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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 米原潜の安全性に関する米側説明および大平正芳外相談話

[場所] 
[年月日] 1963年6月5日
[出典] 日本外交主要文書・年表(2),444−450頁.外務省情報文化局「外務省公表集」,昭和38年上半期,163−70頁,15−8頁.
[備考] 
[全文]

1.米原潜の安全性に関する米側説明

米国原子力潜水艦について

             資 料

 米国原子力潜水艦の安全性および万一の事故の際の補償に関し現在までに米国政府より得た説明のほか米側公表資料などを中間的にとりまとめればおおむね次のとおりである。

一,原子力推進装置の安全性

 (1) 米国原子力委員会および原子炉安全審査諮問委員会は原子炉の安全性と核推進装置の運転について厳重に審査し承認している。

 (2)原子力潜水艦の原子炉は制御棒の数を減らしているが,これは原子炉技術の進歩を意味するものであつてこれによつて原子炉の安全性はなんら損われていない。技術の進歩の結果制御系統が簡素化されて効率が高められ,かつ一層経済的になつてきている。このことについては一九六〇年四月原子力潜水艦ジョージ・ワシントン号上での米国議会原子力合同委員会の聴問会{前2文字目ママ}において米国原子力委員会艦船用原子炉部長リコーバー海軍中将が『今後建造される原子力潜水艦では制御棒の数は減らされており,また,それ以上制御棒の数を減らした原子炉も設計中である。制御棒を使うと中性子束の動きや流れが乱されて原子炉の効率が低くなる。従つて制御棒等の可動部分を全部取除いて静的な制御方式にきりかえた原子炉が理想的なものである』と述べており,さらに,同中将はその一例として陸上炉の場合においても『シッピングポートの原子炉では制御棒の数を三十二本から二十本に減らした』旨を証言している。

 (3) 原子力潜水艦については継続的に厳格な基準によってモニタリング(放射能看{前1文字ママとルビ}視)と運航および装置の検査が行なわれている。

 (4) コナリー米海軍長官は一九六一年六月次のとおり言明している。

 『米国海軍は,公衆保護のためにも原子力委員会と協力して原子力艦船運航のための通過や手続を定め特別な配慮を払つており,原子力艦船の設計,運航および乗組員の訓練には安全性が第一義であると考え,国の内外を問わず公衆と米国海軍軍人が不当な危険にさらされぬよう最善をつくしている』。

 (5) 一般公衆の安全と健康を守り原子炉の安全運転を確保するために米国政府は一体となつて原子力潜水艦の乗組員の選考と訓練とに十分に意を用いている。このことは一九六二年一月から三月にかけての米国議会原子力合同委員会ホリフィールド委員長,コース海軍長官の両者とシーボーグ原子力委員長との間の往復書簡によつて明らかにされている。

 (6) 過去の運航実績をみると,原子力潜水艦はこれまで七年余りの間に米国内約五〇港,海外十三カ国の約三〇港に一〇〇回以上寄港したが原子炉の事故はもちろん,放射能汚染による事故も一度もなかった。寄港した港をみても米国内ではニューヨーク,サンフランシスコ,シアトルをはじめボストン,フィラデルフィアなど大都会の港に出入しており,また海外ではルアーブル(仏),ナポリ(伊),ロッテルダム(オランダ),メルボルン(豪)等の商港にも寄港している。

 (7) 原子力潜水艦の核推進装置の設計・構造等に関する資料は機密であり従来米国政府がこれらの資料を安全審査のために外国に提供した例はない。しかしながら米国政府はその専門機関による厳重な審査に基づき,原子力潜水艦の安全性についてはこれを保証する旨言明している。

