[文書名] 装備の重要な変更に関する事前協議の件
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極秘{前2文字囲み線あり}[5]{[5]はマル5、極秘のわきに書き込み}
高橋大使 四四・一・九 閲読
四三・一二・一一 愛知大臣 御閲読済 ●{●は東にマル}
佐藤条約局長 ※{※は花押}
牛場次官 ※{※は花押}
三木大臣 四三・一・三〇 御閲読済 ●{●は東にマル}
佐藤総理 四三・二・五 御閲読済 ●{●は東にマル}
<1ページ目 欄外左>
四九・一〇・七 木村大臣 〃 一〇・九 木内秘書官を通し田中総理本文のみ御閲読
〃 一〇・一四 東郷次官より田中総理に補足口頭説明 ※{※は花押}
四九・一〇・一九 東郷次官より二階堂官房長官へ口頭▲(山崎▲){▲は解読不可}
四九・一二 宮沢外務大臣に対し就任直后説明ずみ
五一・一・六 鳩山外務大臣に対し説明、閲読→※{※は花押}
五五・一・一〇 園田外務大臣に対し有田次官、中島アメリカ局長より本ペーパーによらず口頭にて趣旨説明
五五・一・二四 大来外務大臣に対し口頭趣旨説明(高島次官、中島、浅尾新旧北米局長)
<1ページ目 欄外右>
五五・九・九 伊東外務大臣に対し口頭にて趣旨説明(高島次官、浅尾局長)
五六・二・三 高島次官より鈴木総理に口頭説明(伊東、宮沢両大臣同席)
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56.12.10 桜内大臣に対し口頭説明済(須之部次官、浅尾局長)
<1ページ目 右上余白>
昭57.12. 安倍外務大臣 昭58.1.14 中曽根総理 それぞれ説明(須之部次官及び北村北米局長)
<2ページ目 欄外上>
昭和61年8月4日 倉成新大臣へ藤井北米局長より口頭にてブリーフ済(柳谷次官、小和田条約局長同席)
昭和62年7月4日 村田新次官へ
<2ページ目 欄外左>
昭和六十二年十一月二十四日 宇野大臣へ口頭にてブリーフ済(村田次官より)
〃 〃 竹下総理大臣へ口頭にてブリーフ済(村田次官より)
平成元年六月十五日 三塚大臣へ口頭にてブリーフ済(村田次官より)
装備の重要な変更に関する事前協議の件
43.1.27 北米局長(東郷)
1.1月19日大臣(三木)米大使(ジョンソン)会談の際、大臣より空母エンタープライズ等に関する核兵器の問題に関し、何等か「疑念」払拭の方法なきやとの趣旨を述べられたる圣緯ある処、その後26日小笠原訪問の機上において、米大使より外務次官及び北米局長に対し、次の圣緯を述べた。
2.すなわち、
(イ)昭和38年4月4日大平大臣ライシャワー大使朝食の際 ラ大使より「事前協議に云う『持込み』とは持って来て置いておくことで、核兵器搭載の艦船航空機の一時立寄りは『持込み』に該当しないのではないか」との意向を述べた。之に対し大平大臣は何れとも見解を述べられなかつた。{約10字程度黒塗りあり}
(ロ)39年9月24日、ラ大使が大平前大臣にこの問題を佐藤総理及び椎名大臣に引継がれたか否か質問した処、ラ大使の印象では引継いで居られないようであつた。(我方に記録なし。)
(ハ)39年12月29日佐藤総理ラ大使密談の際、ラ大使より前記(イ)の意向を述べ、若し日本側に問題があれば開示願度き旨を述べた。(我方に記録なし。)
(ニ)然る処その後佐藤総理より本件に関し何等お話がないので、米側は▽{前1文字ママ}39年12月以後は、日本側は米側の(イ)の解釈を認めておられるものと考へて来ている。
(ホ)従つて米側は、日本側が以上の了解を承知の上で、國内的に「(1)米側は事前協議に係る事項に関し日本側の意に反することはしない。(2)米側は核兵器が何処には在り、何処にはないと云うことは一切発表しない」と説明しておられるものと思つて来ている。
3.安保条約改訂交渉、特に事前協議条項に関する交渉を通じ、我方は総ての「持込み」(INTRODUCTION)は事前協議の対象であるとの立場をとり、艦船航空機の「一時的立寄り」について特に議論した記録も記憶もない。この点はジョンソン大使によるも米側の記録と一致する。1月26日の同大使の説明によれば、米側の前記2(イ)の解釈の根拠は、事前協議に関し、「事前協議は米軍及びその装備の日本国内への配備、並びに艦船航空機が日本の領海及び港へ入る場合の現行の手続を変更するものではない」と云う了解事項にあり、米側交渉当事者は、具体的に言及しなくとも{日本側に於てはという語句を二重線で抹消}これが「一時立寄り」に関するものであると云うことは日本側にとつても自明であると考へていたと云うことである。然るに日本側交渉当事者は右了解は事前協議条項と地位協定第5条との関係に関するものと解し、「一時的立寄り」に関するものとは思っていなかつたのが実情である。
4.その後新安保条約国会審議の過程において、政府は事前協議は「一時的立寄り」を含む一切の「持込み」に及ぶものである(但し領海の無害通航の場合には及ばず)との立場を貫き、米側は政府の右の説明に対し、前記2の圣緯の他{、を抹消}我方に異論を唱へることなく、之を黙視して来たものである。
5.本件は日米双方にとりそれぞれ政治的軍事的に動きのつかない問題であり、さればこそ米側も我方も深追いせず今日に至ったものである。差当り、日本周辺における外的情勢、或は国内における核問題の認識に大きな変動ある如き案件が生ずる迄、現在の立場を続ける他なしと思はれる。
極秘{前2文字囲み線あり}
CONFIDENTIAL
