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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定についての合意された議事録

[場所] ワシントン
[年月日] 1960年1月19日
[出典] 外交青書4号,263−268頁.
[備考] 
[全文]

 日本国全権委員及びアメリカ合衆国全権委員は、本日署名された日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の交渉において到達した次の了解を記録する。

  第三条

 第三条1の規定に基づいて合衆国が執ることのできる措置は、この協定の目的を遂行するのに必要な限度において、特に、次のことを含む。

1 施設及び区域を構築(浚渫及び埋立てを含む。)し、運営し、維持し、利用し、占有し、警備し、及び管理すること

2 建物又はその他の工作物を移動し、それらに対し変更を加え、定着物を附加し、又は附加物を建てること及び補助施設とともに附加的な建物又はその他の工作物を構築すること

3 港湾、水路、港門及び投錨地を改善し、及び深くすること並びにこれらの施設及び区域に出入するために必要な道路及び橋を構築し、又は維持すること

4 施設及び区域の能率的な運営及び安全のため軍事上必要とされる限度で、その施設及び区域を含む又はその近傍の水上、空間又は地上において船舶及び船艇、航空機並びにその他の車両の投錨、係留、着陸、離陸及び操作を管理すること(禁止する措置を含む。)

5 合衆国が使用する路線に軍事上の目的で必要とされる有線及び無線の通信施設を構築すること。前記には、海底電線及び地中電線、導管並びに鉄道からの引込線を含む。

6 施設又は区域において、いずれの型態{前2文字目ママ}のものであるかを問わず、必要とされる又は適当な地上若しくは地下、空中又は水上若しくは水中の設備、兵器、物資、装置、船舶又は車両を構築し、設備し、維持し、及び使用すること。前記には、気象観測の体系、空中及び水上航行用の燈火、無線電話及び電波探知の装置並びに無線装置を含む。

  第五条

1 「合衆国及び合衆国以外の国の船舶、、、、、で、合衆国によつて、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるもの」とは、合衆国公有船舶及び合衆国被用船舶(裸用船、航海用船及び期間用船契約によるもの)をいう。一部用船契約によるものは、含まれない。商業貨物及び私人たる旅客がこれらの船舶に積載されるのは、例外的な場合のみに限る。

2 この条の日本国の港とは、通常「開港」をいう。

3 「適当な通告」をする義務を免除されるのは、合衆国軍隊の安全のため又は類似の理由のため必要とされる例外的な場合に限られる。

4 この条に特に定めのある場合を除くほか、日本国の法令が適用される。

  第七条

 合衆国軍隊に適用される電気通信料金の問題は、特に、千九百五十二年二月二十八日に署名された行政協定の協議のための第十回合同会議の公式議事録に記録されている第七条に関する陳述に照らして、引き続き検討されることとし、前記の陳述は、これに言及したことによりこの議事録に組み入れられたものとする。

  第九条

 日本国政府は、両政府間で合意される手続に従つて、入国者の数及び種別につき定期的に通報を受ける。

  第十一条

1 第十五条に定める諸機関が合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の使用のため第十一条2の規定に基づいて輸入する物品の量は、そのような使用のため必要とされる合理的な限度に限られる。

2 第十一条3(a)は、貨物の船積みが所有者の旅行と同時であることを必要とするものでなく、また、積込み又は船積みが一回であることを要求するものでない。

3 第十一条5(c)にいう「軍事貨物」とは、武器及び備品に限定されるものでなく、合衆国政府の船荷証券により合衆国軍隊に向けて船積みされるすべての貨物をいう。この「軍事貨物」という用語は、合衆国軍隊に向けて船積みされる貨物を合衆国政府の他の機関に向けて船積みされる貨物と区別するために用いられている。

4 合衆国軍隊は、日本国への搬入が日本国の関税に関する法令に違反するような物品が合衆国軍隊の構成員若しくは軍属若しくはそれらの家族によつて、又はそれらの者のために輸入されないことを確保するために実行可能なすべての措置を執る。合衆国軍隊は、そのような物品の搬入が発見されたときは、いつでも、すみやかにその旨を日本国の税関当局に通知する。

