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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 沖縄復帰十周年記念式典における鈴木内閣総理大臣の式辞

[場所] 東京,首相官邸
[年月日] 1982年5月15日
[出典] 鈴木演説集,334−335頁.
[備考] 
[全文]

本日,こここ{前1文字ママ}に内外多数の賓客の御参列を得て,沖縄復帰十周年記念式典を挙行いたしますことは,私の大きな喜びであります。

本日は,全国民の悲願であった沖縄の祖国復帰が実現した記念すべき日に当たります。戦中,戦後を通じて,筆舌に尽くし難い苦難の道を歩んでこられた沖縄が,諸先輩方の御努力により,平和裡に祖国に復帰を遂げて以来十年の歳月が流れました。通貨の切り替え,交通方法の変更など激動のこの十年間を振り返るとき,深い感慨を禁じ得ません。この間,本土と沖縄の同胞が一体となり,力を合わせて,平和で豊かな沖縄の建設に取り組んでまいりました。その結果,沖縄はめざましい発展を遂げつつあり,誠に喜ばしい限りであります。

過日,沖縄を訪問した際,新たな県づくりに取り組んでおられる姿を拝見し,深い感銘を受けたところであります。この機会に改めて,沖縄県民の長い御苦労と御努力に対し,心から敬意を表する次第であります。

沖縄は,復帰してからまだ十年しか経過していないことなどもあり,なお厳しい状況にあります。このため,私は,これまでにも増して,沖縄の振興開発を更に強力に推進してまいる決意であります。

一方,沖縄の祖国復帰の歴史的意義に思いを致すとき,私は,日米両国間の友好のきずなの強さを痛感せずにはいられません。戦争で失われた領土が平和裡に返還されたことは,日米両国間の友好関係を示す一つの象徴ともいうべきものでありました。

現在,日米両国間には解決を要するいくつかの問題がありますが,沖縄復帰に際して示された両国間の相互理解と友情を思い起こすとき,これらの問題も必ずや円満に解決され,今後両国間の友好関係が一層強固なものとなっていくものと確信しております。

沖縄復帰十周年という歴史的な節目を迎えるに当たり,将来の沖縄の繁栄の基礎を築かれた諸先輩の方々の志を引き継ぎ,沖縄の豊かな未来を築くため,今後,更に一層の努力を傾けてまいる所存であります。

以上,私の決意の一端を申し述べ,式辞といたします。