データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 市場開放対策に関する鈴木内閣総理大臣談話

[場所] 
[年月日] 1982年5月28日
[出典] 外交青書27号,392頁.
[備考] 
[全文]

 世界経済の極度の停滞から保護主義が高まり,戦後の西側経済の発展を支えてきた自由貿易体制が,今や,危殆に瀕しようとしております。世界経済の1割を担う我が国は,自由貿易体制維持のため,その地位にふさわしい国際的貢献を求めております。我が国は累次の自由化措置により法制面では欧米諸国と比して遜色のない程度にまで市場を開放しておりますが,更に一歩進んで,自由貿易主義堅持のための国際的貢献という観点から,先般,関税の一方的引下げや貿易苦情処理体制の整備等の措置を講じ,本日,更に,市場の一層の開放のための包括的な措置を決定したのであります。

 このような法制面での開放措置が具体的な成果をもたらすためには,実際の行政運用や経済活動の面で外国製品あるいは外国投資を歓迎するという態度が必要であります。我が国は,既に約10年前に国産品愛用方針を撤廃し,それ以来累次の輸入促進ミッションを派遣するなど,この方向に向けての努力を重ねてきておりますが,諸外国の間には依然として我が国で国産品保護のための行政指導が行われているとか,輸出は前で輸入は悪であるとみているという誤解が抜け切れていないのも,また,事実であります。私は,この機会に,行政に携わる者はもとより,実際の経済活動の担い手である民間企業の方々に対し,いやしくも外国製品や外国資本を差別することなくこれを進んで歓迎するという態度を一層鮮明にされるよう要請いたします。

 また,我が国市場への製品輸入の拡大のために,市場に適合した商品の開発,流通機構の選択等海外企業が行う努力に対し,我が国関係者が最大限の助力を与えるようお願いしておきたいと思います。

 今日の世界経済情勢の中にあって,我が国としては,自らの国際的立場を踏まえ,世界経済の活性化と世界貿易の拡大に向けて,国力にふさわしい貢献を行っ

ていくことが重要と考えます。国民各位の御理解と御協力をお願いする次第であります。