データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] START中止に関する米ソ発表

[場所] ジュネーヴ
[年月日] 1983年12月8日
[出典] 外交青書28号,521‐522頁.
[備考] 
[全文]

 (イ) タス報道

 START交渉第5ラウンドは本日,ソ米両国代表団全体会議をもって終了した。新型米ミサイルの欧州配備開始による全般的戦略情勢の変化はソ側にとりSTART交渉における討議の対象たる全ての問題を再検討する必要を生ぜしめている。右に鑑み,同交渉の再開期日は設定されなかった。

 (ロ) ロウニー米首席代表のプレス・ステートメント

 我々は,ソ連が交渉の次回ラウンドの再開期日を設定しないとの選択を行ったことを遺憾とする。我々は,STARTの範囲外の事態の発展により,第6ラウンドの再開期日につき合意することが出来ないというソ連の主張に同意できない。米国としては,STARTの通常の交渉パターンを継続する十分な用意がある。我々は第6ラウンドを明年2月初めに再開することを提案しており,ソ連が米ソ両国及び全世界の利益となるSTARTの再開の期日につき速やかに合意することを希望する。

 米国はSTARTにおいて,米ソ両国が弾道ミサイルの弾頭をそれぞれ約3分の1削減し,5,000発のレベルにまで削減することによって,両国の核兵器を大幅に削減するという合理的な提案を行っている。われわれはまたSALTIIで認められているよりもかなり低いレベルにまで,重爆撃機及び空中発射巡航ミサイルを削減する用意がある。削減は,より不安定化要因の少ないシステムを促進し(戦略的)安定性を高めるビルド・ダウン方式を通じて達成されるであろう。米国の提案は大統領の完全な支持及び米議会の超党派の支持を受けている。我々はこれまでに大きな柔軟性を示し,ソ連側により表明された懸念を考慮にいれて我々の立場を修正した。我々はまた,米ソのそれぞれの利益と優位な点との取引(トレード・オフ)につき話合うことを提案している。我々はこのような(柔軟な)態度で双方に受入れ可能な合意に向け交渉を続ける用意がある。