズ・オブ・メコン(FOM)、メコン河委員会(MRC)及びその他の関連するメカニズムを含む、既存の地域及びサブ地域の協力枠組み間の更なる相乗効果を奨励した。

8 我々は、新たな時代の日・メコン協力に向けたビジョンを形成するため、最も早い適切な時期に第13回日・メコン首脳会議を再開することを強く支持した。