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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第27回亜東関係協会.交流協会貿易経済会議に関する合意議事録

[場所] 台北
[年月日] 2002年11月28日
[出典] 中華民国対外条約集編第十四編162‐192頁
[備考] 
[全文]

Signed on November 28, 2002

Entered into force on November 28, 2002

 亜東関係協会と交流協会とは、双方の貿易経済関係を促進するため、2002年11月27日及び28日の両日、台北において第27回貿易経済会議を開催した。

 会議においては、亜東関係協会から「台湾ハイテク工業の発展状況」及び交流協会から「最近の知的財產権整備の状況」について政策紹介を行うとともに、双方の代表団は、十分な意見交換を行い、次のとおり合意議事録を作成した。

【一般政策分科会】

1.WTOをめぐる諸問題について

 亜東関係協会より、農産物自由化、アンチ.ダンピング及びサービス分野等、新ラウンドにおける台日双方の関心事項について、シンボヅウム{前6文字ママ}を開催するなどWTOの枠組みの中で協力をしていきたい旨提案があった。

 これに対し交流協会より、WTO等多国間問題が日台でも議論できることをうれしく思い、この問題を当会議で議論することは重要である旨説明し、また、台湾が加盟の際に約束したことを確実に順守されることを求めるとともに、アンチ.ダンピング、農業、林水産物、投資の分野において台湾と立場が近いので、新ラウンド交涉で協力したい旨述べた。

 また、亜東関係協会より、台湾のWTO加盟に伴うコミットメント遵守に留意する旨述べた。

 なお、交流協会より、シンボヅウム{前6文字ママ}開催に係る協力について提案があったことについては関係部署に伝達する旨述べた。

2.APECにおける今後の日台協力の推進について

 交流協会より、バイラテラル担当とリージョナル、マルチラテラル担当がお互いに協力しAPECの場をうまく利用していくことが重要であるう{前3文字ママ}との考え方を示し、日台双方の協力によりAPECを盛り上げていきたいと述べAPECビジネス.トラベルカード、構造改造等におけるAPECでの協力に言及すると共に、APECにおける知的財産権保護のために日本側提案についても引き続き台湾側の支持を得たい旨述べた。

 これに対し亜東関係協会は、APECにおける知的財産権保護のための日本側提案について引き続き支持したい旨述べると共に、今後ともAPECの場における日台双方の協力を推進していきたい旨述べた。

3.日本側が台湾開催の「国境越えるペーパーレス貿易環境へ邁進一貿易迅速化の具体的行動(Toward A Cross-border Paperles Trading Environment-Actions For Trade Facilitation)」セミナーへの引き続き参加することへの要望について

 亜東関係協会は、「国境を越えるペーパーレス貿易環境への邁進」協力提案は、APECでも熱烈な支持を得た。本件の具体的な企画として、2003年6月にセミナーを開催する予定であり、本セミナーの共催国である日本より金融分科会の議長、講師の派遣等参加者を多く派遣してもらいたい旨述べた。

 これに対し交流協会は、日本としても台湾エコノミーの提案趣旨には賛成であり、スピーカー等を派遣すること等を通じて、積極的に貢献したいと述べ、共同開催エコノミーとして積極的にインプットをしていきたいので、随時日本側の事務方とも調整してもらいたいが、協力できる具体的な分科会の分野、スピーカーの派遣については即答できないので、持ち帰り検討したい旨述べた。

4.日台貿易調査技術の向上及び経験交流活動の増加について

 亜東関係協会より本年7月に、台湾ポリエステル短繊維業者がダンピングと認定され、10.3%のアンチ.ダンピング税率の賦課が決定された旨説明があった。また、日台双方の貿易調査技術専門家は貿易経済会議の機会に定期的に相互交流を行うことにより貿易調査案件の紛争を減少させ、貿易経済交流活動を改善することを提案すると共に、日本がWTO紛争解決手段に関与した経験を教示してほしい旨述べた。

 これに対し交流協会より、アンチ.ダンピング課税賦課に至るまでには、台湾の事業者の代理人に調査票を送付する等慎重な手続きを経たものであり、今後ともアンチ.ダンピング等の措置のプロセスについては慎重に進めていく旨説明した。また、参考として、米国の鉄鋼セーフガード措置に関する資料と日本製熱延鋼板に関する米国のアンチ.ダンピング措置に関する対応をまとめた資料を提出した。

5.協力交流の機会を通じて、日本政府の中小企業電子化に対する指導方法を理解し、台湾が推進中の「中小企業電子化計画」の鏡としたいとの要望について

 亜東関係協会は、台湾は現在、「中小企業電子化計画」を推進しており、中小企業電子化指導政策の推進状況と成果、執行時の問題等につき理解するため、日本の中小企業庁等との協力によって、台湾が推進中の当該計画の参考としたい、と述べた。

 これに対し交流協会は、中小企業庁では「平成15年度末までに、中小企業のおおむね半数程度がインターネットを活用した電子商取引等を実施できること」を目標に、中小企業経営者のIT活用に対する意識向上や人材育成のためのセミナーや研修等の各種施策を実施し、中小企業のIT化の促進を支援している旨説明した。

 また、亜東関係協会から、今後、本件に関し日本の中小企業庁と意見交換をしたいとの要望かおり、交流協会は、関係部署に伝える旨回答した。

6.革靴の輸入関税割当額の制限の緩和検討の対日要望について

 亜東関係協会は、台湾の製靴業者にとって、関税割当(TQ)が、革靴を日本に売り込む際の障害になっており、関税割当数量枠は約1,200万足と97年以降一度も増加しておらず、関税率も21.6%と依然高いので、制限緩和に期待したいと述べた。また台湾の製靴業界の対日輸出が増えているが、これは日本市場に期待している表れであり、当方としても本件に関心を持っていると述べた。

 これに対し交流協会は、我が国は、革靴に関しWTO整合的である関税割当制度を導入しており、ウルグアイ.ラウンドの合意に基づき、関税引き下げを着実に実施してきているが、日本の革靴産業は、歴史的、社会的に困難な問題を抱える産業であり、中小.零細事業者が大部分を占め、国際競争力も乏しいこと等から、更なる関税引き下げ及び関税割当枠の拡充は国内産業に与える影響が大きく極めて困難であると説明し、今後WTO交涉において対処すると述べた。

7.日台間におけるエピグロロヒドリン(Epichlorohydrin)等の化学品の関税格差の縮小に関する対日請願について

 亜東関係協会は、日本におけるエピクロロヒドリン(Epichlorohydrin)等の化学品の輸入関税は、台湾の輸入関税よりも高く、引き下げの余地がある、また、台湾は特恵関税を適用されていないところ、対等互恵の原則に基づき、これらの化学品の日台関税格差を縮小してもらいたいと述べた。

 これに対し交流協会は、我が国化学品の関税率は、「化学品関税引き下げハーモナイゼーション協定(CTHA)」に基づき引き下げを行っており、台湾におかれてもWTO新ラウンドのプロセスにおいて化学品ハーモナイゼーションに積極的に参加されたいと説明した。

8.原子力安全に関する情報交換について

 交流協会より、原子力安全は国境を越えた共通の問題であることを踏まえ、可能な範囲内で徐々にかつ着実に情報交換を進める必要があるとの基本認識を述べた。その上で、双方の原子力安全に係る当局は、双方の原子力安全に係る当局が直接意見交換する場として貿易経済会議を活用し、次回の会議においては、例えば、原子力規制に関する法的枠組み、組織体制、運転管理状況、緊急時の連絡体制のあり方につき意見交換を行うことを提案すると共に、必要な場合には交流協会と亜東関係協会を窓口として平素から連絡を取ることとしたい旨述べた。

 これに対し、亜東関係協会より、日本側が主体的本件を議題とすることにより今回初めて双方の原子力安全に係る当局が意見交換することが出来たことを高く評価する、日本側提案に完全に同意すると共に、緊急事態が生じた場合など必要な場合には、交流協会と亜東関係協会を窓口として連絡を取っていきたい旨応答した。