二,放射性廃棄物の処理,汚染問題

 (1) 原子力潜水艦の放射性廃棄物には原子炉冷却水のほか,使用済みイオン交換樹脂,艦内除染作業等から出る廃液,固形廃棄物がある。これらの放射性廃棄物の投棄から放射能汚染を生じさせないため米国海軍では米国公衆衛生局と原子力委員会の検討を経て,放射性物質の処理手続と基準を定め,放射性廃棄物を周囲の自然放射能と比較して区別できない程度の濃度と分量に制限している。すなわち米国海軍艦船局通達による規制の要旨は次のとおりである。

  (イ) 原子炉冷却水

 沿岸から十二マイル以内では,総合放射能および沃素について毎日分析し,ストロンチウムについては月別に分析し,一定の水準以上の場合は海中に放出してはならない。

 この条件を満たさぬ場合にはドック際の貯蔵タンクに放出して処分する。

 沿岸から十二マイル以上離れている場合には直接海中に放出してよい。

 なお,リコーバー中将は前記ジョージ・ワシントン号上で開かれた米国議会の聴問{前1文字ママとルビ}会において,『潜水艦から水を捨てる場合には,港の放射能を計測しうるほど増加させてはならない旨の規則があり,また従来の経験からいっても艦外に捨てる水は飲料水の許容レベル以下の放射能しかないので飲もうと思えばこれをじかにのんでも安全であり,潜水艦から捨てる水は絶対に危険はない』と述べている。

  (ロ) 使用済イオン交換樹脂

 沿岸から十二マイル以上はなれている場合には,船が進行中で,他船が周囲三マイル以内におらず,かつ既知の漁区内でなければ海中投棄をしてもよい。この条件を満たさぬ場合には,持ち帰つてドック際の貯蔵タンクに放出し処分する。なお,イオン交換樹脂は大体六カ月毎に処分される。

  (ハ) その他の廃液

 沿岸から十二マイル以上離れている場合には二次回路,艦内除染作業などから出る放射性廃液は直接海中に投棄してよい。

 十二マイル以内では特定の核種の濃度が一定水準以上の場合には海中に放出してはならない。

  (ニ) 固形廃棄物

 潜水艦の平常の維持のために使用されたボロ布,金属片,紙などは所定の手続に従い本国で処分する。

 なお,使用済燃料は本国へ持ち帰つて処分する。

 (2) 衝突の場合の安全性については原子力潜水艦は出入港時には速度を落しており,また船体の大きさや形状からみて慣性が小さく,その船体は苛酷な戦闘条件下での要求性能をみたし,かつ長期間強い水圧に耐えうるように作られており,さらに炉は耐圧容器で囲まれその外側を遮蔽で囲まれているので,出入港時などの衝突によつて原子炉に損傷が生ずることは考えられないと米側は述べている。

 (3) 沈没等による放射能汚染の可能性については,去る四月十日のスレッシャー号沈没事件に関連し,リコーバー中将は同号沈没調査委員会において次のように証言している。『こんどの不幸な事故の結果として放射能汚染が起る心配は全くない。スレッシャー号に使われている型の原子炉は,米国のあらゆる原子力潜水艦,原子力推進の水上艦艇のものと同様,沈没というような最も重大な事故の場合でさえ,周辺に対する潜在的危険性を最少{前1文字ママとルビ}限にとどめるよう設計されており,いつまで海底に沈んでいても危険の起らないようにできている。

 第一に,炉心は爆弾のように爆発することが物理的に不可能なように設計されている。第二に,原子炉の燃料要素は海水の中でさえ耐侵触性が極めて高い物質で作られている。

 原子炉が海水中にすつかり没した場合でさえ,燃料要素は無期限にそこなわれないから,燃料要素の中に含まれている放射性物質が放出されることはい。・・・・・・原子炉の多くの防護装置と自己制御装置は,燃料要素の溶解を自動的に防げるようになつている。原子炉が海水で洗われれば燃料要素はそれだけ多く冷却されることになるので,放射性物質の流出に対する防護力もそれだけ増すことになる。』

