[文書名] 航空業務に関する日本国と中華民国との間の交換公文
中華民国特命全権大使から外務大臣にあてた書簡
(仮訳)
書簡をもつて啓上いたします。本使は、中華民国と日本国との間の及び両国をこえての定期航空業務に関して両政府の代表者の間で最近行われた会談に言及するとともに、その会談において合意され、かつ、両政府がそれぞれの行政権の範囲内において実施することを約束する次の取極を中華民国政府に代つて確認する光栄を有します。
1 中華民国政府は、日本国政府により指定される一又は二以上の航空企業が次に掲げる商業航空路線において定期航空業務を運営することを認めるものとする。
(a) 岩国及び沖繩を経て東京と台北との間
(b) 沖繩を経て岩国と台北との間
2 日本国政府は、中華民国政府により指定される一又は二以上の航空企業が次に掲げる商業航空路線において定期航空業務を運営することを認めるものとする。
(a) 沖繩及び岩国を経て台北と東京との間
(b) 沖繩を経て台北と岩国との間
3 中華民国政府は、日本国政府により指定される一又は二以上の航空企業に対し、1に定める航空路線を
(a) 香港、サイゴン及びバンコックまで、並びに今後合意される他の以遠の地点まで
(b) マニラまで、及び今後合意される他の以遠の地点まで
延長することを許可し、かつ、前記の地点に向けられた旅客、貨物及び郵便物を台北において積み込み、また、前記の地点からの旅客、貨物及び郵便物を台北において積み卸す権利を許与することに同意する。
4 日本国政府は、中華民国政府により指定される一又は二以上の航空企業に対し、
(a) 2(a)に定める航空路線を
(ⅰ) 釜山、京城まで、及び今後合意される他の以遠の地点まで
(ⅱ) 北太平洋における中間地点を経て今後合意されるアメリカ合衆国内の一地点まで、及び今後合意される他の以遠の地点まで
延長することを許可し、かつ、前記の地点に向けられた旅客、貨物及び郵便物を東京において積み込み、また、前記の地点からの旅客、貨物及び郵便物を東京において積み卸す権利を許与することに同意する。
(b) 2(b)に定める航空路線を、釜山、京城まで、及び今後合意される他の以遠の地点まで延長することを許可し、かつ、前記の地点に向けられた旅客、貨物及び郵便物を大阪において積み込み、また、前記の地点からの旅客、貨物及び郵便物を大阪において積み卸す権利を許与することに同意する。
5 運航回数は、両政府の航空当局間の相互の合意により決定するものとする。
6 前記の両国間の路線及びその延長路線上において、同路線の運営を認められた一又は二以上の航空企業は、中間地点における着陸を省略していずれかの地点の間の無着陸飛行を行うことができる。
7 前記の両国間の路線及びその延長路線の運営を認められた航空企業による旅客及び貨物の運送のための運賃は、両政府の認可を受けなければならない。前記の航空企業が定めようとするすべての新たな運賃は、両政府の航空当局に対し、認可を受けるため、その運賃の実施の日の少くとも三十日以前に提出されなければならない。
8 両政府は、前記の業務に関し、千九百四十四年十二月七日にシカゴで署名された国際民間航空条約の規定を適用することを約束する。
9 いずれの一方の国の航空企業も、定期国際航空業務に関して、次に掲げる特権を享有するものとする。
(a) 他方の国の領域を無着陸で横断する特権
(b) 運輸以外の目的で他方の国の領域に着陸する特権
10 以上の取極は、千九百五十五年三月十五日から一年間効力を有するものとし、また、いずれか一方の政府がこの取極を終了させる意思を他方の政府に対して一年の期間が満了する九十日前に通告しない限り、引き続きそれぞれ一年の期間について自動的に効力を延長されるものとする。もつとも、この取極は、千九百五十二年四月二十八日に台北で署名された中華民国と日本国との間の平和条約第八条において予見される民間航空運送に関する協定が両国間で締結されたときは効力を失うものとする。
本使は、閣下が以上の取極を日本国政府に代つて確認されることを要請する光栄を有します。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向つて敬意を表します。
千九百五十五年三月十五日
董顯光(署名)
日本国外務大臣 重光葵殿
外務大臣から中華民国特命全権大使にあてた書簡
(仮訳)
