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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 交流協会を通じた台湾の皆様への玄葉外務大臣のメッセージ

[場所] 東京
[年月日] 2012年10月5日
[出典] 財団法人交流協会
[備考] 
[全文]

●民主、平和、法治といった共通の基本的価値観を有する日台間では、長年にわたって良好な国民感情と深い相互信頼が育まれてきており、これを土台として、民間投資取決めの署名やオープンスカイの実現など、近年、日台間の実務関係が着実に発展してきていることは誠に喜ばしいことです。政府としては、日台実務協力関係が引き続き着実に発展していくことを期待します。

●昨年の東日本大震災に際して、台湾の方々から友情あふれる破格の支援を頂いたことも、日台間の深い友情を示すものであり、今も我々日本人の心に深く刻まれています。日本政府としても、また、被災地・福島県出身の私個人としても、一人一人の台湾の方々から寄せられた温かい支援に対して改めて心からの謝意を表します。

●個別の問題をめぐる主張や立場に異なるところがあったとしても、それによって日台間で対立的感情が深まり、交流や協力に悪影響が生じるのは誰も望んでいないものと信じます。日本と台湾とは隣人であり、近くにいるからこそ懸案が生じることもあります。しかし、懸案については冷静かつ大局的見地から対応することが重要であり、個別の問題が日台関係の大局に影響することのないよう、日台間でしっかりと意思疎通に努め、理性的に対応していく必要があります。

●海外に滞在する邦人の安全は、外務大臣としての最大の関心事です。いかなる状況下においても、台湾の在留邦人が安全かつ安心して暮らしたり、旅行できる環境が保たれていることは、台湾社会の成熟ぶりを示すものであると同時に、日台間に草の根レベルでの友情が深く根付いていることを示すものと受け止めています。台湾の人々の理性的かつ友好的な振る舞いに強い感銘を受けるとともに、在留邦人の方々が引き続き安全面の憂いなく台湾での日々を送れるよう強く願っています。

●東シナ海の平和と安定の確保は、すべての当事者に共通する利益であり、台湾側が先 般発表した「東シナ海平和イニシアティブ」及び「推進綱領」も、我が国として受け入れられない部分はあるものの、かかる基本的な考え方と精神を体現したものと承知しています。対立をエスカレートさせたり、偶発的衝突を招きかねない挑発的行為を相互に自制しつつ、実務的かつ具体的な協力を進めていくことが重要であるという点について、日台双方の認識は一致しているものと信じます。この観点から、徒に緊張を高めるような事態が再び発生しないことを強く期待しています。

●かかる観点から、我が国は、最近、日台漁業協議の再開を提案しました。台湾側も、同協議の再開を強く希望していたと承知しており、日本政府としては、同協議が早期に再開され、双方が関心を寄せる議題について建設的話し合いが行われることを期待しています。

●交流協会が、日台間の最も重要な意思疎通の窓口として、平素から台湾側と緊密に連絡を取り合い、強固な信頼関係を築いていることを多としています。今井理事長には、日台関係を更に発展させたいという日本政府の誠実なる気持ちを、私に代わって台湾の皆さんにお伝え願いたいと考えます。