データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 沖縄返還問題に関する三木武夫外相とジョンソン米大使との協議についての外務省発表,沖縄問題の継続協議について

[場所] 
[年月日] 1968年5月27日
[出典] 日本外交主要文書・年表(2),790−791頁.外務省情報文化局「外務省公表集」・昭和43年上半期,37−8頁.
[備考] 資料
[全文]

沖縄問題の継続協議について

資料

一,昨年十一月の佐藤・ジョンソン共同声明により沖縄問題ははじめて,「返還の方針の下に」両国間で「継続的協議」に附されることとなり,本日は,三木外務大臣とジョンソン駐日米大使との間でその「継続協議」に踏み出した第一回目の協議であり,記念すべき日であった。

 これは戦後二十三年の情勢の変化,歴史の進展とともに,日米両当局が,日米友好協力関係を,時代の推移に適合せしめんとする相互努力の現れである。

 今回は第一回の協議であるから主たる役割は,この「継続協議」に如何なる性格を付与するか,今後の進め方をどうするかを話合うことであった。

二,そして三木外務大臣よりこの「継続協議」の性格につき,次のような発言を行ない,アメリカ側もこれに同意した。

(一)この協議は,日本首相とアメリカ大統領の共同声明に基づいて開始されたものである。なお,これに関連し,三木外務大臣は,共同声明には,沖縄返還のメドを「両三年中」につけるべきであると佐藤首相が強調したこと,そしてこの協議は「それをも考慮しつつ」検討すべきであるとしている点に注目すべきであると述べた。

(二)そこでこの協議は,沖縄返還のメドをつけることを可能ならしめる諸条件の整理,検討を任務とする。したがってこの協議自体がメドをつけるのではなく,最終のメドをつけるのは日本首相と米国大統領の合意によるものである。

(三)協議の中心議題は,返還後の米軍基地の在り方であることは当然だが,しかしその他の問題で,先に現地に設けられた「諮問委員会」の権限外の諸問題も,本土との一体化促進のため共同協議の対象として適宜取上げる。

(四)「継続協議」は今後随時日米外交機関により行なうことにする。

三,本日の会議は,午後三時より外務省において,三木外務大臣とジョンソン米大使との間に行なわれ,継続協議の性格および今後の進め方について話合った後,沖縄米軍基地の現況,今日の極東情勢ならびにこれに関連する沖縄の地位につきアメリカ側より説明があり,日本側より沖縄基地のあり方に関する本土および現地の世論の動向,早期返還実現の緊要性につき説明した。