9.時代の潮流及び双方産業界のニ-ズに応じて、日台自由貿易協定の締結協議の共同推進について

 亜東関係協会より、日台は相互に重要な貿易パートナーであり、双方の経済貿易をレベルアップさせる近道としてFTA締結を進めていきたいと述べ、日台双方産業界のFTAに関するニーズをアピールするために、交流協会、亜東関係協会はもっと積極的な役割を果たすべきである旨述べた。また、日本と他国との自由貿易協定締結に関する情報の提供を求めた。

 これに対し交流協会は、日台自由貿易協定に関しては、現在、本年12月の報告をめざして東亜経済人会議でその可能性について研究が進められており、今後の対応については、同報告を精査し、検討すると述べた。また、日韓及び日墨FTAの進捗状況に関する資料を亜東関係協会へ提供した。

10.日台間電子商取引分野の協力強化により、双方のビジネス往来を進展させるとともに地域協力の緊密化効果を図ることについて

 亜東関係協会より、2003年の日台電子商取引推進委員会第3回会議を6月に開催するよう提案したいと述べた。また、日本が進めているTEDIについて、日本側が専門家を派遣する等協力していることに感謝するとと{前4文字ママ}また、TEDIの現段階の運営方式及び国際間との協力に関する資料を提供してほしい旨述べた。交流協会より、同会議の開催日については、日本側委員会の委員長、各委員等の都合もあるので、来年の6月開催という台湾側の意向も踏まえて、今後調整していきたい旨回答した。また、「TEDIの紹介と利用案内」及び「TEDIの海外への展開に関する状況」の資料を提出した。

11.電子商取引における日台間の相互協力の推進について

 交流協会より、日台間での電子商取引の拡大のためにも、電子商取引に係る法制度の協調について検討を進めたいと考えており、今後、日台間でIT関係のルールを互いに紹介、意見交換を行うこととし、日台電子商取引推進員会合同会議の場を活用して進めることを提案した。また、台湾のトラスト.マーク運用団体がアジア.トラストマーク.アライアンスに加われば、日本も参加するので自動的に日台間での連携が図られることとになり、台湾と今後とも連絡を取りつつ、日台が参加したアジア.トラストマーク.アライアンスの構築に関して、互いに協力を進めていきたい旨述べた。さらに、B2Cの電子商取引におけるトラブル解決に当たって、簡易かつ迅速な救済手続の提供が必要であり、日台間のADR運営団体同士の連携についても検討を進めていきたい旨述べた。台湾ではSOSAという団体がトラスト.マーク制度及びADR制度を運用しているが、詳細が不明であるので紹介してもらいたい旨述べた。

 これに対し亜東関係協会は、次のように回答した。日本側の提案に感謝し、台湾としても協力していきたい。台湾のトラストマーク制度とADRについては、今月29日の会合で、台湾のトラストマークとADRの担当者を呼んで、意見交換させたい。29日の会合は、日台の制度協調に役立つ。台湾では、トラストマークの実際の推進において直面している問題があるので、29日の会合では、日米間の協力や日本のプライバシー保護の推進状況とprivacy enhancing technologyについて紹介してもらいたい。

 交流協会は、出来る限り紹介すると回答した。

12.対中国製品輸入禁止問題について

 交流協会は、中国輸入禁止項目の大部分が解禁された中で、電子.電気製品の多くが未だ解禁されていない点について、その措置が中国に生産拠点を置く日系電子、電気メーカーにとって非関税の貿易制限措置となっていることから、その解禁できない理由及び今後解禁する準備かあるかの確認を行った。

 これに対し亜東関係協会は、中国、台湾のWTO加盟に伴い、2月に2,058品目の解禁を行ったが、未だ解禁されていない項目については、2ヶ月毎或いは6ヶ月毎に台湾の安全及び産業に不利な状況でないかという観点から審査を行い、審査をパスした品目については、国際貿易局のホームページにて追加公表することとして、また、今年11月18日にも316品目を追加した旨回答した。

 交流協会は、さらに、WTOの原則である「最恵国待遇」を遵守し、一層の緩和を期待する旨発言した。

13.両岸経済の交流促進について

 交流協会より、第一に、台湾から対中投資を行う場合、政府への申請等時間を要するものもあるが出来る限り簡素化してもらいたい、第二に、中国とのビジネスマンの往来規制が緩和されて来ているが、一般技能職を含めた広範な人的交流の緩和をしてもらいたい、第三に、大陸との物流が増加するなか、第三国経由での輸出は時間的.経済的なロスも大きいので直接的な物流の早期実現をしてもらいたいと、両岸経済交流の促進に係る三点について説明。

 これに対し亜東関係協会は、第一点については、大陸投資の簡素化について積極的に産官学で検討しており、同じ投資で累計投資額2000万米ドル以下であれば、簡易審査とするなどの手続の簡素化を進めている、第二点については、現在でも、人的交流は現行の2つの許可法に基づいて取り扱っており、その法律に合致すれば、ビジネスマンや研修の受講者等は申請、訪問ができる、第三点については、「3通」は、両岸貿易経済関係を正常化させるため避けられない問題であるが、特に通航については、国家安全管理の問題もあり双方で協議すべきものであるが、台湾としては、善意と弾力性をみせている、と述べた。

14.駐台事務所に派遣されている経済貿易関連の担当者の駐在期間延長の請願について

 亜東関係協会は、交流協会高雄事務所の次長ポストは、日系企業の進出が増加している台湾南部地区において、台湾と日本の経済発展と技術交流を促進させる上で、役割が大きいと考えるが、任期は2年のため、業務に支障をもたらしているとの声があり、任期を3年とするか、経済担当スタッフを増員するよう要望した。

 これに対し交流協会は、高雄事務所次長の職責の理解には感謝するが、本件についてこの場で議論することはなじまないので、趣旨を関係部署に伝える旨回答した。なお、これまでも高雄事務所の貿易関連業務は台湾側と充分連携、共同して行ってきており、支障はないと認識している旨併せてコメントした。

15.日台の港の相互交流の強化について

 亜東関係協会より、台湾側の港は地理的にも近い日本の港と姉妹関係を結びたい、姉妹関係を結べば姉妹港間の優遇措置を受けることができ日台双方にとって有益である旨述べた。

 これに対し交流協会は、港湾分野においては、国際港湾協会(IAPH)における各種会議やAPEC港湾専門家会議を通じて、港湾開発、計画、建設、経営について台湾を含む世界各国の港湾関係者と広く意見交換、情報交換を行っており、今後もこのような取り組みを進めていきたい、さらに民間レベルを含む様々なレベルでの日台間の交流がますます盛んになることを期待する旨述べた。

16.日本の民間海上救援及びサルベージ会社の救援能力及びその連絡先提供の要請について

 亜東関係協会より、台湾は国際航路の要衝に当たり、海上事故も多く発生しており、わが方及び船主の参考とするため日本のサルベージ会社の資料を入手したい旨述べた。

 これに対し交流協会より、日本の主なサルベージ会社2社の会社の所在地.会社設立年月日.資本金.営業種目.船腹について説明した書類を手交した。

17.市場のニーズに対応し、台日間チャーター便の増加及び国際空路の増設要請について

 亜東関係協会より、日台双方は観光客倍増計画を進めており、多数の観光客を運搬するため国際チャーター便の増便、及び定期便の増計を要請する旨述べた。

 これに対し交流協会は、主旨は関係部署に伝えるが、航空問題については、交流協会と亜東関係協会の間の取り決めに基づき、貿易経済会議とは別の協議の場が設けられているため、そちらで議論したい旨回答した。

