[文書名] 日米安全保障協議委員会(「2+2」)第16回会合について
1.安全保障協議委員会の第16回会合は,昭和51年7月8日外務省で開かれた。
日本側からは宮澤外務大臣と坂田防衛庁長官,米側からはホッドソン駐日米国大使とガイラー太平洋軍司令官が出席し,また補佐のため両国の関係者が列席した。
2.委員会は,日本と米国が共に関心を有する極東の国際情勢について意見を交換した。
3.委員会は,昭和50年8月,三木総理大臣がフォード大統領と会談した際の日米共同新聞発表第4項の趣旨に基づき,また同月の坂田長官とシュレシンジャー前国防長官との会談の経緯に鑑み日米安全保障条約及びその関連取極の目的を効果的に達成するため,軍事面を含めて日米間の協力のあり方について,研究・協議することが必要であることを認め,その下部機構として防衛協力小委員会を設置した。防衛協力小委員会は,日本側においては外務省アメリカ局長,防衛庁防衛局長及び統合幕僚会議事務局長により,また米側においては在京米大使館公使及び在日米軍参謀長により構成される。同小委員会は必要と認めるときは,適当な両国政府関係者の出席を認めることができる。同小委員会は,緊急時における自衛隊と米軍との間の整合のとれた共同対処行動を確保するために取るべき措置に関する指針を含め,日米間の協力のあり方に関する研究・協議を行い,その結論を本委員会に報告する。
防衛協力小委員会は,必要と認めるときは,その補助機関として部会を設置することができる。これに関連して,昭和43年12月23日に開催された本委員会の第9回会合において設立された自衛隊と在日米軍との間の研究会合は廃止される。
4.双方は,昭和48年1月に設置された安保運用協議会が円滑に機能していることに満足の意をもつて留意するとともに,引き続き同協議会を通ずる協議を積極的に進める意向を表明した。
5.委員会は,安全保障協議委員会の第15回会合で了承された沖縄県における施設・区域の整理・統合計画を検討した。その結果,双方は,同計画における「移転を要せず返還される施設・区域」とされていた施設・区域の返還が相当程度に実現されたこと及び「返還につき引き続き検討される施設・区域」とされていた施設・区域の大部分が移設を要せずに返還されたことに満足の意をもつて留意するとともに,今後の同計画の円滑な実施のため引き続き努力することを確認した。
なお,委員会は,同計画について,「移設措置とその実施に係る合意の成立後返還される施設・区域」とされていた(1)キャンプ・プーン,(2)瑞慶覧通信所,(3)キャンプ・マーシーが移設を要せずに返還されたほか,カシジ陸軍補助施設について,米側が無条件で日本側に返還することに同意したことを歓迎した。
6.さらに,委員会は,沖縄県民の要望に沿い,過去数カ月にわたる日米関係当局者間の協議を通じて取りまとめられた沖縄県における施設・区域の整理・統合に関する別表の計画を検討し,これを了承した。
7.委員会は,在日米軍に係る最近の労務問題について討議した。双方は,当面の労務問題,なかんずく,給与,その他の労働条件に関する諸問題の解決のために,相互理解の精神に立つて引き続き協力を進める必要があることに意見の一致をみた。
8.委員会は,米軍施設・区域に係る環境保全は,双方にとつて共通の関心を有する重要な事項であることを確認し,今後とも環境保全のため最善を尽すことの必要性につき意見の一致を見た。
別表
沖縄県における米軍施設・区域の整理・統合計画
1.移設を要せず返還される施設・区域
(1)北部訓練場 (県道名護国頭線以南の一部)
(2)キャンプ・シュワブ(国道329号沿いの一部)
(3)キャンプ・ハンセン(東支那海側斜面部分の一部)
(4)陸軍貯油施設 (嘉手納町・読谷村間の大部分)
2.移設措置とその実施に係る合意の成立後返還される施設・区域
(1)伊江島補助飛行場 (全部)
(2)八重岳通信所 (南側部分)
(3)キャンプ・シュワブ(辺野古川からの進入路及びその西側部分の一部)
(4)嘉手納弾薬庫地区 (南西隅部分)
(5)読谷補助飛行場 (滑走路東側部分)
(6)トリイ通信施設 (既返還地に残存する中継所地区)
(7)キャンプ瑞慶覧 (国道58号東側沿い部分)
(8)陸軍貯油施設 (那覇市・宜野湾市間の大部分及び北谷村・具志川市間の送油管区域の大部分)