[文書名] 日本国とアメリカ合衆国との間の綿製品の貿易に関する千九百六十三年から千九百六十五年までの期間についての取決めに関する書簡(別紙一)の要綱
日本国とアメリカ合衆国との間の綿製品の貿易に関する千九百六十三年から千九百六十五年までの期間についての取決めに関する書簡(別紙一)の要綱
一,書簡の内容 綿製品の国際貿易に関する長期取決め第四条の規定(同取決めの基本目的に合致した二国間取決めを認めた規定)に基づき,日米間の綿製品貿易の秩序ある発展をもたらすため,両政府は,千九百六十三年一月一日から三年間,日米間の綿製品貿易に次の取決めを適用することとする。
二,取決めの内容 (一) 取決めの目的は,両国間の綿製品貿易の秩序ある発展をもたらすことにある。このため,
(イ) 米国政府は,日米綿製品貿易の秩序ある発展を促進するため日本国政府と協力する。(a項)
(口) 日本国政府は,千九百六十三年一月一日から三年の期間対米綿製品輸出につき,この取決めに定める年間合計枠ならびに群および製品についての年間枠または上限を維持することとする。(b項)
(二) 千九百六十三年についての枠および群(第二項)
(イ) 干九百六十三年の年間合計枠を二億八千七百五十万平方ヤードとする。
(口) この枠を次の四つの群にわける。
(百万平方ヤード)
第一群 綿織物 一二五・五
第二群 家庭用品 四一・○
第三群 衣料品 一一一・○
第四群 綿製雑品 一○・○
合計 二八七・五
(ハ) 右の四つの群に対する枠は(イ)の年間合計枠の中で,五パーセントまで超過することができる(融通率)。ただし,この増加は,付表Aに掲げる各群中の「その他」の類についてのみ認められる。
(ニ) 各群に含まれる種目(付表Bに定義するもの)
(三) 年間合計枠の漸増(第三項)
(イ) 千九百六十四年の合計枠は,千九百六十三年の合計枠の三パーセント増とし,千九百六十五年の合計枠は千九百六十四年の合計枠の五パーセント増とする。
(口) これらの増加は,各群に対する枠ならびにその中の枠および上限に適用される。
(四) 換算の単位(第四項)ダース,個,ポンド等の単位の平方ヤードの換算率は,付表Cに掲げる率による。
(五) 協議条項及び暫定措置(第五項)
(イ) 両政府は,この取決めの実施から生ずるすべての問題について,随時協議する。
(a項)
(口) 特定の枠または上限の設定されていない製品(すなわち「その他」の項の品目)または特定の種類の織物で作られた製品の日本からの輸出の過度の集中が米国で市場こう乱を起しまたは起こすおそれがあるときは,米国政府は,適当な措置を決定するため日本国政府に協議を要請できる。この要請には,当該要請を行なう理由及びその正当性に関する詳細な説明書を付することを要する。(b項前段)
(ハ) 日本国政府は,協議が行なわれている間,当該製品の対米輸出を,協議に先だつ十五カ月間の最初の十二カ月における同製品の輸出の一○五パーセントまたは協議に先だつ十二カ月間の同製品の輸出の九○パーセントのいずれか高い方の年間水準に,四半期を基礎として,維持することとする。(b項後段)
(ニ) ただし,(口)および(ハ)の規定は,控え目に使用すべきであり日本国政府は,付表Aで規定されている実質が協議の結果重大な影響を受けると考えるときは,付表Aの修正についても協議が行なわれるべきことを要請できる。(c項)
(六) 統計資料の交換(第六項)両政府は,他方の政府が要請する統計資料,特に,毎月の輸入および輸出の資料の提供に同意する。
(七) 取決めの運用の結果の検討の規定(第七項)
(イ) 米国政府は,この取決めで枠が設けられている製品に関し,この取決めの運用を随時検討する。
(口) 米国政府は,さらに,日本国政府に対し一年に一度,前記の製品の輸入が関係産業に及ぼす影響を明らかにする資料を提供する。
(八) 第三国との衡平の原則(第八項)
日本国政府は,この取決めにより枠を設けた結果として,第三国に比して不当な立場におかれていると認めるときは,米国政府に対しこの取決めの合理的な修正等の適当な是正措置をとるための協議を要請できる。
(九) この取決めと長期取決めとの関係(第九項)
(イ) この取決めで規定されている場合を除き,長期取決めの規定が両国間の綿製品貿易に適用される。
(口) 米国政府は,付表Aの範囲内の製品の日本国からの輸出がこの取決めのわく内で行なわれている限り長期取決め第三条の規定を援用しない。