18.OTO案件の具体的な改善成果を提案者に連絡することへの要請について

 亜東関係協会は、日本のOTOは評価すべきであるが、主管部門のその後の処理状況について提案者に知らせていないことから具体的な改善状況を理解できない、また、その処理が要求に合致してない場合があり、改善成果を提案者に連絡し、もし処理が要求に合致してない場合、それに基づき再度提案できるようにしてほしい旨述べた。

 これに対し交流協会は、OTOの苦情案件の処理においては、苦情申立者に十分な説明を行い、苦情申立者の同意の下で処理を終了させており、案件に対する所管省庁のその後の取り組み状況については、必要に応じて適宜フォローアップを行い、ホームページ掲載等を通して周知している旨述べた。なお、参考までに過去に掲載されたページのコピーを提供した。

19.台日双方の修学旅行者の交流強化への要請について

 亜東関係協会より、修学旅行先について都道府県教育委会の「日本の修学実施要点」において、台湾を修学旅行の実施対象地域に含めることを希望する、また、双方の学生が修学旅行を通じて相互に交流を深めることが日台双方にとり望ましい旨述べた。

 これに対し交流協会は、「実施要点」の件については関係部署に伝えると述べるとともに、日本からの台湾への海外修学旅行は、外国における体験活動や現地の人々との交流を通じて生徒の国際的な資質を育成しようとする取り組みの一つであり、このような積極的な姿勢を持つことは望ましい。修学旅行については、各学校の実状に応じて、その責任で計画.実施されるものであり、海外修学旅行の持つ意義に鑑み、安全確保に十分留意した上で、今後も日台双方向の修学旅行者の交流が進められることを期待している旨述べた。

20.台湾の研究開発環境の整備

 交流協会より、台湾の研究開発環境整備について、第一に、頭脳流出の防止策の策定が必要、第二に、民間企業の技術開発促進を促す環境整備が必要、第三に、ハイテク周辺国内産業の育成が必要との、三点について提案した。

 これに対し、亜東関係協会は、第一点については、頭脳流出への対策として、行政院国家科学委員会が許可法の草案を作成しており、完成次第公表するとともに、ハイテク技術者の台湾滞在制限を3年から6年に延長するなど、頭脳導入面にも対策を講じている、第二点については、科学技術の知識を有している若者に対して、軍役期間中に研究に携われるようにサポートしたり、研究開発補助金、減税措置をとるなどのサポ一卜を行っている、第三点については、台南のサイエンスパークや産業技術センターの建設等により、ハイテク周辺国内産業の育成に努めている旨回答した。

21.台湾の金融分野に関する規制緩和要望

 交流協会より台湾の金融制度に関し、第一に、「利害関係者」への与信規制の撤廃、第二に、現地通貨(NT$)を含めたデリバティブ商品の取扱認可取得手続きの簡素化の2点につき規制緩和を提案した。

 これに対し亜東関係協会は、第一点は、在台外銀が銀行法上利害関係人の与信規定を適用した場合、どのように認定するかの問題であり、財政部では、現在でも日系銀行の銀行法適用については個別案件毎に排除及び適用といった対応を行っており、今後は、財政部が外銀の管理方法を全面的に検討する際、このような提案を参考にし、例えば、ある外銀在台本店の与信リスクは全て本店が負担し、当該在台支店はリスクを負担しない場合は、銀行法利害関係人の与信規制は適用しないことを検討していきたい旨、回答した。第二点については、財政部はこれまでもデリバティブ業務の申請手続きを緩和してきており、今後も、金融市場の発展状況に応じて、一層の簡素化を検討する旨の回答した。

22.高齢車(使用年数の長い車両)の代替促進策の策定

 交流協会は、環境問題、交通事故等の安全への対応との観点から高齢車の代替促進策の早期策定が望まれると述べた。

 これに対し亜東関係協会は、現在でも、台湾においては、高齢車の排気ガス汚染を防止するため代替促進を図るべく、低汚染車への買換えへの補助金給付を行うなどの措置を講じている、また、児童用シャトルバスなど公共の安全に関わるものについては、法律で使用年限を規定するなどの措置も講じている旨回答した。なお、日本における高齢車対策があれば、それを参考にしたいので関連資料の提供を併せて依頼した。

23.貨物税の廃止

 交流協会は、車両原価に占める貨物税の割合が高く(乗用車の場合25%)、消費者の自動車購入の阻害要因となっており、自動車産業の促進と経済の活性化の為にも貨物税の廃止の検討を提案した。

 これに対し亜東関係協会は、台湾の貨物税は、タイヤ、食料品、ガラスなどの7項目について課税されており、その税収入は、2001年において1,338億元と全税収の10.6%を占めており、重要な税源の一つとなっており、行政院財政改革委員会によれば、適切な代替財源があれば、タイヤ、食料品、ガラスに対する貨物税は取り消す用意はあるものの、ガソリン、車両、セメントについては、クリーン税制実現のため残されることとなる、また、台湾では、交通設備、汚染防止、公共道路使用の観点から貨物税を課している旨回答した。

24.自動車リース業と自動車レンタル業を法制度の下で明確な峻別

 交流協会は、リース業とレンタル業の法整備が遅れている為、両業界の区別が明確でなく両業界が限りなく近い状態で競合し市場を混乱させる結果となっており、日本及び他の国と同じように両者の区別を明確にし公正な競争が行われる土壌作りが必要として、政府関係者に対する説明会を開催してもらいたいと述べた。

 これに対し、亜東関係協会は、元来、自動車レンタル業と自動車リース業との区別はあったものの、近年は区別が難しくなってきているのは事実であり、交通部では、今年11月8日に自動車リース業者と自動車レンタル業者を集めて会議を開催し、現在、法整備を研究中であり、今後、関連法の整備を行いたい旨、回答した。

【技術.農林水産分科会】

1・台湾の新認証制度(Registration of Product Certification)に対する改善要望について

 交流協会より、新制度におけるEMC試験結果の受け入れについて、我が国の試験所結果の受け入れを拡大すること、試験の対象範囲を情報機器のめたらず{前5文字ママ}、AV機器、家電製品にも拡大することを要望した。また、安全試験についても同様に、日本を含む海外試験所での試験結果を受け入れることを要望した。

 これに対し亜東関係協会から、EMC試験結果については、協力実績のある日本試験所からの申請を既に開放している旨発言があった。また対象機器の拡大についても、主管機関が締結したMRAの下、他分野にも認めていくと回答した。安全試験については、消費者の権利保護のため、比較的厳しい試験機関の資格を要請している。日本を含む海外試験所の試験結果を受け入れたいと思うが、台湾はIECEE-CBスキームのメンバーでないので海外での試験結果を認めてない。日本も台湾がIECEE-CBスキームの参加が認められるよう協力して欲しい旨述べた。

2・開発途上国に対する職業訓練事業の実施を継続し、同第三国の産業発展及び経済成長を促進するため、日本側が引き続き国際技術協力援助経費を提供することの要請について

 亜東関係協会は、日本側が台湾を先進国と見なし、交流協会と台湾側が進めてきた第3国研修事業が2003年3月末で終了すること、及び国際技術協力に関する援助経費を提供しないとしたことに関して、本件の経費はWTOが推進する技術協力及び能力育成に合致していることから、開発途上国の政府関係者.専門家の共同育成をするためにも日本側の経費の継続的提供を求めた。

 これに対し交流協会は、台湾がODA対象国を卒業したことにより、日本の台湾に対するODA事業は2000年3月で終了し、第三国研修事業についても来年3月で終了することが決定しており、台湾提案の事業は2003年4月以降、日本から経費を提供することは出来なくなった旨説明した。なお、台湾側の要望である第三国研修事業に係るODA予算については、今後、日台間の技術交流を一層促進するために技術専門家の派遣.招聘として一般予算への振り替えを財政当局に要求している旨述べた。

