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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 防衛分担金減額に関する日米共同声明

[場所] 
[年月日] 1955年4月19日
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),706頁.外務省情報文化局「外務省発表文集」第1号,63頁.
[備考] 外務省情報局発表
[全文]

 日本政府が要請した,昭和三十年日本会計年度における防衛分担金減額に関し,日米両国政府代表間に行われた交渉の結果,本日左記の事態の下において,行政協定第二十五条第二項(b)に定められた防衛分担金を,本,日本会計年度に限り一七八億円減額すること,即ち本会計年度の防衛分担金は三八〇億円とすることについて,合意に到達した。

(一)日本政府は防衛庁に対し,八六八億円の予算を計上し,右予算の外防衛庁に約一五四億円の国庫債務負担行為の権限を賦与するものとする。且つ防衛庁では昭和二十九年度よりの繰越金約二二七億円が使用される。

(二)前記の防衛分担金の外,日本政府は飛行場を拡張し,又在日米軍の使用する施設の所有者並びに提供者に対し補償する為約八〇億円の予算を計上する。

(三)前記に基き,防衛関係経費総額は,昨年度の防衛関係総経費一,三二七億円の枠内となる。

 日米安全保障条約には,日本が自国の防衛のため,漸増的に,自ら責任を負うことの期待が表明されていることが想起される。又,日本の自衛隊を,漸進的に増強することが日本政府の基本政策である。この様な期待と政策に従つて,昭和三十一年及びそれに引続く年間において,自己の資力のより大きな部分を防衛目的のために振向けることが,日本政府の意向であり,政策であることが明らかにされた。しかし乍ら,日本政府の直面する財政的困難,就中,本,日本会計年度は,日本の経済安定の成否を決する年であるということに鑑み,米国政府が本年度における特別の協力措置として,本会計年度には適用されない,前記の防衛分担金額に同意したものである。