(十) 有効期間及び修正(第十項)
(イ) この取り決めは,千九百六十五年十二月三十一日まで効力を有する。ただし,各政府は,他方の政府に対し六十日前に書面による予告を行なうことによりいずれかの暦年の始めにこの取り決めを終了させることができる。(a項)
(口) 各政府は,いつでもこの取り決めの修正を提案することができ,他方の政府はこのような提案に対して好意的な考慮を払う。(b項)
付表A
一,第一群「綿織物」
(a) 一億二千五百五十万平方ヤードの年間枠内で次の特定枠が適用される。
(千平方ヤード)
(<1>)ギ ン ガ ム 四六,二○○
(<2>)別珍 二,七五○
(<3>)タイプライターリボンクロス 九八七
(<4>)その他の織物 七五,五六三
(b) 「ギンガム」の特定枠内で「コーマ糸を用いたギンガム」の輸出は前記特定枠の七五パーセント以内とする。
(c) その他の織物のうち,次の特定の上限以内とする。
(千平方ヤード)
<1>シーティング 三○,○○○
<2>ポプリン油出しブロードクロス 三○,○○○
<3>シャーティング(打込み本数経緯とも八十本) 二○,○○○
<4>その他のシャーティング 二一,○○○
<5>綾および朱子 三九,○○○
<6>その他の糸染織物 二九,○○○
<7>ダック 一,七五○
(d) 綿織物の特定枠のうち<1>,<2>及び<3>における未達成量は「その他の織物」に振りかえうる。
(e) その他の織物中,経緯ともコーマ糸製の織物は三四・六五百万平方ヤード以内とする。
(f) 糸染織物のうち,ハンカチ・クロスは,一・二五百万ヤード以内とする。
二,第二群「家庭用品」(合衆国の綿広幅織物製品に通常含まれるもの)
(A) 四千百万平方ヤード以内で次の特定枠が適用される
<1>まくらカバー 千 枚 五,四○○
<2>ディッシュタオル 〃 七,二○○
<3>ハンカチ 千ダース 一,二六○
<4>テーブルダマスクとその製品 千ポンド 三,一○○
<5>シーツ 千 枚 二,九四○
<6>その他の家庭用品 千平方ヤード 二,四九四
(B) 家庭用品の特定枠のうち<1>から<5>における未達成量は「その他の家庭用品」に振りかえうる。
三,第三群「衣料品」
(A) 一億千百万平方ヤードの年間枠内で次の特定枠が適用される。
<1>手袋 千ダース 四七二・五
<2>T・シャツ(メリヤス製のもの) 千ダース 五三五
<3>メリヤスシャツ(T・シャツおよび裏起毛シャツを除く)
千ダース 八○九
<4>男子用および少年用のドレスシャツ(メリヤス製のものを除く)
千ダース 三八二
<5>スポーツ・シャツ(セットものを含みメリヤス製のものを除く)
千ダース 七一七・五
<6>レインコート(長さ着丈四分の三以上のもの)
千ダース 六○
<7>その他のコート 千ダース 一二○
<8>長ズボン及び半ズボン(セットものを含みメリヤス製のものを除く)
千ダース 一,五○○
<9>ブラウス(セットものを含む) 千ダース 一,七七五
<10>ドレス(メリヤス製のものを除く)千ダース 四五
<11>遊び着,サン・スーツ,ウォッシュ・スーツ等
千ダース 一八○
<12>寝着及びパジャマ 千ダース 一二○
<13>その他の布帛製衣料品 千平方ヤード 一,四二八
(B) 衣料品の特定枠のうち<9>から<12>までにおける未達成量は「その他の布帛製衣料品」に振りかえうる。
(C) 長ズボンおよび半ズボン(セットものを含みメリヤス製を除く)に対する百五十万ダースの特定枠中次の数量の範囲内とする。
単位 数量
<1>男子用及び少年用 千ダース 五○○
<2>婦人用及び少女用 千ダース 一,一六二・五
(D) 次の五品目中重量が主としてコールテンである製品の輸出数量の合計は二一・三五百万平方ヤード以内とする。
スポーツ・シャツ,レーンコート,その他コート,長ズボンおよび半ズボン及び遊び着
四,第四群「綿製雑品」
(A) 一千万平方ヤードの年間枠内で次の特定枠が適用される。
単位 数量
<1>ジッパー・テープ 千ポンド 八一○
<2>その他 千平方ヤード 六,二七四
(B) 綿製雑品の特定枠<1>における未達成量は「その他」に振りかえうる。
付表B
綿製品を六十四種目に分類し,これに定義を付した表である。(表省略)
付表C
付表Bにより六十四種目に分類された綿製品のうち平方ヤード以外の単位を使用している各種目の平方ヤードヘの換算率の表である。(表省略)
{<1>は原文ではマル1}