5 日本国の税関当局は、第十一条の規定に基づく物品の搬入に関連する濫用又は違反があつたと認めるときは、合衆国軍隊の当局に対してその問題を提起することができる。

6 第十一条9(b)及び(c)にいう「合衆国軍隊は、・・・・・可能なすべての援助を与えなければならない」とは、合衆国軍隊による合理的なかつ実際的な措置をいう。

  第十二条

1 合衆国軍隊は、日本国におけるその調達計画の予測される主要な変更についての関係情報を可能な限り事前に日本国の当局に提供する

2 合同委員会その他の適当な者は、日本国及び合衆国の経済関係の法令及び商慣習の相違から生ずる調達契約に関する紛議の満足すべき解決につき研究する。

3 最終的には合衆国軍隊が使用する物資の購入に関する課税免除を確保する手続は、次のとおりとする。

 a 合衆国軍隊に向けて託送され、又は仕向けられた資材、需品及び備品が、合衆国軍隊の監督の下に、もつぱら第二条に掲げる施設及び区域の構築、維持若しくは管理のための契約若しくは施設及び区域内にある軍隊の維持のための契約を履行するため使用され、又はその全部若しくは一部が消費されることなつているか、あるいは、当該軍隊が使用する物品若しくは施設に最終的には合体させられるものである旨の適当な証明を合衆国軍隊がした場合には、合衆国軍隊の権限のある代表者が、生産者から直接に当該資材、需品及び備品の引渡しを受けるものとする。この場合、物品税及び揮発油税の徴収手続は、進めないものとする。

 b 施設及び区域における前記の資材、需品及び備品の受領は、合衆国軍隊の権限のある官憲から日本国の当局に対して行なわれる。

 c 物品税及び揮発油税の徴収手続は、次に定めるいずれかの時期まで進めないものとする。

  (1) 合衆国軍隊が、前記の資材、需品及び備品の消費の量又は程度を確認して証明する時

  (2) 合衆国軍隊が使用する物品又は施設に合体させられた前記の資材、需品及び備品の量を確認して証明する時

 d c(1)又は(2)の規定に従つて証明された資材、需品及び備品は、その経費が合衆国政府予算から支払われ、又は日本国政府が合衆国の支出にあてる経費から支払われる限り、物品税及び揮発油税を免除される。

4 合衆国政府は、第十五条に定める諸機関に提供される労働者の雇用に関連して日本国政府の当局と前記の諸機関との間の該当する契約に基づき要する費用が日本国政府に返済されることを確保するものとする。

5 第十二条5にいう「日本国の法令」とは、第十二条6の規定に従うことを条件として、日本国の裁判所及び労働委員会の決定を含むことが了解される。

6 第十二条6の規定は、合衆国軍隊が使用している施設及び区域内の軍紀の維持の攪乱を含む安全上の理由による解雇の場合にのみ適用されることが了解される。

7 第十五条に定める諸機関は、当局間の相互の合意に基づき第十二条6の手続に従うことが了解される。

  第十三条

 第十三条2及び第十四条7に関して、合衆国軍隊における勤務又は合衆国軍隊若しくは第十五条に定める諸機関による雇用の結果として、あるいは合衆国政府と合衆国において結んだ契約に基づいて日本国で受ける所得は、日本国の源泉から生ずる所得として取り扱われず、また、認められない。

  第十五条

 通常海外で同様の特権を与えられている合衆国政府のその他の官吏及び職員は、第十五条1に掲げる施設を利用することができる。

  第十七条

1(a)及び2(a)に関し、

 合衆国の軍法に服する者の範囲は、合衆国政府が合同委員会を通じて日本国政府に通知しなければならない。

2(c)に関し

 両政府は、2(c)に掲げる安全に対するすべての罪に関する詳細及びそれぞれ自国の現行法規定でそれらの罪を定めるものを相互に通報しなければならない。

3(a)(ii)に関し、

 合衆国軍隊の構成員又は軍属が起訴された場合において、その起訴された罪がもし被告人により犯されたとするならば、その罪が公務執行中の作為又は不作為から生じたものである旨を記載した証明書でその指揮官又は指揮官に代わるべき者が発行したものは、反証のない限り、刑事手続のいかなる段階においてもその事実の十分な証拠資料となる。

 前項の陳述は、いかなる意味においても、日本国の刑事訴訟法第三百十八条を害するものと解釈してはならない。

3(c)に関し、

 1 裁判権を行使する第一次の権利の放棄に関する相互の手続は、合同委員会が決定するものとする。

 2 日本国の当局が裁判権を行使する第一次の権利を放棄した事件の裁判及び(a)(ii)に定める罪で日本国又は日本国民に対して犯されたものに係る事件の裁判は、別段の取極が相互に合意されない限り、日本国において、犯罪が行なわれたと認められる場所から適当な距離内で、直ちに行なわなければならない。日本国の当局の代表者は、その裁判に立ち会うことができる。

