データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 経済問題に関する宇野総理とブッシュ大統領の共同発表

[場所] パリ(アルシュ・サミット)
[年月日] 1989年7月14日
[出典] 宇野内閣総理大臣演説集,58−59頁.
[備考] 
[全文]

宇野総理とブッシュ大統領は,相互に関心のある二国間及び多数国間の経済問題についてレヴューを行った。両首脳は,低インフレの下の持続的経済成長,国際貿易の拡大,及び経常収支不均衡の一層の削減を促進するために緊密に協力していくとのコミットメントを再確認した。この関連で両首脳は,経済政策協調についてのコミットメントを再確認し,経済政策協調の枠組みの下で,上記の目的実現に向けて達成されてきた進展に留意した。

また,両首脳は,新しいイニシアティヴを発足させることによって,これまで払われてきている努力を補完することについて合意した。両首脳は,日米構造障壁イニシアティヴについて合意し,国際収支不均衡の削減に貢献していくとの目的に下に,両国で貿易と国際収支の調整の上で障壁となっている構造問題を識別し,解決していくこととなった。両首脳は,両国間の協議に取り組むために,多数の省庁からなる共同作業グループを設置することに合意した。両首脳は,双方それぞれ三名から成る共同議長を任命した。共同議長は,次官級で開催される会合の議長を務めることとなる。この構造問題協議は,米国通商法第三〇一条とは係りなく行われる。作業グループは,一九九〇年の春に中間的評価を行うものとし,両国首脳に対して一年以内に共同最終報告を提出する。