 このことは一九五九年四月米国議会原子力合同委員会の聴問{前1文字ママとルビ}会の記録に添付されている海軍省資料によつても明らかである。この資料は『沈没しても原子炉の炉心は核分裂生成物を流出せしめることなしに何十年間も海水中に漬つたままとなるであろう。なぜならば燃料要素を包んでいるジルコニウムの被覆体は一年に何百万分の一インチしか腐触しないからである。』と述べている。

 現にスレッシャー号沈没に伴う放射能汚染の徴候はなく,また,これまでの検査によつても沈没現場付近で回収された浮游物および海底のサンプルからも放射能は検出されていない旨米国政府関係者は言明している。

 なお,リーバーマン博士(米国原子力委員会原子炉開発局安全次長)はスレッシャー号沈没に関連し,『原子炉には多くの安全装置が付けられており,事故が起ると自動的にその運動が停止するようになっている。』と述べている。

 (4) 米国の原子力潜水艦の過去七年余りの運航の結果を見ても放射能汚染の事故が生じたことはない。

 米国では原子力潜水艦による港湾の汚染の有無を確認するため当初から米国内の原子力潜水艦の根拠地やしばしば寄港する国内の港などで海水その他の汚染の調査を行なつたが汚染の心配は全くないことが判明し,今ではその調査をやめてしまつtている。

 また海外における寄港地(十三カ国の約三十港に一〇〇回以上)における放射能汚染の事故もなかつた。これに対し特別の対策をたてたこともない。

三,安全対策など

 (1) 日本側において原子力潜水艦の寄港地における放射能のバックグラウンド調査(自然放射能調査)を行なう場合には,米側としても協力する。

 なお,米国公衆衛生局は過去において原子力潜水艦が常時出入する米国の港において広範な調査を行なつたが,原子力潜水艦が周辺の自然放射能に対して特に影響を与えていないことが判明している。

 (2) 原子力潜水艦の出入港は,不時の運航上の理由ある場合を除き,夜間を避けて日中行ない,また運航上支障のない限り日本側の指定した航路に従つて航行する。

 (3) 港に出入する際は通常原子炉動力を使用するが,原子炉は碇泊後直ちに停止し,また出港の数時間前に始動させる。

 (4) 日本側が入港前および碇泊中の原子力潜水艦の近傍や周辺でモニタリング(放射能看{前1文字ママとルビ}視)を実施することに米側は異存がない。

 (5) 通常は,原子力潜水艦から放射能を帯びた物質が積み卸しされることはない。しかしなんらかの特殊事情で放射能に曝された物質を積み卸しする必要が生じたときは日本側の要請に応じ米側はそのモニタリング・データ(放射能看{前1文字ママとルビ}視資料)を提供する。

 (6) 日本の港や領海内で核燃料の交換や原子炉の補修は行なわない。

 (7) 原子力潜水艦の寄港にあたつては米国港であると外国港であるとを問わず,万一の場合の退避計画などの特別措置を講じたことはないが日本側において希望すれば,万一の事故時の緊急通報経路をあらかじめ設定しておくことに米側は異存がない。

四,寄港目的など

 日本に寄港を予定している原子力潜水艦はポラリス型潜水艦ではなく,単に原子力を推進力とする通常の潜水艦である。その寄港目的は乗組員の休養と補給のためであつて横須賀および佐世保が寄港地として予定されている。寄港の期間や頻度は将来のことで今から予想できないが期間は通常の艦艇とほぼ同様大体一週間前後でその頻度は概ね一カ月か二カ月に一回程度であろう。

五,補償問題

 (1) 人的損害(死亡,負傷,疾病等)については,日米間の地位協定第十八条五項が適用されるので,同項(a)の規定により請求を提起し,審査し,かつ解決し,または裁判する際の準拠法はわが国の「原子力損害の補償に関する法律」となり,この法律に従つて処理されることとなる。この場合には,米国は無過失責任を負う。