4に関し、

 日本国及び合衆国の二重国籍者で、合衆国の軍法に服しており、かつ、合衆国が日本国に入れたものは、4の適用上、日本国民とみなさず、合衆国国民とみなす。

5に関し、

 1 日本国の当局は、日本国が裁判権を行使する第一次の権利を有する事件について、合衆国軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族で合衆国の軍法に服するものを犯人として逮捕したときは、その犯人を拘束する正当な理由及び必要があると思料する場合を除くほか、当該犯人を釈放し、合衆国の軍当局による拘禁にゆだねるものとする。ただし、日本国の当局がその犯人を取り調べることができることをその釈放の条件とした場合には、日本国の当局の要請があれば、日本国の当局がその犯人をいつでも取り調べることができるようにしなければならない。合衆国の当局は、日本国の当局の要請があれば、日本国の当局がその犯人を起訴した時にその犯人の身柄を日本国の当局に引き渡さなければならない。

 2 合衆国の軍当局は、日本国が裁判権を行使する第一次の権利を有するすべての事件について、合衆国軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族の逮捕を直ちに日本国の当局に通告するものとする。

9に関し、

 1 この項の(a)から(e)までに掲げる権利は、日本国憲法の規定により、日本国の裁判所において裁判を受けるすべての者に対して保障されている。これらの権利のほか、合衆国軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族で日本国の裁判権の下に起訴されたものは、日本国の裁判所において裁判を受けるすべての者に対して日本国の法律が保障するその他の権利を有する。前記のその他の権利は、日本国憲法により保障されている次の権利を含む。

  (a) その者は、自己に対する被疑事実を直ちに告げられ、かつ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留又は拘禁されない。また、その者は、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

  (b) その者は、公平な裁判所の公開裁判を受ける権利を有する。

  (c) その者は、自己に不利益な供述を強要されない。

  (d) その者は、すべての証人を審問する機会を十分に与えられる。

  (e) その者は、残虐な刑罰を科せられることはない。

 2 合衆国の当局は、要請すれば、いつでも、合衆国軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族で日本国の権限の下に拘禁されているものに接見する権利を有する。

 3 合衆国軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族で日本国の裁判権に基づいて起訴されたものの裁判に合衆国政府の代表者が立ち会うことに関する9(g)のいかなる規定も、裁判の公開に関する日本国憲法の規定を害するものと解釈してはならない。

10(a)及び10(b)に関し、

 1 合衆国の軍当局は、通常、合衆国軍隊が使用し、かつ、その権限に基づいて警備している施設及び区域内ですべての逮捕を行なうものとする。このことは、合衆国軍隊の権限のある当局が同意する場合又は重大な罪を犯した現行犯人を追跡している場合において日本国の当局が前記の施設又は区域内において逮捕を行なうことを妨げるものではない。

 日本国の当局が逮捕することを希望する者で合衆国軍隊の裁判権に服さないものが、合衆国軍隊により使用されている施設又は区域内にある場合には、合衆国の軍当局は、日本国の当局の要請によりその者を逮捕するとを約束する。合衆国の軍当局により逮捕された者で合衆国軍隊の裁判権に服さないすべてのものは、直ちに日本国の当局に引き渡さなければならない。

 合衆国の軍当局は、施設又は区域の近傍において、当該施設又は当該区域の安全に対する罪の既遂又は未遂の現行犯に係る者を法の正当な手続に従つて逮捕することができる。これらの者で合衆国軍隊の裁判権に服さないものは、すべて、直ちに日本国の当局に引き渡さなければならない。

 2 日本国の当局は、通常、合衆国軍隊が使用し、かつ、その権限に基づいて警備している施設若しくは区域内にあるすべての者若しくは財産について、又は所在地のいかんを問わず合衆国軍隊の財産について、捜索、差押え又は検証を行なう権利を行使しない。ただし、合衆国軍隊の権限のある当局が、日本国の当局によるこれらの捜索、差押え又は検証に同意した場合は、この限りでない。

 合衆国軍隊が使用している施設若しくは区域内にある者若しくは財産又は日本国にある合衆国軍隊の財産について、捜索、差押え又は検証を行なうことを日本国の当局が希望するときは、合衆国の軍当局は、要請により、その捜索、差押え又は検証を行なうことを約束する。これらの財産で合衆国政府又はその附属機関が所有し又は利用する財産以外のものについて、裁判が行なわれたときは、合衆国は、それらの財産を裁判に従つて処理するため日本国の当局に引き渡すものとする。

  第十九条

 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族並びに第十四条に掲げる者以外の者に対する、合衆国軍隊及び第十五条に規定する諸機関の日本国における支払は、日本国の外国為替の法令に従つて行なわれ、この支払においては、基準為替相場が用いられるものとする。

  第二十一条

 通常海外で同様の特権を与えられている合衆国政府のその他の官吏及び職員は、合衆国軍事郵便局を利用することができる。

  第二十四条

 この協定のいかなる規定も、合衆国がこの協定に基づいて負担すべき経費の支出のため、合衆国が合法的に取得したドル又は円資金を利用することを妨げないものと了解される。

 千九百六十年一月十九日にワシントンで

                            N・K

                            C・A・H