データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] MSA協定,日米共同発表

[場所] 
[年月日] 1954年3月8日
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),642頁.「毎日新聞」,3月9日.
[備考] 
[全文]

本日署名された相互防衛援助協定は,米国の相互安全保障法に基く援助供与の基礎を規定し,日本の経済の安定がその防衛能力の増強に不可欠の要素であることを認めて,日本に対する防衛援助計画の立案を促進しようとするものである。本協定は在日米国大使の指揮統制の下に行動する米国軍事援助顧問団の設置も意図している。本顧問団は日本の防衛のための部隊の増強のための援助に任ずる。日本政府は顧問団の所要経費を賄うため若干の現物を提供するほか,総額三億五千七百三十万円(約九十九万ドル)を超えない額を提供することに同意した 装備の返還に関する取極めは,日本に供与された装備で所期の目的に最早必要でなくなったものは相互に同意された手続に従って返還のために提供されるべきことを一般的に規定している。

農産物購入に関する協定は五千万ドルを超えない価額の米国余剰農産物を日本に売却する基礎を規定している。同協定によれば米国は農産物購入に必要なドルを支払い,日本は,それに相当する円貨を日本銀行に設定される米国の勘定に積立て,経済措置に関する協定の条件に基き,この積立金の二0パ−セント又は一千万ドル相当円を超えざる額を日本の防衛産業の援助及び日本の経済能力の増強に役立つその他の目的のために提供し,残りの八0パ−セントは米国により軍事援助計画を実施するための日本における物資及び役務の調達のため使用される。投資保証に関する協定は対日投資促進のため米国政府が米国実業人に或種の保護を与えることを認めるものである。

これらの諸協定は審議のため国会に提出され米国側が日本側の批准又は承認の通告を受けた時に発効する。