 (2) また,物的損害の中,いわゆる小規模海事損害(日本沿岸海域における海産動植物の増養殖に対する損害,漁網に対する損害,二〇トン未満の船舶およびその船荷に対する損害で,一件二,五〇〇ドル以下の請求にかかるものおよび,えびかご,たこつぼ等海産動物を捕獲するための装置に対する損害)については地位協定第十八条五項の規定を適用することにすでに昭和三十五年当時日米間で合意されているので,前述(1)の人的損害と同様に処理される。

 (3)その他の物的損害については,前述地位協定第十八条五項(g)により,同項の適用を除外されているので,米国の国内法に従つて処理される。かかる米国法としては公船法,海軍請求解決権限法および外国請求法の三つがあり,前二者は米国政府の,海事法上の責任を前提とするが,後者は米国政府が損害の原因であることをもつて足り,責任の立証を必要としない。公船法には司法的救済および行政的救済の二の方法が規定されているが,行政的救済においては司法長官が金額の制限なく行政的に解決しうることとなつている。海事請求解決権限法は行政的救済を規定したもので,一〇〇万ドルの範囲内ならば海軍長官かぎりで解決しうることとなつており,それを超える場合は議会に必要な支出承認を求めることとされている。外国請求法も行政的救済を規定したものであり,一五,〇〇〇ドルの範囲内ならば米国の三軍の長官はそれぞれ当該長官かぎりで行政的に解決しうることとなつており,それを超える場合は議会に必要な支出承認の要求を行なうこととされている。

2.米原潜の安全性に関する大平正芳外相談話,米国原子力潜水艦の日本寄港問題について

 いわゆるノーチラス型潜水艦の寄港や,F一〇五戦闘爆撃機の板付配備については,従来より機会あるごとに,政府の考え方を説明しているが,この際重複を省みず,事実を明らかにするとともに,私の見解を申し述べたい。

一,まず,いわゆるノーチラス型潜水艦やF一〇五は,日本に核兵器を持ち込むものでもなければ,また,いわゆる米国の核戦略の一環として,日本に寄港ないし配備されるものでもない。ましてや将来における核兵器の日本持ち込みに結びつくものでは絶対にない。

 (1) 核攻撃に対して,有効な核報復力を維持することによつて核戦争の発生を抑止しようというのが,米国の世界戦略の根幹であることは周知のところであり,現在の国際情勢のもとにおいて,このような米国の政策が世界平和の維持に役立つていることは事実である。米国は核兵器の実験,生産,使用の禁止を含む全面完全軍縮ができ上るまでは,このような政策をつづけてゆくものと思われる。

 しかしながら,このような米国のいわゆる核戦争抑止戦略が,日本に核兵器基地を置くことを,当然の前提としていると考えるならば,それは早計である。核兵器の持ち込みに反対であることは,かねてより政府の一貫した立場である。米国政府も,このことを十分に承知の上で,安保条約において核兵器の持ち込みについて,日本政府との事前協議を確約した。さらに岸総理とアイゼンハウアー大統領との間でも,米国は日本政府の意思に反して行動しない旨が厳粛に確認されている。これをみても,米国が日本に核兵器を持ち込もうとしているというのは当らないし,ましてや事前協議を行なわないで持ち込むことは絶対にありえない。

 (2) いわゆるノーチラス型潜水艦は,長時間の航続力をもたせるために,推進力に原子力を利用している点のほかは,その軍事上の用途において,普通の潜水艦となんらのちがいはない。これに反しポラリス型潜水艦は,核戦争抑止力の一部をなしている,中距離ミサイルを搭載しているのであつて,両者は軍事上の目的を全く異にしている。したがつて,ノーチラス型潜水艦の入港が,直ちにポラリス型潜水艦の寄港を求める前提となるものではない。また,F一〇五戦闘爆撃機は,その構造からいえば,核弾頭をもちうるが,この点については,すでに日本に配置されているF一〇〇やF一〇二等の航空機についても同じであるから,F一〇五に限つてこの点をとりたてて問題にするのは当らない。中・長距離ミサイルのように,核弾頭をつけなければ兵器として意味がないものならばともかく,F一〇五は各種の性能を向上させたいわゆる多目的の航空機であるから,核弾頭を搭載しなければ,軍事上役に立たないというものではない。したがつて,F一〇五の日本配置が,核弾頭の日本持ち込みに結びつくということにはならない。

