データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日米構造問題協議に関する日本側の措置について(海部内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 1990年4月6日
[出典] 海部演説集,69−70頁.
[備考] 
[全文]

一,私は就任以来,国民生活の質の向上と消費者利益の増進を図り,我が国経済を世界経済とより調和のとれた姿としていくことを政治目標としてまいりました。かかる目標を実現する上で,我が国経済構造の改善は,大きく貢献するものであり,国益にかなうものと信じています。

二,日米両国政府間でも,それぞれ自国の経済構造改善が必要であるとの認識に立ち,昨年七月の両国首脳共同発表を受け,両国で貿易と国際収支の調整の上で障壁となっている構造的問題について,中間報告及び最終報告に向けて,双方通行の作業を行ってまいりました。また先月,私は,ブッシュ大統領との首脳会談で,本協議の進展が日米関係にとって有する重要性について,改めて認識を共にいたしました。このような背景の中で,私は,与党を始め各界のご理解とご協力を得つつ,構造問題協議を内閣の当面する最重要課題として,真剣に取り組んできました。

三,今般,ワシントンにおいて開催された本協議第四回会合において,中間報告が取りまとめられたことは,両国政府の共同作業の成果として評価したいと思います。

私はまた,本件構造問題協議を契機に,日米両国がそれぞれとる措置は,両国のみならず広く世界全体に利益を及ぼし,保護主義の抬頭を防ぎ,世界経済の安定的発展にも資するものであることを強調したいと思います。

四,今次中間報告に盛り込まれた日本側の措置は,困難な国内的な過程を経て到達したものであり,また,今後の実施に当たっては,痛みを伴う場合も予想されますが,私は,これは我が国の国益を推進するために必要であり,かつ,国際社会の責任ある一員としての我が国が負うべき責務であると信じており,これらの措置については,その円滑な実施に向けて十分な配慮をしてまいりたいと考えております。国民の皆さんのご理解とご協力をお願いいたします。