3・日本の科学研究機構及び台湾の国家科学委員会による科学技術共同研究協定ないし覚書の締結と研究員交流の強化の促進についての要望について

 亜東関係協会は、日台双方の大学間での科学技術共同研究協議.覚書が署名され具体的成果が出てきていることを述べ、今後も交流強化指導を行うとし、日本側にも学術機関を奨励し台湾の学術機関との交流強化を図るよう依頼した。また、研究機構間交流の重要性から、台湾の国家科学委員会と日本の科学研究機構との科学技術共同研究協議ないし覚書の奨励を依頼した。具体的交流に際しては、日台の研究機構の若手研定員の交換研究を提案した。

 これに対し交流協会は、日台間における科学技術分野での交流を積極的に促進させていきたいと述べ、今後とも案件の選定、実施方法など台湾側との緊密な連絡の下に、研究者の交流強化に努めたいとし、議題2でも言及した来年度事業予算の実施が決定されれば同分野交流がより促進される旨述べた。

 また亜東関係協会は、米国等と同様に日本との科学技術に関する覚書締結を希望する旨発言。

 これに対し交流協会は、大学、研究機関等における学術交流がより積極的に行われるよう努力していきたいと述べた。

4・旧建設省河川審議会で提出した「流域性洪水有効管理対策」に関する執行状況及び経験を日本側から提供いただき台湾での参考にしたいとの要望について

 亜東関係協会より、日本は1896年の河川法令公布以来、洪水防止対策を時代の変革に合わせ改善してきている。2000年12月にはこれまでの「水沒させない政策」ではなく、流域に対して洪水管理措置を実施するように改めた。台湾は日本と類似する問題に直面していることから日本の洪水対策の政策、経験を提供してもらい洪水防止策制定の参考としたい旨発言があった。

 これに対し交流協会は、関係資料を提示するとともに、追加資料などの要望があれば連絡願いたいと述べた。

5・日本の遺伝子組換え動植物に関する生態環境の安全性評価及び管理体系の具体的措置、並びにカルタヘナ議定書への対応策等、日本からの専門家派遣に関する要望について

 亜東関係協会は、最近における日本からの遺伝子組換え作物に関する安全性評価の専門家派遣について謝意を述べるとともに、今後も日本側の協力を得たいとし、さらに、今後台湾が、生物多様性条約カルタヘナ議定書の検討、「遺伝子組換え生物の輸出入規程」の制定を検討する際には、日本の専門家と広範にわたった討論、意見交流を行いたい旨述べた。

 これに対し、交流協会は、遺伝子組換え農作物等の環境安全性について、専門家間での意見交換等を続けていくことは有意義であると考える。APECのATCWGバイテクワークショツプといった専門家会合の場等、今後とも機会をとらえ意見交換してまいりたい旨述べた。

 これに対し、亜東関係協会は、カルタヘナ議定書に関し、今後、交流協会を通じ、日本の専門家の派遣要請を行うこともあるので、よろしくお願いしたい旨述べた。

6・台湾の技術協力事業機構と日本側の関係機構との間の定期的な対話メカニズムを樹立し、WTOの技術協力及びキャパシティ.ビルディングの計画を推進するよう協力を要請する。

 亜東関係協会は、技術協力及びキャパシティ.ビルディング問題はWTOにおいて重視されてきており、また、台湾はWTOのメンバーになったところ、WTOにおける「技術移転」及び「技術協力とキャパシティ.ビルディング」について、日台双方が貢献することを望んでいる、そのためにも、台湾の技術協力事業担当当局が日本側の国際協力事業団あるいはその他の関係類以機関と定期的な対話のメカニズムを樹立し、情報交喚、人材交流等を通じ、積極的に意見交換したい旨述べた。

 これに対し、交流協会は、日本としては第4回のドーハ閣僚会議等を受け、WT0.UNCTAD等の国際機関とも連携をとりながら、開発途上国に対するキャパシティ.ビルディング等を行う予定である。技術協力分野における定期的な対話メカニズムについては、台湾側と交流協会との間で構築されることが適当と思われる。WTO関連の技術協力において、JICAはこれまで専門家の台湾への派遣等の協力を実施しており、台湾側から具体的な照会がある場合には、交流協会よりJICA等に情報提供を求め、回答することは可能である旨回答した。

 更に亜東関係協会は、台湾は既にWTOに正式加盟したので、交流協会を通じるより、WTOの枠組の下で双方が直接連絡をとる方がよいと考えているところ、日本側が改めて検討するよう希望する旨述べた。

 交流協会は、現在、交流協会と亜東関係協会を通じた方式はうまく機能しているので、引き続きこのルートを用いていきたい。いずれにせよ、台湾との間では、WTOの枠組と既存の交流協会のルートの両方を活用していきたい旨回答した。

7・マグロ資源の国際的な資源管理

8・{前2文字ママ}

 交流協会は、日台行動計画の確実な実施を図るとともに、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)で決議された台湾漁業者による第三国船籍での漁業操業をコントロールするための措置の導入を要請した。また、台湾がみなみまぐろ保存条約(CCSBT)拡大委員会の正式なメンバーになったことに歓迎の意を表明した。さらに、インド洋まぐろ類委員会(I0TC)における漁獲量等の削減への協力を要請する旨発言した。

 これに対し、亜東関係協会は、日台は、1999年から行動計画に基づき、便宜置籍船対策に取り組んできており、今年のICCAT年次会合でも各国から評価されたところである。台湾はICCATの資源保護の決議については遵守していく考えである。CCSBTについては、今後も日本と意見交換をしつつ取り組んでいきたい。I0TCについては、台湾は協力メンバーになることを希望しており、日本の協力を得たい旨述べた。

8.我が国排他的経済水域での台湾漁船の違法操業について

 交流協会は、日本の排他的経済水域で無許可操業する台湾漁船が後を絶たない。台湾側からは、漁業者に対する指導を徹底し、無許可操業を防止する旨の説明を受けているが、その後も無許可操業が発生しているため、違法操業が発生しないように有効な防止措置をとることを台湾側に強く求めるとともに、我が国排他的経済水域の概念図を提示し、漁業関係者に周知するよう求めた。

 これに対して亜東関係協会は、日台双方は、双方の漁船の操業について、日本が排他的経済水域を設定してからこれまで8回の事務レベル交涉を行っているが、未だに解決していない。重なっているまたは、争議のある水域については、協議を達成するまで現状を維持すべきであり、第9回の会議を早期に開催し、解決できることを期待している旨述べた。

 これに対して交流協会は、排他的経済水域が重なっていない海域においても違法操業が多発しており、国内法にてらし、これら台湾漁船を厳格に取締る旨述べた。

 これに対して、亜東関係協会は、台湾漁船が争議のない日本の排他的経済水域内において違法操業する例があれば、その事例の提供を求めた。

9.台湾漁船の我が国への緊急入域に伴う漁具被害

 交流協会は、台湾漁船の緊急避泊による漁業施設等への被害が日本において大きな問題となっているとともに、台湾側に対して再発防止措置を講ずるよう求めるとともに、このような事故を防止するため、日本の取締当局は日本の港に国連海洋法条約で認められた目的を逸・{前2文字ママ}し寄港しようとする台湾漁船を取り締まる方針である旨伝えた。また、漁業施設等への被害が生じた場合、速やかな損害賠償請求の実施等について、台湾側漁業者と日本側漁業者による民間間{前3文字ママ}の取決めの締結が有益であり、台湾当局においても積極的に検討するよう求めた。

 これに対し、亜東関係協会は、日本側の台湾漁船の緊急避泊に関する協力に謝意を表した一方、本年8月に発生した台湾漁船による漁具被害については、個別案件であり、一般化することなく、今後の台湾漁船の緊急避泊に悪影響を及ほさない{前5文字ママ}よう協力要請するとともに、台湾は日本側でまとめた緊急避泊の心得を遵守するよう漁業者に指導する旨述べた。

