[文書名] 核融合の分野における研究開発のための協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の交換公文
核融合の分野における研究開発のための協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の交換公文
(日本側書簡)
書簡をもつて啓上いたします。本使は、千九百七十九年五月二日にワシントンで署名されたエネルギー及びこれに関連する分野における研究開発のための協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(以下「基本協定」という。)第四条が、基本協定第二条にいう分野における協力活動の細目及び手続を定める実施取極が両政府又は両政府の機関のいずれか適当な方を当事者として行われることを定めていること、並びに千九百七十九年八月二十四日付けの両政府間の交換公文が核融合エネルギーに関する調整委員会(以下「核融合委員会」という。)を設置し、核融合委員会によつて取り扱われる核融合の分野における協力活動が、(a)交流計画、(b)カリフォルニア州所在のトカマク型装置であるダブレットIIIを利用した共同研究計画、(c)プラズマ物理学に関する共同研究及び(d)共同計画の促進を含むことを定めていることに言及する光栄を有します。
本使は、更に、前記のダブレットIIIを利用した核融合の共同研究計画における協力活動の細目及び手続を定め、かつ、基本協定第四条にいう実施取極と同じ目的を達成することを意図する取決めが日本原子力研究所とアメリカ合衆国エネルギー省との間で既に行われていることに留意する光栄を有します。
よつて、本使は、日本国政府に代わつて次の取極を提案する光栄を有します。
1(1) 両政府は、平等及び相互利益の原則に基づいて、交流計画、プラズマ物理学に関する共同研究計画及び共同計画の促進により、核融合の分野における研究開発のための協力(以下「核融合研究開発協力」という。)を維持し、かつ、強化する。
(2) 核融合研究開発協力は、前記の交換公文1にいう核融合委員会の任務に従つて行われる。核融合研究開発協力の分野の細目については、核融合委員会が前記の交換公文4に定められた同委員会の任務の範囲内において討議し、決定する。
2 核融合研究開発協力は、日本国側は文部省、通商産業省及び科学技術庁、合衆国側はエネルギー省(以下一括して「実施機関」という。)が実施する。科学技術庁は、公的機関であつてその年次予算及び事業計画につき日本国科学技術庁長官の認可を受けているもの(以下「指定機関」という。)を当該機関の同意を得て、核融合研究開発協力の実施を援助させるために指定することができる。
3 核融合研究開発協力は、次の形態により行うことができる。
(1) 科学的及び技術的情報の交換
(2) セミナーその他の会合の開催
(3) 実施機関又は指定機関の施設への科学者、技術者その他の専門家の短期訪問
(4) 試験を行うための装置、器具及び材料の交換及び貸借
(5) 実施機関又は指定機関の施設において行われる研究、開発、分析、設計、企画及び実験の諸活動に参加するための科学者、技術者その他の専門家の交流
(6) 相互に合意することがあるその他の形態の協力活動
4 核融合研究開発協力から生ずる工業所有権及びその実施権の公正な配分は、各国の関係法令の範囲内において、実施機関によつて行われる。
5 この取極に基づく活動は、各国の予算及び関係法令に従うことを条件とする。
6(1) 実施機関は、この取極に定めのない細目及び手続を定める実施取決めを行うことができる。
(2) 指定機関及びエネルギー省は、(1)の実施取決めと同じ目的を達成することを意図する取決めを行うことができる。
7 この取極に関するいかなる問題も、両政府間の相互の協議により解決する。
8 この取極は、基本協定が有効である限り効力を有する。もつとも、いずれの政府も、他方の政府に対し、いつでもこの取極を終了させる意思を書面により通告することができるものとし、その場合には、この取極は、当該通告が行われた後六箇月で終了する。
本使は、更に、前記の取極がアメリカ合衆国政府にとつて受諾し得るものであるときは、この書簡及び閣下のその旨の返簡が両政府間の合意を構成するものとみなし、その合意が閣下の返簡の日付の日に効力を生ずるものとすることを提案する光栄を有します。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かつて敬意を表します。
千九百八十三年一月二十四日にワシントンで
日本国特命全権大使に代わつて
溝口道郎
アメリカ合衆国
国務長官ジョージ・P・シュルツ閣下
(米国側書簡)
書簡をもつて啓上いたします。本長官は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。
(日本側書簡)
本長官は、更に、前記の取極がアメリカ合衆国政府にとつて受諾し得るものであることを確認するとともに、閣下の書簡及びこの返簡が両政府間の合意を構成するものとみなし、その合意がこの返簡の日付の日に効力を生ずるものとすることに同意する光栄を有します。
本長官は、以上を申し進めるに際し、ここに閣下に向かつて敬意を表します。
千九百八十三年一月二十四日にワシントンで
国務長官に代わつて
ジェームス・L・マローン
日本国特命全権大使 大河原良雄閣下