データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] アメリカの新貿易政策に関する藤波内閣官房長官談話

[場所] 
[年月日] 1985年9月24日
[出典] 外交青書30号,405頁.
[備考] 
[全文]

1.レーガン大統領は自由で公正な貿易体制の維持強化に対する強いコミットメントを鮮明に打出し,このための米国の役割の重視,国際協力の必要性につき訴えておられるが,我が国政府としてもかかる基本的考え方を支持するものであり、米国政府と確固とした協力を行っていきたい。

2.かかる貿易政策に基づいて米国内での強い保護主義への動きが阻止されることを期待する。他方,このためにも我が国は我が国の国際経済社会における責任と役割を遂行していくことが必要であり,アクション・プログラム,日米モス協議等を通じて行ってきた市場アクセス改善努力及び内需拡大努力等を全うしてまいりたい。

3.大統領は国際貿易を拡大展開していくうえで,ガット・ニューラウンドの推進,米国の財政赤字削減努力をはじめとする各国のマクロ経済政策の重視,国際通貨体制の強化等包括的な政策が必要である旨協調しておられるが,我が国政府としても同様の考え方を有しており,これら多様な側面での協力関係を維持していきたい。

なお,ガット・ニューラウンドにつき大統領は交渉が開始されないような場合には地域的あるいは二国間の取極に向う可能性を示唆しておられるが,我が国政府としては米国がこのような方向に向うことのないよう早期にニューラウンド交渉が軌道に乗ることを強く期待する。

4.米国の新貿易政策に基づく通商法301条の適用問題等について我が国政府として主張すべきは主張していくことはもちろんであり,これら個別の貿易問題についても日米両国政府間の冷静な話し合いで建設的な問題解決をはかっていきたい。