Tokyo, January 6, 1960.
1. Reference is made to the Exchange of Notes which will be signed on January 19, 1960, concerning the implementation of Article VI of the “Treaty of Mutual Cooperation and Security between the United States of America and Japan”, the operative part of which reads as follows:
“Major changes in the deployment into Japan of United States armed forces, major changes in their equipment, and the use of facilities and areas in Japan as bases for military combat operations to be undertaken from Japan other than those conducted under Article V of the said Treaty, shall be the subjects of prior consultation with the Government of Japan.”
2. The Notes were drawn up with the following points being taken into consideration and understood:
a. “Major changes in their equipment” is understood to mean the introduction into Japan of nuclear weapons, including intermediate and long-range missiles as well as the construction of bases for such weapons, and will not, for example, mean the introduction of non-nuclear weapons including short-range missiles without nuclear components.
b. “Military combat operations” is understood to mean military combat operations that may be initiated from Japan against areas outside Japan.
c. “Prior consultation” will not be interpreted as affecting present procedures regarding the deployment of United States armed forces and their equipment into Japan and those for the entry of United States military aircraft and the entry into Japanese waters and ports by United States naval vessels, except in the case of major changes in the deployment into Japan of United States armed forces.
d. Nothing in the Exchange of Notes will be construed as requiring “prior consultation” on the transfer of units of Unites States armed forces and their equipment from Japan.
(Initialed)
Aiichiro Fujiyama
(Initialed)
Douglas MacArthur II
平成元・八・二四
次官 栗山
八・二三 中山大臣に(有馬北米局長同席)、同二四 海部総理に(同席者なし)本官より口頭にて別紙のラインで本件を説明。
(別紙)
一、安保条約(昭35年改正)の仕組み
◦核兵器の「持込み」(イントロダクション)は事前協議の対象(米の条約上の義務)
◦米軍艦船、航空機の出入、通過は自由、事前、個別に我が方の同意不要(米の条約上の権利)
二、米の核政策
◦特定の艦船、航空機につき、核兵器の存否は明らかにせず(肯定も否定もしない)との政策をグローバルに堅持
◦目的は抑止力及び海空軍の機動性の確保
◦従来より米海空軍は各種戦術核兵器を保有、近年は、潜水艦等にトマホーク(核・非核両用)を配備
三、圣緯
◦我が国は一貫して寄港、通過を含め非核三原則堅持を表明
◦米は条約義務は誠実に履行、他方、核兵器の存否につき肯定も否定もせずとの政策堅持との立場
◦昭38・4 ライシャワー大使、大平外務大臣に「持込み」の解釈につき問題提起
◦昭39・12 ライシャワー・佐藤総理
◦双方の立場につき互いに詰めないとの立場を理解、但し「密約」はなし。