書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、次のとおりの本日付の閣下の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
本使は、中華民国と日本国との間の及び両国をこえての定期航空業務に関して両政府の代表者の間で最近行われた会談に言及するとともに、その会談において合意され、かつ、両政府がそれぞれの行政権の範囲内において実施することを約束する次の取極を中華民国政府に代つて確認する光栄を有します。
1 中華民国政府は、日本国政府により指定される一又は二以上の航空企業が次に掲げる商業航空路線において定期航空業務を運営することを認めるものとする。
(a) 岩国及び沖繩を経て東京と台北との間
(b) 沖繩を経て岩国と台北との間
2 日本国政府は、中華民国政府により指定される一又は二以上の航空企業が次に掲げる商業航空路線において定期航空業務を運営することを認めるものとする。
(a) 沖繩及び岩国を経て台北と東京との間
(b) 沖繩を経て台北と岩国との間
3 中華民国政府は、日本国政府により指定される一又は二以上の航空企業に対し、1に定める航空路線を
(a) 香港、サイゴン及びバンコックまで、並びに今後合意される他の以遠の地点まで
(b) マニラまで、及び今後合意される他の以遠の地点まで
延長することを許可し、かつ、前記の地点に向けられた旅客、貨物及び郵便物を台北において積み込み、また、前記の地点からの旅客、貨物及び郵便物を台北において積み卸す権利を許与することに同意する。
4 日本国政府は、中華民国政府により指定される一又は二以上の航空企業に対し、
(a) 2(a)に定める航空路線を
(ⅰ) 釜山、京城まで、及び今後合意される他の以遠の地点まで
(ⅱ) 北太平洋における中間地点を経て今後合意されるアメリカ合衆国内の一地点まで、及び今後合意される他の以遠の地点まで
延長することを許可し、かつ、前記の地点に向けられた旅客、貨物及び郵便物を東京において積み込み、また、前記の地点からの旅客、貨物及び郵便物を東京において積み卸す権利を許与することに同意する。
(b) 2(b)に定める航空路線を、釜山、京城まで、及び今後合意される他の以遠の地点まで延長することを許可し、かつ、前記の地点に向けられた旅客、貨物及び郵便物を岩国において積み込み、また、前記の地点からの旅客、貨物及び郵便物を岩国において積み卸す権利を許与することに同意する。
5 運航回数は、両政府の航空当局間の相互の合意により決定するものとする。
6 前記の両国間の路線及びその延長路線上において、同路線の運営を認められた一又は二以上の航空企業は、中間地点における着陸を省略していずれかの地点の間の無着陸飛行を行うことができる。
7 前記の両国間の路線及びその延長路線の運営を認められた航空企業による旅客及び貨物の運送のための運賃は、両政府の認可を受けなければならない。前記の航空企業が定めようとするすべての新たな運賃は、両政府の航空当局に対し、認可を受けるため、その運賃の実施の日の少くとも三十日以前に提出されなければならない。
8 両政府は、前記の業務に関し、千九百四十四年十二月七日にシカゴで署名された国際民間航空条約の規定を適用することを約束する。
9 いずれの一方の国の航空企業も、定期国際航空業務に関して、次に掲げる特権を享有するものとする。
(a) 他方の国の領域を無着陸で横断する特権
(b) 運輸以外の目的で他方の国の領域に着陸する特権
10 以上の取極は、千九百五十五年三月十五日から一年間効力を有するものとし、また、いずれか一方の政府がこの取極を終了させる意思を他方の政府に対して一年の期間が満了する九十日前に通告しない限り、引き続きそれぞれ一年の期間について自動的に効力を延長されるものとする。もつとも、この取極は、千九百五十二年四月二十八日に台北で署名された中華民国と日本国との間の平和条約第八条において予見される民間航空運送に関する協定が両国間で締結されたときは効力を失うものとする。
本使は、閣下が、以上の取極を日本国政府に代つて確認されることを要請する光栄を有します。
本大臣は、閣下の書簡に掲げる取極を日本国政府に代つて確認する光栄を有します。
本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向つて敬意を表します。
千九百五十五年三月十五日
重光葵(署名)
日本国駐在中華民国特命全権大使
董顯光閣下