 これに対し、交流協会は、このような被害が二度と起こらないよう、今後どうするかが重要であると認識している旨述べた。

10.日本産果実の安定的な輸出について

 交流協会は、台湾の関税割当制度の運用について、枠転売を目的とした、いわゆる投機的な者の参入を極力抑え、円滑な商取引ができるよう、関税割当制度の参加資格要件を厳格にするとともに、本会議以降、台湾市場で日本産果実の安定的な輸出が行われるよう本制度に関し、十分な情報交換を図っていくことを要望する旨発言した。

 これに対し、亜東関係協会は、関税割当制度はWTO協定に基づいて実施しているところである。東洋梨については、1次枠を2002年の4900トンから2004年には9800トンに増大するとともに、2004年には実績に基づき割当を行う予定である。履約補償金については、転売目的の参入を防止する等のため、来年度からは納付期限を8月1日から6月1日に繰り上げる予定である旨述べた。

11.鰻シラスの輸出規制に対する解除要望

 亜東関係協会は、日本は長年にわたりシラスの輸出規制を設けている。台湾も国内の養鰻需要により輸出規制を実施していたが、昨年、シラスの輸出を解禁したところである。不公平な貿易行為を避け、台湾ウナギ産業のビジネスチャンスを損なわないため、日本に対し、現行の管理規定を撤廃し、シラスの自由な流通を認可することにより、自由競争の原則に基づいたウナギ産業の発展を図りたい旨述べた。

 これに対し、交流協会は、資源保護の観点から、全てを天然に依存する鰻シラスは、養殖用種苗として必要最小限の採補を除き、原則として採補を禁止しており、輸出規制を解除することは、現状では困難である旨述べた。

 これに対し、亜東関係協会は、日本の最近のシラスの採補量は、需要量を超えており、輸出を検討する余地があるのではないか。日本の対応により、台湾がやむを得ず再びシラスの輸出を禁止することになれば、被害を受けるのは日本の養鰻業者である。そうならないためにも日本側の規制解除を要望する旨述べた。

12.台湾産パパイヤの検疫殺虫技術に関する認証人員の早期派遣と対日輸出解禁要請。

 亜東関係協会は、台湾産パパイヤの日本への輸出を実現するため、台湾は1997年3月に生鮮パパイヤの検疫殺虫処理に関する試験レポートを日本農林水産省に提出したが、既に5年が経過している。その間、日本の要求に従って関係試験データを2回再提出した。現在の審査の進度を承知したい。また、日本に認証人員の早期派遣を要請し、検疫の解禁手続の終了と台湾産パパイヤの順調なる対日輸出を期待する旨述べた。

 これに対し、交流協会は、日本は台湾側の要望を踏まえて技術的検討を行い、これまで、ぶどう、ポメロ等の解禁手続きを実施してきたところである。パパイヤについては、台湾側から2001年5月に追加試験結果、更に本年8月に補足説明資料が提出され、現在当方において内容を技術的に検討しているところである。お尋ねの審査の進度については、技術的な検討には時間を要することから、回答の時期についてはお約束できないが、検討が終了次第、台湾側に結果を回報したい旨述べた。

13.台湾におけるレイシ、マンゴー、ブドウ、柑橘及びザボンの蒸熱又は冷蔵検疫作業を監督する日本検疫官の検査期間を短縮し、台湾の輸出コストの低減を図りたい。

 亜東関係協会は、日本は毎年、レイシ等の果実の検疫作業を監督するため、検疫官を台湾に派遣し、その所要費用は輸出業者が負担しているが、当該支出は輸出コストの約1%を占めている。日本は台湾を特恵関税を供与できない先進国と見なしており、また、これまでの記録により、日本は台湾輸出業者の検疫作業に対し、既に信頼を蓄積していると思われる。このため、その他の先進国の方法と同様、全過程の監督を日本検疫官がするのではなく、通常は台湾検疫人員による監督としたい旨述べた。

 これに対し、交流協会は、我が国植物防疫官による消毒.検査等の検疫措置の確認については、輸入禁止品のリスクを排除するため最小限必要な措置であり、廃止.短縮することはできない。また、我が国植物防疫官による確認は、先進国を含めいずれの国に対しても義務付けているものである旨述べた。

14.バナナの輸入関税に関する引き下げ要望

 亜東関係協会は、日本政府は2000年4月1日より、特恵関税(GSP)の台湾適用を撤廃したが、このことは、台湾農産物の対日輸出にとっては相当なデメリットであり、殊に対日輸出の主要農産物であるバナナに対する影響は大きい。フィリピン産等のバナナには特恵関税が適用されているため、日本市場における台湾産バナナの競争力は低減し、日本の関係業者の生計と消費者の権益にも影響を及ばしている旨述べた。

 これに対し、交流協会は、台湾は国内経済水準が先進国並みとなっており、特恵受益国から卒業している。特恵受益国の基準は、一定の客観的要件を満たした国を自動的に卒業させており、現状では台湾バナナへの特恵関税の適用は困難である。なお、農産品の一般関税率は、WTO交涉の中で包括的に論ずるべきであり、個別品の改善要求に応ずることは困難である旨述べた。

15.日台薬物濫用防止検査機関の技術交流の促進について

 亜東関係協会より、地域的にも近い日本と台湾にとって薬物濫用問題は常に相互関連性を持っていることから、日台の薬物濫用防止検査機関による技術及び情報交換を強化し、薬物濫用防止効果を高めることを期待する旨発言した。

 これに対し交流協会は、薬物問題は、地球規模の深刻な問題であり、国際社会が一丸となって取り組むべき重要な問題。特に最近では覚せい剤の乱用が世界的に拡大傾向にあり、日本は覚せい剤対策分野に重点をおき、国際的な取り組みに協力している。日台関係機関の意見.情報交換の促進によって、薬物対策における協力関係が強化されることを期待している旨述べた。

16.外国産医療用品の日本輸出について、日本国内業者が必ず検査申請を行い、許可を得ないと日本に輸入できないという貿易障害の改善について

 亜東関係協会より、日本の外国製造メーカーへの承認制度については、日本国内に管理人を指定し、日本国内の検査機構の検査を受ける必要があるなど、厳しく、台湾の製造業者が欧米国の検査標準資料を添付しても日本側に採用されず、外国製造業者にとって日本への輸出障害となっている。相互承認方法による解決等、この貿易障害を改善することを要望する旨述べた。

 これに対し交流協会は、国内管理人の設置のたあ{前2文字ママ}必要なものべ{前1文字ママ}あり、外国試験データの取扱いについては、通知により一定の基準を満たしているものについては、受け入れている旨回答し、不当な事例がある場合は提示するよう依頼した。また、相互承認については、無条件に受け入れるものではないと考えており、どのような対応が可能であるか、検討していきたい旨述べた。

17.医療用医薬品の流通過程における現品添付販売について

 交流協会は、薬価調査の結果を歪め、オリジナルメーカーのモチベーツョン{前7文字ママ}を著しく下げる現品添付販売は、実行ある手段で現品添付販売を規制すべきであると強く認識しており、台湾側の考えを求めた。

 これに対し亜東関係協会は、日本側の経験.取り組みを参考にしたいので、昨年に引続き参考資料の提供を求めた。

18.National Health Insurance Act Article 49について

 交流協会は、National Health Insurance Act Article49では、医薬品、医療機器、医療材料は、購入価格で保険償還されなければならないとされており、この規定に反して、現品添付された医薬品等も保険償還されることが多く、台湾の医療保険財政の悪化を招いていると認識。医療保険財政の悪化を防ぐためには、この規定を実行あるものにする必要があると強く考えており、台湾側の考えを求めた。

 これに対し亜東関係協会は、全民健康保険法及び細則の規定では薬価基準等により償還されることになっている旨回答した。また、市場価格調査を医療機関およびメーカーに対し実施しており、現品添付された医薬品等についても、薬価調査の結果に反映をしている旨回答した。

