データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本国との平和条約,宣言(1)

[場所] サンフランシスコ
[年月日] 1951年9月8日
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),442ー443頁.外務省条約局「条約集」第29集第87巻.
[備考] 
[全文]

 本日署名された平和条約に関して,日本国政府は,次の宣言を行う。

1 この平和条約に別段の定がある場合を除き,日本国は,現に有効なすべての多数国間の国際文書で千九百三十九年九月一日に日本国が当事国であつたものが完全に効力を有することを承認し,且つ,平和条約の最初の効力発生の時にこれらの文書に基くすべての権利及び義務を回復することを宣言する。但し,いずれかの文書の当事国であるために日本国が千九百三十九年九月一日以後加盟国でなくなつた国際機関の加盟国であることを必要とする場合には,この項の規定は,日本国の当該機関への再加盟をまつて効力を生ずるものとする。

2 日本国政府は,実行可能な最短期間内に,且つ,平和条約の最初の効力発生の後一年以内に,次の国際文書に正式に加入する意思を有する。

 (1)千九百十二年一月二十三日,千九百二十五年二月十一日,千九百二十五年二月十九日,千九百三十一年七月十三日,千九百三十一年十一月二十七日及び千九百三十六年六月二十六日の麻薬に関する協定,条約及び議定書を改正する千九百四十六年十二月十一日にレーク・サクセスで署名のために開放された議定書

 (2)千九百四十六年十二月十一日にレーク・サクセスで署名された議定書によつて改正された麻薬の製造制限及び分配取締に関する千九百三十一年七月十三日の条約の範囲外の薬品を国際統制の下におく千九百四十八年十一月十九日にパリで署名のために開放された議定書

 (3)千九百二十七年九月二十六日にジュネーヴで署名された外国の仲裁判決の執行に関する国際条約

 (4)千九百二十八年十二月十四日にジュネーヴで署名された経済統計に関する国際条約及び議定書並びに千九百二十八年の経済統計に関する国際条約を改正する千九百四十八年十二月九日にパリで署名された議定書

 (5)千九百二十三年十一月三日にジュネーヴで署名された税関手続きの簡易化に関する国際条約及び署名議定書

 (6)千九百十一年六月二日にワシントンで,千九百二十五年十一月六日にヘーグで,及び千九百三十四年六月二日にロンドンで修正された貨物の原産地虚偽表示の防止に関する千八百九十一年四月十四日のマドリッド協定

 (7)千九百二十九年十月十二日にワルソーで署名された国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約及び追加議定書

 (8)千九百四十八年六月十日にロンドンで署名のために開放された海上における人命の安全に関する条約

 (9)千九百四十九年八月十二日の戦争犠牲者の保護に関するジュネーヴ諸条約

3 日本国政府は,また,平和条約の最初の効力発生の後六箇月以内に,(a)千九百四十四年十二月七日にシカゴで署名のために開放された国際民間航空条約への参加の承認を申請し,且つ,日本国がその条約の当事国となつた後なるべくすみやかに,同じく千九百四十四年十二月七日にシカゴで署名のために開放された国際航空業務通過協定を受諾し,及び(b)千九百四十七年十月十一日にワシントンで署名のために開放された世界気象機関条約への参加の承認を申請する意思を有する。

 千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で作成した。