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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日米船舶貸借協定(日本国とアメリカ合衆国との間の船舶貸借協定)

[場所] 東京
[年月日] 1952年11月12日
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),524ー526頁.外務省条約局「条約集」,第31集第105巻.
[備考] 
[全文]

 アメリカ合衆国政府(以下「船舶所有者」という。)及び日本国政府(以下「船舶借受者」という。)は,ここに,この協定に定める期間中及びこの協定に定める条件で,附属書Aとしてこの協定に添付される表及び将来船舶所有者と船舶借受者との合意によりこの協定に添付される表に掲げる船舶を,それぞれ,貸し,及び借りることに同意する。

    第一条

 この船舶貸借は,各船舶について,船舶借受者へのその引渡しの日から五年の期間及び,日本国政府の要請がある場合には,相互の合意によつて定める五年をこえない追加の期間,その効力を有する。

    第二条

 各船舶は,船内で利用することができる定数品及び予備品(消耗需品及び燃料を含む。)とともに,相互に合意した時及び場所において船舶借受者に引き渡すものとする。各引渡しは,この協定の附属書Bに明記する形式の引渡証書によつて証明する。船舶借受者は,船舶所有者の所有に属するすべてのぎ装品{ぎに強調},器具,燃料,消耗需品,予備部品及び交換用部品で引渡しを受ける際船内にあるものを使用する権利を有し,船舶所有者は,返還の際船内にある燃料及び消耗需品を使用する権利を有することが合意される。

    第三条

 船舶所有者は,船舶が引渡しの際能率的な状態にあることを確保するためあらゆる努力を払うものとし,船舶借受者は,当時のその船舶の状態のいかんを問わず,その船舶を受領するものとする。船舶所有者は,前記の引渡しの際の船舶の状態に関しては,明示のものであると黙示のものであるとを問わず,いかなる保証をも与えない。船舶所有者は,また,船舶借受者に対し,船舶の物理的状態から生ずるいかなる事項についても責任を有しない。

    第四条

 船舶借受者は,引渡しを受ける際各船舶に自己の旗を掲げるものとする。但し,船舶に対する権原は,それによつて影響されることはない。

    第五条

 船舶借受者は,種類のいかんを問わず,船舶の受領,使用及び運航から生ずる又はそれらに関連するあらゆる請求及び責任を引き受ける。また,この協定のいかなる規定も,それらの船舶に対する何らかの留置権を生ぜしめ,許し,若しくは与え,又はその存在を認めるものと解釈してはならず,船舶借受者は,それらの船舶に対して負わされ,又は主張されることがある留置権に係る責任について,船舶所有者に対しその責任を免かれさせ,且つ,損害を与えないようにしなければならない。

    第六条

 各船舶は,その引渡しの時から五年又はこの協定の第一条に基く延長期間の満了の時に,滅失していない限り,船舶所有者が指定する時及び場所において,且つ,船舶借受者に引き渡された時と実質的に同一の状態(正常の又は正当な減耗及び船舶借受者が申し出て船舶所有者が受諾した改変を除く。)で返還されなければならない。船舶が,この船舶貸借の有効期間中に,いかなる原因によるものであるかを問わず,船舶借受者が全損として取り扱うことを適当と認める損害を受けた場合には,船舶借受者は,その損害を全損であると宣言する前に,船舶所有者と協議しなければならない。船舶が滅失したか,又は本条に従つて全損であると宣言された場合には,船舶借受者は,そのため,各損失に対して公正且つ妥当な賠償であると船舶借受者及び船舶所有者が合意した額及び条件で,船舶所有者に補償することに同意する。

    第七条

 船舶借受者は,船舶所有者の同意を得ないで,船舶又は船内のぎ装品{ぎに強調},器具,予備部品若しくは交換用部品の物理的占有を放棄してはならず,また,それらに関する図面,仕様書その他の情報を日本国政府の職員又は委託を受けた者以外のいかなる者にも漏らしてはならない。前記のぎ装品{ぎに強調}に関する秘密保持のための取扱区分は,アメリカ合衆国政府の標準慣行に従つて行われるものとする。

    第八条

 この船舶貸借協定は,各締約国によつて,それぞれの国内法上の手続に従つて承認されるものとする。この協定は,その承認を通知する外交上の公文が交換された時に効力を生ずる。

 

 以上の証拠として,このために委任を受けた両政府の代表者は,この船舶貸借協定に署名した。

 

 千九百五十二年十一月十二日に東京で,ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。

 日本国政府のために

   岡 崎 勝 男

 アメリカ合衆国政府のために

   ロバート・マーフィー

   附属書A

 日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の千九百五十二年十一月十二日付の船舶貸借協定の規定に従つて日本国政府に引き渡される船舶の表

{表は省略}

   附属書B

   引渡証書

 日本国政府(以下「船舶借受者}という。)とアメリカ合衆国政府(以下「船舶所有者」という。)との間の千九百五十二年十一月十二日付の船舶貸借協定の条件に従い,且つ,同協定第二条により,船舶所有者は,次に掲げる合衆国船舶を引き渡し,船舶借受者は,それらを受領した。

(船舶の名称及び記載事項)

 前記の船舶は,前記の船舶貸借協定に添付する船舶の表に含まれるべきものである。

 引渡しは,    年  月  日に    で完了した。

 日本国政府のために

 アメリカ合衆国政府のために