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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定第一条に基く装備の返還に関する取極

[場所] 東京
[年月日] 1954年3月8日
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),638−639頁.外務省条約局「条約集」第32集第7巻.
[備考] 
[全文]

 日本国政府及びアメリカ合衆国政府は,本日署名された両国間の相互防衛援助協定に基いてアメリカ合衆国政府が供与する装備及び資材で使用に供される当初の用途のために必要でなくなるものの処分に関し,同協定に基き次の取極を合意する。

1 日本国政府の当局は,完成品計画に基いて供与される装備及び資材で,日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の目的の達成のため必要でなくなつたものについて,アメリカ合衆国政府に同国の軍事援助顧問団を通じて通報するものとする。もつとも,軍事援助顧問団が,前記の協定の第一条3の規定に該当すると認める装備又は資材について,日本国政府の当局の注意を喚起することを妨げるものではなく,日本国政府は,その通知を受けたときは,当該装備及び資材を2以下の規定に定める手続に従つてアメリカ合衆国政府に返還することに関し,アメリカ合衆国政府と協議を開始するものとする。

2 アメリカ合衆国政府は,第三国への移転のため,又はアメリカ合衆国政府が行うことがあるその他の処分のため,前記の装備及び資材に対する権原の取得を承諾することができる。

3 アメリカ合衆国政府が権原の取得を承諾した装備及び資材は,国外向け船積を必要とするときは日本国のいずれかの港において船側渡しにより,国外向け船積を必要としないときは軍事援助顧問団が指定する日本国内の積荷地点において内国運送積込渡しにより,又は自力飛行によつて引き渡すことができる航空機であるときは同顧問団が指定する日本国内の飛行場において,引き渡される。

4 必要でなくなつたことを日本国政府が通報した装備又は資材で,アメリカ合衆国政府が再配分し又は返還を受けるためその取得を承諾しないものは,日本国政府とアメリカ合衆国政府との間で合意するところに従つて処分するものとする。

5 相互防衛援助協定に基いて供与される装備及び資材の廃品又はくずについては,アメリカ合衆国政府に対しこの取極の1に従つて通報し,且つ,2,3及び4に従つて処分しなければならない。アメリカ合衆国政府が取得を承諾しない廃品又はくずは,日本国の防衛努力又はアメリカ合衆国政府が軍事援助を供与しているその他の国の防衛努力を支持するために使用するものとする。

 以上の証拠として,署名のために委任された両政府の代表者は,この協定に署名した。

 千九百五十四年三月八日に東京で,ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。

 日本国政府のために

岡崎勝男(署名)

 アメリカ合衆国政府のために

   ジョン・M・アリソン(署名)