 これに対し交流協会は、流通がら{前2文字ママ}保険償還まで一貫した取り組みを台湾側に求めた。

19.厳密な薬価調査に基づいた薬価調整

 交流協会は、日僑工商会より台湾においても健保財政の逼迫から医薬品の使用規制や薬価引下げなど各種の薬剤費抑制策が実施されているが、急激な薬価引下げは経営に与える影響が大きいので段階的かつ明確な方式に従った薬価調整が望まれると在台日系企業の要望を受けている旨説明し、回答を求めた。

 これに対し亜東関係協会は、医薬品の使用規制については段階的に実施しており、知的財産権の消失の有無を確認する等、不合理な薬価は引き下げている旨発言した。

これに対し交流協会は、在台日系企業からの要望でもあることから、同企業の意見もヒヤリングし政策に反映するよう依頼した。

20.輸入医薬品のVALIDATION用提出資料の簡素化

 交流協会は、日僑工商会より台湾の衛生署と日本の厚生労働省との話し合いにより提出資料の簡素化の進展が見られているので、具体的に資料の簡素化の早期実現をお願いしたいと要望を受けている旨説明した。

 これに対し亜東関係協会は、既に資料簡素化を実施しており、今後も引続き努力する旨回答するとともに、日本企業の要望も理解していると述べた。

【知的財産権分科会】

1.コンテンツ海賊版対策の更なる強化と業界交流の促進について

 交流協会は、台湾においても日本の著作物の海賊版が多数流通していることを指摘。WTO加入に伴う台湾著作権法による経過措置の日本側著作物保護に与える影響について懸念を示すとともに、今後の取り扱いについて確認を求めた。また、海賊版根絶に向けたー層の取締強化が必要であり、日本は、今年度末までに海賊版に関する実態調査を行い、権利保護に向けた環境作りに、台湾側と協調して取り組んで行く考えを示した。さらに、本年8月、日本国外における海賊版問題に取り組み、コンテンツ産業の展開を促進するために、権利者団体.企業等を構成員とする「コンテンツ海外流通促進機構」が設立されたことを説明し、日本と台湾の事業者間でより適切な協力関係を構築していくための交流の促進についても、併せて要請を行った。

 これに対し亜東関係協会は、智慧財産局の盧副局長が本年8月19日に直接日本側に対し模倣品取締り要請の行政手順を説明ペーパーを付けて説明しており、また、日本側に対して関連権利者団体の設立や連絡窓口の設置をして、司法警察の人員がすぐに問い合わせを出来るようにしてくれれば役に立てると申し上げた。これにより取り締まる{前5文字ママ}も進むと考えており、また、同局は日本の業界団体との交流を歓迎しており、今のところ米国系の権利者団体(IFPI、MPA、BSA、IPAPA等)と不定期に接触をしている。2004年のWTO/TRIPS適用問題については、同局が持ち帰り、別途回答する旨述べた。

2.発明の実施態様に「販売の申出」を含めることの確認について

 交流協会は、本年9月のWTO TRIPS法令レピュー{前4文字ママ}において、「販売の申出」を発明の実施態様に含む改正法案を審議中であるとの回答を得ており、改正状況の進捗状況を求めた。

 これに対し亜東関係協会は、現在TRIPS協定に沿った形の法案が立法院で審議中であると述べた。

3.特許協力条約(PCT)に基づく優先権主張の扱いについての確認について

 交流協会は、台湾の、審査基準第4節の、WTO加盟後による変更の必要性を指摘し、現在の状況について説明を求めた。

 これに対し亜東関係協会は、台湾は本年1月1日からWTOに加盟した。よって、その日以降に台湾にPCT出願について優先権を申請した案件については、指定国の国内法において、国内合格申請案件と認められるものにつき、台湾側はその優先権を認める。昨年に遡って適用しないことに鑑み、他国にて提出した第一次申請案を優先権の基礎案としなければならない。また、本年1月1日以降に日本特許庁(受理官庁)に出願したPCT国際出願については優先権主張を認める。また、優先権主張についてのガイドうイン{前6文字ママ}を現在修正する方向で作業を進めている、と述べた。

4.輸出規制の強化について

 交流協会は、台湾が、商標権及び著作権侵害物品等の輸出を禁止.規制する法制度を有していることは承知しているが、その効果的な運用を求めた。

 これに対し亜東関係協会は、著作権侵害物品については、90条第1項及び第2項で侵害された物品の規制を行っている。現在、立法院で審議中の商標法改正法案においても、ボーダー規制を改正し、権利者保護を強化するようにしていると述べた。また、後ほど輸出規制について資料を提出したいとした。

5.模倣品.海賊版の一層の取締強化について

 交流協会は、台湾における模倣品問題の解決のため、エンフォースメント活動の一層の強化を台湾側に求めた。

 これに対し亜東関係協会は、行政院は1月26日に本年を「知的財産権保護推進行動年」と位置づけ、台湾高等裁判所検察署は警察機関を指揮して積極的に取締りと検挙に力を入れている、本年9月末までに押収した海賊版の市場価格の総計はすでに新台湾ドルで81億元を超えており、警政署所属の台湾地域の各警察機関か本年9月末に至るまでに処理した知的財産権侵害事件は、合計3999件で、昨年同時期の3884件に比べて2.96%の増加となっており、送検した容疑者は4869人で、昨年同時期の4483人に比べて8.61%の増加であり、模倣品、海賊版の金額は新台湾ドルで84億元余りになるものと推計され、昨年同時期の67億元余りに比べて25.36%増加となっている。台湾側の模倣取締りの大きな成果と最新の関連統計資料は、智慧財産局のホームページにおいて見ることができる。このほかに、行政院は最近行政命令を発布し、模倣品工場と違反者の検挙に成功したものには、最高100万元の賞金を出すとしており、以上述べたことは、台湾側の模倣品取締引こ対する決意の現れである、と述べた。

6.TRIPS協定のより一層確実な履行について

 交流協会よは{前2文字ママ}、台湾当局においてはこれまでもTRIPS協定履行のための努力を評価するが、模倣品.海賊版に対する取締りでの一層の努力を要望。日本では、小泉総理直轄の知的財産戦略会議で7月3日に決定された知的財産戦略大綱においても、模倣品.海賊版対策の必要性が盛り込まれており、日本政府としてもこの問題には一層真剣に取り組む方向性が示された。民間ベースでも国際知的財産保護フォーうム{前5文字ママ}やコンテンツ海外流通促進機構が発足したところであり、今後も官民一体となって本問題に積極的に取り組んでいくこととしている。TRIPS協定の履行、とりわけ台湾当局のエンフォースメントに関する引き続きの努力を是非お願いしたい旨述べた。

 これに対し亜東関係協会は、2002年1月のWTO加盟によりWTO議定書による義務があり、台湾はTRIPS協定を履行中である。9月のTRIPS協定理事会、知的財産権委員が開催することができ感謝。台湾として今後も日台双方の問題について意見交換していきたい。また、日本と台湾は文化背景、法体系とも類似している。したがって、似たような多国間協定を活発化させ、協力していく所存。エンフォースメント執行の方向性、各項目について説明した。行政院、警察、検察も重要視しており、さらに模倣品、海賊版に対して一層の強化がされるものと期待している旨述べた。

7.デッド.コピー規制の導入について

 交流協会は、商品形態の保護については周知かつ誤認混同が要件とされていないこと、著名表示冒用行為規制については、非類似商品についてもなされていること、TRIPS協定第16条第3項の規定は担保されていること、の三点の説明を求めるとともに、台湾側でもデッド.コピー規制を導入するよう求めた。

