データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本政府のコメ市場部分的開放決定,細川首相談話

[場所] 
[年月日] 1993年12月14日
[出典] 日米関係資料集 1945−97,1256頁.
[備考] 
[全文]

内閣総理大臣談話

平成五年十二月十四日

 本日私は,ガットのウルグァイ・ラウンド交渉全体が妥結するとの前提の下に,農業交渉の調整案を受け入れる決断をいたしました.これにより,コメ以外の農産物については,関税化することとなりますが,コメについては,関税化の特例が認められることとなります.

 このような結果は,遺憾ながら我が国の主張のすべてが取り入れられているわけではないものの,ウルグァイ・ラウンド交渉の成功,ひいては世界経済の発展及び自由貿易体制の維持強化によってもたらされる幅広い国民的利益という観点から,ぎりぎりの決断を下さざるを得なかったことについて,国民各層の御理解を得たいと存じます.

 この結果,我が国農業は新たな国境措置の下において,内外ともに一段と厳しい環境に置かれることになりますが,農家の方々に不安や動揺をきたさないためにも,万全の国内対策を講じてまいります.私は,我が国農業がこうした環境に耐え,その体質を一層強化し,魅力ある産業として確立されるとともに,農業の持つ国土・環境の維持や地域経済の安定といった多面的機能が十分に発揮されるよう,今後,最大限の努力を惜しまない決意であります.こうした考え方の下に,私を本部長とする関係閣僚による緊急農業農村対策本部を設置し,今後の農政の推進に全力を尽くす所存でありますので,国民各層の御理解・御協力を切にお願い申し上げます.

{本文中のウルグァイはママ}