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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 投資の保証に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定

[場所] 
[年月日] 1954年3月8日
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),641−642頁.外務省条約局「条約集」第32集第10巻.
[備考] 
[全文]

日本国政府及びアメリカ合衆国政府は,

日本国においてアメリカ合衆国の国民が行うことがある私的投資に対する改正後の千九百四十八年の経済協力法第百十一条(b)(3)の規定に基くアメリカ合衆国による保証が,日本国及びアメリカ合衆国に経済的利益をもたらすことを認め,

その保証に関する了解を定めることを希望して,

次のとおり協定した。

第一条

日本国政府及びアメリカ合衆国政府は,いずれか一方の政府の要請があつたときは,アメリカ合衆国の国民が提案した日本国における投資の計画で,改正後の千九百四十八年の経済協力法第百十一条(b)(3)に基く保証を考慮されているもの又はその保証を受けることがあるものに関して協議するものとする。

第二条

日本国政府は,同政府が承認する計画に対してアメリカ合衆国政府が第一条にいう経済協力法の当該条項の規定に従つて与える保証に関し,次のことに同意するものとする。

(1)アメリカ合衆国政府が当該保証に基き合衆国ドルによる支払をいずれかの者に対して行う場合には,日本国政府は,その支払の原因が生じた資産,通貨,貸付金その他の財産に対するその者の権利,権原又は利益のアメリカ合衆国政府への移転及びこれに関連して生ずるその者の請求権又は訴訟の原因についてのアメリカ合衆国政府による代位を承認する。日本国政府は,また,当該保証の対象となる損失に対して日本国政府の与える補償額が当該保証に基きアメリカ合衆国政府に移転することを承認する。

(2)当該保証に基いてアメリカ合衆国政府が取得する円価額には,その取得の時に,当該保証を受ける投資行為と同様の合衆国の国民の投資行為から生ずる私人の資金に与えられる待遇よりも不利でない待遇が与えられ,当該円価額は,アメリカ合衆国政府が非軍事的行政事務費として自由に使用することができる。

(3)当該保証に基く支払の結果アメリカ合衆国政府が代位することがある日本国政府に対する請求権は,両政府間の直接の交渉の主題とする。両政府が相当な期間内に合意によつて当該請求権について解決することができない場合には,相互間の合意によつて選定される一人の仲裁人に最終的の且つ拘束力のある裁定のため付託する。両政府が三箇月の期間内にその選定について合意することができない場合には,当該仲裁人は,いずれか一方の政府の要請に基き国際司法裁判所長が指定する者とする。

第三条

この協定は,日本国がその国内法上の手続に従つてこの協定を承認したことを通知する日本国政府の公文を,アメリカ合衆国政府が受領した日に効力を生ずる。

以上の証拠として,署名のために正当に委任された両政府の代表者は,この協定に署名した。

千九百五十四年三月八日に東京で,ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。

日本国のために

岡崎勝男(署名)

アメリカ合衆国のために

ジョン・M・アリソン(署名)