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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 沖縄基地発進の米B52によるベトナム爆撃中止要請の琉球立法院決議

[場所] 
[年月日] 1965年7月30日
[出典] 日本外交主要文書・年表(2),613頁.琉球立法院事務局「会議録」.
[備考] 
[全文]

   戦争行為の即時取り止めに関する要請決議

 第二次世界大戦で戦争の参禍{前1文字ママとルビ}を直接受けたわれわれ沖縄県民は,戦争がいかに恐るべき罪悪であり,人類にとって最大の不幸であるかを身をもって知った。

 戦後二十年の今日に至るまで米国は,沖縄に強大な軍事基地を保有し,現在この基地はベトナムへの出撃の拠点として使用され,軍事演習は頻繁となり,軍人による犯罪の激増もともなって,県民生命財産に直接大きな被害を与えている。

 ことに米軍は,先に県民を軍用員としてベトナムに派遣する問題を引き起し,県民の一大反撃を受けたが,更に七月二十九日サイゴンにおける米軍スポークスマンは,沖縄から発進した米軍B五二爆撃機約三十機が,同日サイゴン東南方五十六キロメートルのベトコン地区に爆撃を加えたことを発表している。

 このようにして,沖縄の米軍基地がベトナムへの出撃基地となり,沖縄が直接戦争の渦中に巻き込まれていることは,県民に直接戦争の不安と恐怖を与え,単に沖縄の安全ばかりでなく本土の安全をも脅かす重大問題となっている。

 よって本院は,米軍が沖縄基地からのベトナムへの出撃及び沖縄を戦争に巻き込む一切の行動を即時取り止めるよう強く要請する。

 右決議する。

  一九六五年七月三十日

         琉球政府立法院

アメリカ合衆国大統領 )

〃     上院議長 )あて

〃     下院議長 )

琉球列島高等弁務官  )