 これに対し亜東関係協会は、デッド.コピーはもともと公平交易法でカバーされており、20条1項1款では、大眾周知の外観等、他人の商品と混同させる使用.販売等が禁止されている。24条では、別段の規定を除いて取引の秩序を乱す行為をしてはならないとされている。外観類似の問題は公平交易委員会に申し出て、実態があるとなれば我々の方で適切な措置をとる。また、TRIPS16条3項の問題については、本年8月9日の商標法改正法案の中に盛り込まれており、非同類商品についても問題ないと確認している、と述べた。交流協会は、24条を根拠にして過去に取締りがなされた事例があれば教えて欲しいと発言したところ、亜東関係協会は、検挙例の有無については、後ほど関係資料を集め提出する、と述べた。

8.意匠権侵害の非刑事罰化の抑止について

 交流協会は、台湾の民事裁判手続きにおける権利者保護に係る規定が不十分であるとし、意匠権侵害に対する刑事罰について存続するよう強く要請した。

 これに対し亜東関係協会は、TRIPS協定第61条により意匠権侵害に対する刑事罰規定の導入は、その国が各々判断することとなっているところ、我が方では特許権侵害の非刑事罰化を提案する決議を行った経緯がある。米英法体系を持つ国は、民事責任のみとしている。ドイツと日本は刑事責任を規定しているが、これを用いてはいない。フランスは1975年に特許権侵害の非刑事罰化した。台湾では学者から、技術レベルの高い発明の特許権を侵害した場合が非刑事罰化されて、技術レベルの低い実用新案権、意匠権の侵害すると逆に刑事罰を受けるのはバランスを欠いているとの批判が出たので、今回の専利法改正で実用新案が形式審査を採ったことに因み、実用新案権及び意匠権の侵害を一律に刑事罰化することとした。意匠権の侵害事件について、智慧財産局は書簡を司法院に送り、司法院から各レベルの裁判所の裁判官に対し通達を出して、当事者の権益保護のため注意喚起するよう要請している、と述べた。

 交流協会は、TRIPS協定は意匠権侵害の非刑事罰化を強制していないが、フランス、オーストラリア、韓国及び中国は刑事罰の規定をおいている。刑事罰が科された具体的な事例は多くないものの、侵害行為を防ぐ効果があるので引き続き刑事罰を維持していただきたい旨を述べた。

 これに対し、亜東関係協会は、現在、専利法の全面的な修正を行っているが、意匠権の侵害を非刑事罰化することはすでに確定していると述べた。

9・権利侵害の立証容易化について

 交流協会は、前回会合で日本側より要望した、民事訴訟における侵害行為の立証の容易化措置等の導入検討について、その後の進捗状況及び台湾側の考えを質{前1文字ママ}した。

 これに対し亜東関係協会は、民事訴訟法について本年2月に修正を行った。例えば修正法第342、344〜354条等には立証に関することが規定され、米国のディスカバリーに似た内容になっている。民事訴訟法で改正されたので、専利法で別段の改正は必要ないと考えている。関連条文は日本側に差し上げる、と述べた。

10.間接侵害規定の導入について

 交流協会は、権利保護強化のため、特許法における間接侵害規定の導入について台湾側へ強く要望した。

 これに対し亜東関係協会は、現在、台湾には間接侵害規定の条文はなく、立法院提出中の改正条文案には該当する文案はない。民法第185条の侵害に関する規定の中で、ほう助行為も対象とすることになっている。間接侵害に係る規定は欧米でもあまり見られないと承知していると述べた。

 交流協会は、日本の特許法第101条のような明確な規定を設けることが、台湾国内の出願人にとっても明確でわかりやすく、日本の本年の特許法改正においては間接侵害行為の定義を拡大し、より権利者保護を手厚くする改正を行った旨述べたうえ、規定の導入を重ねて要請した。

 これに対し亜東関係協会は、間接侵害については、研究の余地はあるけれども現行法にはこういう規則はないと述べた。

11.特許の新規性喪失の例外の拡大(発明者の意に反して発明が公表された際の救済措置の導入)について

 交流協会は、発明者の意に反して発明が公表されたときにも、新規性が喪失していないとの扱いをすることお{前1文字ママ}請願するとともに、現在の状況について台湾側へ回答を求めた。

 これに対し亜東関係協会は、日本と欧州の法律を参考に、6ヶ月以内に出願すれば新規性を喪失しないという規定を入れた草案を立法院に上程している。通過するか否かの問題であり、通過すれば問題は解決する、と述べた。

12.特許のクレーム記載要件の緩和(マルチのマルチクレームの承認)について

 交流協会は、台湾の現行法では、多重引用した他の従属項等を多重引用する従属項は認められていないが、このような規制があると、発明の充分な保護を求めるために請求範囲に多面的な表現で発明を記載する妨げになるため、マルチのマルチクレームでの記載が許されれば、多様な発明を簡潔に記載できるようになるので、そのような要望が日本企業に少なからずあることを述べ、請求の範囲の記載要件の更なる緩和を行うよう求めた。

 これに対し亜東関係協会は、各国ごとにクレーム関連の規定があるが、台湾は、従属関係の複雑化、審査時及びその後の権利範囲解釈時の困難を引き起こすことを避けることを考慮した。十分な特許保護を求めるためにマルチのマルチクレームでを使用しないことが保護の妨害となるという日本側の指摘については納得できない。事実上クレームを1個1個ずつ列挙することにより、同じ保護効果も達成することが出来る。日本及び欧州は簡潔すぎる記載を理由として「マルチのマルチクレーム」を認めているけれども、米国や中国等は認めていない。また、WIPOでもこれを議論レ{前1文字ママ}ているけれども、未だに共通認識を得るに至っていない状況であるが、今後継続研究の対象となるであろう、と述べた。

13.微生物寄託要件の緩和について

 交流協会は、台湾特許法の改正で、微生物の寄託手続きが緩和されたが、外国の出願人にとっては、台湾でも微生物を寄託しなければならないという、ブタペスト条約で規定する要件よりも厳しい要件が課せられているため、ブタペスト条約と同等の要件に緩和するよう求めた。

 これに対し亜東関係協会は、台湾はブタペスト条約の加盟国ではないので微生物を取り扱うに際して加盟国よりも難がある。したがって、産業発展のため台湾に寄託しなければならないとしているが、実務上は3ヶ月以内に寄託できればよいと大幅に緩和した運用を行っており、この年末に、熟練者が容易にできるならば寄託は不要とする新しい取り扱い基準を出すことにしている。この基準は出来上がったら日本側に差し上げる、と述べた。

14.拒絶理由通知に対する応答期間の延長について

 交流協会は、外国、遠隔地の出願人の応答期間を、延長できるようにする、又は、長い期間を指定できるように台湾側へ求めた。

 これに対し亜東関係協会は、外国人の応答期間は60日となっているが、台湾の取り扱いは企業の「正当な理由」による延長を認めている旨回答した。

 これに対し交流協会は、「正当な理由」の具体例を求めた。

 亜東関係協会は、具体例として、各企業からの上申の理由として60日より前に訳文が間に合わない等の理由でも応答期間の延長は認められると述べた。

15.特許異議申立期間の延長について

 交流協会は、台湾においても、企業.個人にとって安定した権利を発生させるために、異議申立のための期間を十分取るよう求めた。

 これに対し亜東関係協会は、台湾の異議申立制度は欧米各国と異なり権利付与前の制度であり、権利が早く成立するよう申立期間を3ヶ月としてたが{前4文字ママ}、台湾は世界的特許の一致を目指しており、また、特許取得を妨害するための異議を防ぐため、異議申立制度を廃止して新しく「挙発制度」を設ける。この制度では、時間の限制を設けておらず、誰でも何時でも権利を無効とする訴えができる制度である。草案は立法院で第1次審査を通っており、成立したら日本側に知らせる、と述べた。

16.特許権利発生後の手続(公告後の補正、権利の分割)に関する審査期間の短縮について

 交流協会は、公告後の補正、権利の分割に、著しく審査期間が長いものが多いと聞いており、そのようなことがないよう、権利行使がタイムリーにできるようにすることが、知的財産庁の使命の一つであると説明し、事例を示し、改善を要請した。

