データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 米国の新貿易政策に関するレーガン米国大統領の発表

[場所] ワシントン
[年月日] 1985年9月23日
[出典] 外交青書30号,478−479頁.
[備考] 要旨
[全文]

1.今後とも自由かつ開放的な市場の促進に委虚する依拠することを確認するとともに,貿易相手国の不公正貿易慣行に対しては断固として対処する。

2.先般の301条ケースに言及しつつ,改めて外国の不公正貿易慣行を注意深く監視し,必要な措置をとるようヤイター代表に指示した。また,財務長官に対しては,外国の混合借款に対抗するため3億ドルの基金を作るよう命じた。

3.米国の貿易赤字の主因は,強い米国の経済的パフォーマンスと諸外国の弱い経済的パフォーマンスとが組み合わされたことによる。5ヵ国蔵相会議の成果に期待する。

4.国務長官に対し日本との間で進められている特定分野の交渉(モス)に時限を設けるように命じた。また,USTR代表に対し,不正商品及び海賊商品についての交渉を早期終了させるよう命じた。また,政府部内に不公正貿易慣行を発見し,有効な対処策を策定するためのタスクフォース(strike force)を作るよう命じた。

5.行政府として自由かつ公平な貿易を促進するため,新法案を提案する。(新ラウンドのための授権,知的所有権の一層の保護,反ダンピング法,相殺関税法の改正[非市場経済対策等],貿易関連法中の紛争解決条項の改正[紛争の早期解決]等)

6.経済成長を阻害し,雇用を減じ,国際貿易を縮小させると信ずる法案には強く反対し,拒否権を発動する。

7.自由な市場への障害を除去するため,ニューラウンドを軌道に乗せるための努力を一層強化する。同ラウンドにおいては,農産物,サービス,技術,投資及び成熟産業について障害が削減されることを期待する。

8.しかし,ニューラウンドが開始されない場合,あるいは,十分な進展が見られない場合には,地域的もしくは二国間の合意の道を探るよう指示する所存である。

9.国内的には,引続き過剰な財政支出の削減,税制改革の推進に努める所存である。諸外国に対しては,ボン・サミットの合意に従い,経済の硬直性とインバランスの除去を通じ経済成長を促進するよう要請。また,債務累積国に対しては,投資制限そのたの規制を除去して経済成長を図るよう要請。

10.米国は諸外国と貿易戦争を求めるものではなく,全ての国の利益となる世界貿易システムの拡大と高揚のために協力するよう呼びかけている。