[文書名] 毛製品及び人造繊維製品に関する日米政府間取極の署名に関する官房長官談話
本日,ワシントンにおいて牛場駐米大使とケネディ大使との間において対米繊維輸出規制に関する政府間取極が署名された。
客年10月15日,田中通商産業大臣とケネディ大使との間において,日米繊維問題に関する基本的了解に達し,これを盛つた了解覚書のイニシアルが行なわれたが,その後両国政府間において,これを政府間取極の形にするための交渉を重ねてきた結果,このたび案文につき合意をみるに至つたので本日,署名の運びとなつた次第である。
繊維問題は過去約3年に亘る日米経済関係の大きな懸案であつたが,今回の政府間取極の署名によりこれが解決をみたことは,日米友好親善関係の増進にとつて大きな意義があるものと確信する。
政府は,また,本問題の解決を通じて,自由貿易の一層の発展が図られることを期待するものであり,今後とも国際経済情勢の推移を見極めつつ,自由と調和を基調とする貿易体制を強化するため,国際的な場において,積極的な役割を果たし,世界経済の安定と拡大に貢献してまいりたいと考える。
なお,政府としては,本件解決に関連して,この対米繊維輸出規制に伴う経済環境の変化に対処し,繊維産業の構造改善を推進すること等のため,過剰設備の買上げ処理等所要の対策を講ずることとした。
国民各位のご理解と今後の措置の円滑な遂行のためのご協力をお願いする次第である。