 これに対し亜東関係協会は、特許公告後の補正提出及び権利の分割について、権利の行使に影響が出ないよう、智慧財産局が速やかに優先的に審査し、また、全部の審査委員に通知して、この種の案件を優先的に処理させる、と述べた。

17.意匠権の早期審査制度の導入について

 交流協会は、意匠出願に係る審査期間短縮化の具体策として、意匠権の早期審査制度を導入するよう台湾側へ求めた。

 これに対し亜東関係協会は、第一に、台湾の意匠審査の処理期間は16ヶ月であり、現在智財局の内部事情では円滑に処理せよという訓令が出ているので、12ヶ月に短縮した。これは日本の審査期間と同じと認識している。第二に、新型デザインはライフサイクルが短いので、台湾としては実体審査から形式審査にすることを考えており、来年度の課題として法務室で研究している。日本の実用新案と同じで、形式審査にすればすぐに審査が終わるので、優先審査も関係なくなるのではないか。形式審査は権利が不安定であるが、欧州でも形式的で、アジアでも韓国は一部形式審査である。交流協会は、<1>意匠権の実体的審査は重要であり、今までどおり継続してもらいたい。<2>合わせて需要が短いものについては、早期審査制度を導入してもらいたい。<3>中国が採用している無審査制度が持つ問題点について述べた。

 これに対し亜東関係協会は、日本側の関心点を十分に了解した。

18.特許審査基準の明確化について

 交流協会は、日本、米国、欧州では特許権が認められているが、台湾では、進捗性がないとして、特許が認められないケースが見受けられており、公開されている審査基準に則り、適正な審査を行うことが、台湾国内の出願人にとっても有益であるので、特許の進・性{前3文字ママ}の審査レベルを他国と調和のとれるレベルとすること求めた。

 これに対し亜東関係協会は、台湾専利法の昨年10月24日の修正公布に合わせて、台湾特許審査基準の各章について全面的に検討して修正をしているところであり、例えばバイオ技術、漢方薬の特許審査基準を今年末までに完成させる予定である。上述の各基準は、日欧米等の審査基準を参考にして、国際情勢に合わせて改訂を進め、審査基準をより明確にしようというものである。これらのうち最重要項目の一つは、各国の関連規定を参酌して、国際的に調和する判断基準に改訂して、もって審査の基準をさらに客観的かつ明確なものにすることにある。

19.商標の類否判断の適正化について

 交流協会は、商標の類否判断が不合理である事例が見られており、日本企業の台湾における商標権取得においてきな{前5文字ママ}障害となっていることから、円滑な商標権取得のための、商標の類否判断の適正化を行うよう求めた。

 これに対し亜東関係協会は、1985年より、一般社会通念に則り、類否判断についての基準を出して、審査の参考にしている。法規、審査基準についてはホームベージ{前6文字ママ}に掲示している。現在当局としては審査基準について修正を検討しているので、日本の問題意識があればその中に取り込んでいきたい。提示された具体的事例については、本局より取り寄せて相談させていただきたい、と述べた。

 また、交流協会は、商標の判断について、個々具体的な事例につき日本の出願人等からの相談がある場合は、台湾に相談に応じていただくよう述べ、亜東関係協会は、審査官の独立審査に影響しない範囲で相談に応じる旨の回答をした。

20.海外著名商標の保護について

 交流協会は、海外での著名商標が、台湾では容易に商標登録(冒認出願)されてしまうとの日本の産業界からの指摘があり、法律及び要件に基づいた適切な審査、運用を行うよう求めた。

 これに対し亜東関係協会は、37条第7号は実務上の商品はこの限りでない。混同するか否かの判断は、商品流通経路、消費者のかかる商標に対する認識度等によるものである。14号については、正当性を欠いた出願に対して適用されるものであり、類似、同一の商品についてのみ対象となる。現在立法院で審議されている商標法の改正法案は、著名商標の保護を拡大することを目的としている。これにつきWIPOを参考に著名商標保護を提案した。この草案は、WTOのTRIPS協定の保護水準を超える内容のものであり、将来力商標判断の基準とする旨述べた。

 これに対し交流協会は、著名商標の保護を拡充させる方向での検討、法改正を評価するとともにその方向で一層進められることを要請した。

21.審査.審判.訴願審議審理、プロセスの強化について

 交流協会は、商標権に関する具体的事例をあげ、台湾の商標においては、審査官、審判官、こ訴願審議委員会委員等の審査、審理能力を強化することが重要であり、判例及び審査基準を参酌した適正かつ公平な審査、審理が可能となるよう強く求めた。また、我が国企業が実際に被っている具体例を示し、改善をするよう求めた。

 これに対し亜東関係協会は、商標の登録は企業にとって非常に重要である。訴願審議委員会は知的財産局の審査基準等に基づいて審査を行っている。訴願委員会は委員会の性質を持つもので12人の委員がいる。

この委員になるためには法律、技術について経験のある人が就いており、各案件について慎重に意見交換を何度も重ねてやっている。提示された案件は個々の案件なので意見は差し控えさせていただく。台湾での救済に関しては完備したものがあるので、個別案件なのて{前1文字ママ}適切な法律プロセスを踏まれてはと思う、と述べた。

 交流協会は、台湾の商標権に対する基準.運用等の改善を評価するとともに、今後のより一層の取り組みを要請じた。

 これに対し亜東関係協会は、日本側の提案した審査官能力向上とか、審査基準の運用、改善などについて検討すると述べた。

22.塩味冷凍枝豆特許の無効審判に対する厳正なる処理要求について

 亜東関係協会は、台湾から30年前より冷凍枝豆を日本へ提供してきた。日本から特許出願された日本水産(株)は台湾の顧客の一員である。同社は1993年5月特許庁へ特許を出願した。特許庁は1998年9月にこの出願を認可し公告を行った。これに対して台湾側の8つの商社から異議申立を行った。そして、冷凍野菜公会は関連する証拠を添付して、日本の代理人に「特許無効申請」の提出を委託し、異議申立の成立が認められた。しかしながら、日本水産(株)は特許請求の範囲に若干の修正を加えて特許庁に再提出を上申した。その修正内容は、「表皮が塩味で且つ内部に浸透し、もちもちで口当たりが良い」となっている。特許庁は2001年にこの修正案を受け入れ、認定を行ったことにより台湾側の輸出者は大きな痛手を受けた。このため、平成11年5月に特許庁に対して、無効審判を求める関連資料を提出した。今のところ審判の結論が下りていないと聞いているが、この問題は貿易の公平性に影響を与えるのは必死であり、そのため日本側が当該特許案件の取り消しすることを期待すると述べた。

 これに対し交流協会は、一連の無効審判事件について、及び侵害事件について、法令に基づき適切に審理を進めているところであり、また、新聞報道を示し、多くの日本企業も本件に関係し、台湾の企業だけが不利に扱われているわけではなく、有効な証拠が提出されればそれに基づいて審理される旨回答した。

23.産業財産制度に関する意見交換の実施について

 交流協会は、近年、WTO加盟及び関心の高まりから台湾の産業財産制度の改正が着々と進み、その頻度が高まっており、制度改正に関する緊密な情報交換を実施したいと提案した。

 これに対し亜東関係協会は、日本側の提案をありがたく思う。現在定期的に書類、刊行物を交換しており、当局の方ではホームページを立ち上げ、公聴会や法律の内容をアップデートして取り上げている。特許商品化のホームページも立ち上げている。もし、貴国で何か資料がほしいというということがあれば、入手できるインフォメーションを提供する。また、制度、法令についてご意見があれば我々に提供していただきたい。担当部署に回して取り入れていきたい、と述べた。

 2002年11月28日 台北において

亜東関係協会代表

許水徳

交流協会代表

服部礼次郎

{<1>は原文ではマル1、<2>は原文ではマル2、<3>は原文ではマル3}