[文書名] 規制緩和及び競争政策に関する日米間の強化されたイニシアティブ(1997年6月)
I. 基本原則
A. 今日益々一体化する世界経済においては、競争の強化及び市場アクセス機会の改善を通じより安価で直ちに入手可能な製品・サービスの選択の幅を広げるという消費者利益に取り組むことが一層重要となっている。消費者利益に応えるとともに、外国企業、外国の製品及びサービスの市場アクセスを改善するため、日本国総理大臣と米国大統領は、1997年4月に、日米間の新たな経済パートナーシップのための枠組み(「枠組み」)の下での規制緩和及び競争政策に関する両政府の対話と努力を強化することを決定した。規制緩和及び競争政策に関するこの強化されたイニシアティヴ(「強化されたイニシアティヴ」)では、この決定を実施することが意図されている。
B. 分野別及び構造的問題の双方を取り扱う強化されたイニシアティヴの目的は、「枠組み」の中で謳われているように、消費者利益を増進するとともに効率性の向上と経済活動の促進を図るため、「競争力のある製品及びサービスの市場アクセスを相当程度妨げる効果を持つ政府の関連法令及び行政指導の改革を扱う」ために、真剣な意見交換を行い、また措置を扱うことである。
C. 強化されたイニシアティヴは、具体的な進展の達成、協議の対象を政府による対応が可能で責任が及ぶ範囲の事項に限定すること、最恵国待遇原則、国際貿易及び投資の流れの拡大に対するセクター別・構造面での障壁の除去等の枠組みの諸原則と合致した、以下に述べるような、上級会合と専門家会合によって実施される。更に、この強化されたイニシアティヴの下で開催される会合は、双方通行の対話という基本原則の下で行われる。
II. 上級会合と両国首脳への報告
A. 上級会合は、専門家会合からの報告をレビューし、それらに対してコメントを行うために設置される。上級会合は、専門家会合から提出される未解決の問題を解決するため、最大限の努力を払う。
B. 上級会合の議長は、外務省外務審議官及びUSTR次席代表が務める。下記III. に記述される専門家会合に参加するその他の主要な省庁は、日米両政府の然るべきランクの者によって代表される。
C. 上級会合は、年一回、又は双方の合意によって更に頻繁に開催される。
D. 規制緩和に関する対話の強化が日米両首脳の決定に基づくものであり、また、規制緩和の推進及び競争政策の積極的実施が日本政府にとり極めて重要な問題であることから、強化されたイニシアティヴの下での進展は、両国首脳へ報告される。
III. 専門家会合
A. 全般
(1)専門家会合は、強化されたイニシアティヴの目的を達成するという任務を負う。(2)当初は、電気通信、住宅、医療機器・医薬品及び金融サービスの4つの分野別会合並びに規制緩和・競争政策等作業部会(作業部会)の5つの専門家会合が、強化されたイニシアティヴに含まれる。(3)その他の問題についての専門家会合は、将来双方の合意によって、強化されたイニシア
ティヴの下、設立され又は他の方法により取り込むことができる。(4)各専門家会合は、会合の日程及び当該会合において取り上げる項目を決定する。(5)各専門家会合の対象範囲内の国内規制を担当する者は、必要に応じ参加する。(6)各専門家会合は、別段の合意がある場合を除くほか、上級会合に対して、書面にて報告
を行う。
B. 分野別会合
両国政府は、以下を含む既存のフォーラムを可能な限り利用する。
(1)それぞれの国におけるサービスの貿易に関する一般協定(GATS)上の基本電気通信に関する約束の実施を含む電気通信分野の規制緩和は、既存の専門家会合において取り扱われ、日本側は外務省と郵政省が共同議長を務め、米側はUSTRが議長を務める。
(2)住宅分野の規制緩和は、日本側は外務省、米側はUSTRが議長を務める既存の林産物小委員会の機会を利用した専門家会合において取り扱われる。住宅専門家会合は、日本側は外務省と建設省が共同で議長を務め、米側はUSTRが議長を務める。
(3)医療機器・医薬品分野の規制緩和は、日本側は厚生省、米側は商務省が議長を務める既存のMOSS医療機器・医薬品フォローアップ会合において取り扱われる。
(4)金融サービス分野の規制緩和は、日本側は大蔵省、米側は財務省が議長を務める既存の金融サービス協議において取り扱われる。
C. 規制緩和・競争政策等作業部会(作業部会)
(1)両政府は、日本側は外務省、米側はUSTRと司法省が共同議長を務める規制緩和・競争政策等作業部会において、規制緩和プロセスの進展を引き続き取り扱う。
(2)分野横断的な問題は、作業部会において次のとおり取り扱われる。
競争政策及び流通等の構造的問題は、日本側は外務省、大蔵省、通商産業省、運輸省及び公正取引委員会、米側は国務省及び司法省が共同議長を務める新たに設置されるサブグループにおいて取り扱われる。
透明性及びその他の政府慣行に関連する問題は、作業部会において取り扱われ、作業部会はこの対話の目的のためには、日本側は外務省、米側は商務省が議長を務める。
(3)他の専門家会合において議論されない規制緩和に関するその他の問題も、作業部会において取り上げることができる。