データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 末岡総領事夫妻主催レセブションにおける三木内閣総理大臣の挨拶

[場所] 
[年月日] 1976年7月1日
[出典] 三木内閣総理大臣演説集,151−152頁.
[備考] 
[全文]

 本夕,皆様にお会いできますことは,私の喜びとするところであります。特に今日まで多くの重要な分野で米国の発展のため貢献されてきた多数の日系人の皆様に御挨拶申し上げることは,私の幸甚とするところであります。

 昨年秋には天皇・皇后両陛下が当地を御訪問された際に皆様の暖かい歓迎を受けられたことは,日本国民の記憶にまた新しく残っており,サソフラソシスコに対する日本国民の親近感は一段と深まりました。

 本年は米国独立二百年にあたる年であり,アメリカ国民のみならず,アメリカと共通した政治理念を尊ぶ諸国の国民にとり,祝賀すべき年なのであります。

 日本は,米国独立二百年を記念して,全米各地のいろいろな行事に参加していますが,私が本日訪れたサソフラソシスコ港碇泊中の「にっぽん丸」もこの一つであります。同船は,今から百十六年の昔,一八六〇年に咸臨丸がわが国初の遣米使節を護衛し,太平洋を渡った際と同一の航路に沿って当地を来訪したものであり,昭和の咸臨丸と呼はれています。私は船上で,この記念すべき航海に参加した三百余名の日本青年男女の生き生きとした姿に接し,心強く思いました。日本やアメリカ工業民主主義国家の将来は,このような若人にかかっており,日本の青年達が米国独立二百年というこの機会にアメリカの青年達と交流し,友情を確め合うことはきわめて有意義なことと思います。

 サソフランシスコは広い米国の中でも日本と特に密接な関係を有しており,日米両国の良好な関係は本日お集りの皆様の日頃の御尽力に負うところが大きいと推察いたします。

 皆様が御健康に留意されつつ,今後とも日米両国の一層の友好増進のために御協力していただけることを祈念して,私の御挨拶といたします。