二,いわゆるノーチラス型潜水艦が日本に寄港しても,それが核兵器の日本への持ち込みでない以上,米国としては,本来その寄港について日本と協議する義務はないのであるが,米国政府は原子力に対する日本国民の特殊な感情を考慮して,とくに事前に日本政府の了解を求めてきたものである。政府としても,安保条約により,日米共同してわが国の安全を守るという国の基本方針からすれば,日本の防衛に従事する米国の他の一般の艦船,航空機の場合と同じように,ノーチラス型潜水艦についてもその寄港に異議を唱える筋合いで{前1文字ママとルビ}はない。しかしながら,国民の間に原子力潜水艦の安全性について,不安や疑問が存することも事実であるので,目下せつかく米国政府に対し質すべきは質してできるかぎりの説明を求めているわけである。この段階はまだ全部終了してはいないが,国民の理解を深めるための一助として,本日衆議院外務委員会に現在まで入手した資料などを,中間的に整理して提出する次第である。

 わが国への寄港が問題とされているいわゆるノーチラス型潜水艦は,実用に供されて以来すでに七年余りを経過しており,その間米本土はもちろん,十数カ国の港に一〇〇回以上も寄港しているが,原子炉に関係する事故や放射能による汚染等は,一回も起したことがない。この事実は,原子力潜水艦の安全性を如実に物語つているといえよう。先般のスレッシャー号の沈没事故については,それが長期間にわたる改装工事の後で,深度潜航試験を行なつているときに起つたものであることを考える必要がある。米国の原子力潜水艦は,建造直後はもとより,改装後にも必ず厳重な試験を行ない,その安全性が確認されてから初めて就航を許されるものであるから,スレッシャー号の事故を,直ちに通常の航海に従事している原子力潜水艦の安全性と結びつけて論議することは,当を得ていない。

 ノーチラス型潜水艦の安全性を立証する根拠について,政府はできる限りの資料を入手するため,米国政府と話し合いをつづけている。しかしながら,原子力潜水艦が軍艦であることの当然の結果として,軍事機密に属する資料までは入手できない。このことは,「海上における人命の安全に関する条約」において,原子力商船については寄港を求める政府に対し安全性を立証する資料を提出することが義務づけられているのに対して,軍艦はその適用から除かれていることからも明らかである。したがって,軍事機密に属する資料までも要求することは,国際通念からみても不可能である。

 軍事機密に属する資料については,米国政府の安全に対する保障を信頼するほかはないが,原子力開発に先鞭をつけ,かつ,世界の最先端を進んでいる米国の原子力利用に関する科学水準が,きわめて高度のものであるとみるのが常識的と考える。他方,原子力潜水艦の就航当初,その安全性について米国議会を始め,米国内の各方面で真剣な討議が行なわれたという事実は,米国自身が原子力潜水艦の安全性についていかに強い関心をもつているかを示している。原子力潜水艦の安全性は,まずなによりも米国自身の問題であつて,その乗組員はもちろん,寄港する地域の住民の安全に対しても,万全の考慮が払われていることは当然と考える。米国の原子力利用に関する科学水準と,米国自身の安全性に対する関心をあわせ考える場合,米国政府の保証する安全性が,科学的根拠のないいい加減なものであると主張する論拠は見当らない。原子力潜水艦の寄港している西欧諸国や,他のアジア諸国の政府はもちろん,これらの国々の科学者も,原子力潜水艦の安全性をとりたてて問題にしていないことは,米国政府の安全保証に対する当然の信頼を意味する。米国自身はもちろん,西欧諸国や他のアジア諸国に通用する原子力潜水艦の安全性が,ひとり日本にだけは通用しないと考えるのは不自然ではあるまいか。