[文書名] 規制緩和及び競争政策に関する日米間の強化されたイニシアティブ第二回共同現状報告
規制緩和及び競争政策に関する日米間の強化されたイニシアティブ第二回共同現状報告
1998年5月15日、日米両国政府は、日米間の新たな経済パートナーシップのための枠組みの下、規制緩和及び競争政策に関する日米間の強化されたイニシアティブに関する第一回共同現状報告(第一回共同報告)を発表した。第一回共同報告において更なる規制緩和促進の決意を両国政府が再確認したことに基づき、両国政府は、積極的な規制緩和の促進と効果的な競争政策の実施の重要性を認識し、規制緩和及び競争政策に関する日米間の強化されたイニシアティブ(強化されたイニシアティブ)に対し継続して相当なリソースを投入してきた。
規制緩和と競争政策に関する強化されたイニシアティブの2年目には、日米両国政府は、上級会合並びに6つの専門家会合(電気通信、住宅、医療用具・医薬品、金融サービス、エネルギー、競争政策及び流通を含む構造問題と透明性及び政府慣行に関する問題)を開催してきた。双方通行の対話と具体的な進展の達成という原則に則り、日米双方は、多岐に亘る規制緩和項目について見解及び関心事項を交換した。こうした努力の一環として、1998年10月、米国政府は日本政府に意見書を提出した。日本政府もまた、1998年10月、米国政府に意見書を提出した。
日本政府は、1999年3月30日に閣議決定された最新かつ最も重要な規制緩和推進3か年計画の改定を始めとする一連の規制緩和措置をとってきた。この報告書には、「強化されたイニシアティブ」の下での対話に関連する日本国政府の規制緩和及びその他の措置も列挙されている。この報告書には、また、米国の一連の規制緩和措置も記載されている。両国政府は、過去1年間に「強化されたイニシアティブ」の下で達成された進展を歓迎し、規制緩和のための残された提案に取り組むよう継続的な努力を促した。
日米両国政府は、これらの措置は競争力のある製品及びサービスの市場アクセスを改善し、消費者利益を増進し、効率性を高め、経済活動を促進するとの見解を共有する。「強化されたイニシアティブ」の下でとられる措置は、国際的な義務と整合的に、競争的な外国の製品及びサービスに対し無差別待遇を与えるものである。
日米両国政府は、更に規制緩和を促進し、新規事項の検討も含め、「強化されたイニシアティブ」の下で対話を継続する決意を再確認する。「強化されたイニシアティブ」の下、両国政府は、いずれかの政府の要望に基づき、双方に都合の良い時期にこれら措置を取り上げるために会合し、これら措置が「強化されたイニシアティブ」の目的の実現に貢献するように緊密に協力していく。
「強化されたイニシアティブ」の下で日本政府によってとられた規制緩和及びその他の措置
A. 電気通信
1. 相互接続
(1)接続料の引き下げ
(a)NTTの接続料は、郵政省令である「指定電気通信設備接続会計規則」及び「指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則」に基づき算定することとされている。NTTの1998年度の接続料は、これらの省令に基づいて1999年1月22日認可され、結果として引き下げられた。
(b)1999年度の接続料については、算出の根拠となる1998年度の会計結果が明らかにされた後、NTTが接続約款改定を行うことにより変更される。郵政省はこの新しい会計システムの下で、接続料が接続に関係する費用のみから算定されることを確保する。この過程で、日本政府は既存の権限の範囲内において接続料の引き下げを可能な限り促進する政策を継続する。
(c)NTTの1999年度のタリフを認可するか否かを決定するにあたり、郵政省は、小売料金と接続料との関係が地域の競争を損なわないことを確保する。
(d)NTTは、結果としてもたらされるいかなる接続料の値下げも1999年度の接続約款により、1999年度の初めから有効となることを要求される。
(2)NTTドコモとの接続
(a)郵政省は、NTTドコモの設備へのアクセスは、第1種電気通信事業者が負う接続の義務に該当することを確認し、接続協定の認可を検討するにあたって、郵政省は、電気通信事業法に従い、NTTドコモの接続料がコストオリエンテッドであり差別的取扱がなされないことを確保するために審査する。さらに、郵政省は、これらの原則に基づき、当該アクセスに関する紛争を裁定する。
(b)郵政省は、NTTドコモと他事業者との接続の円滑化を図る措置をとることが必要な場合には、2000年度に公平で透明な接続の導入の方法について検討する。2000年度における郵政省の接続制度の見直しにおいて、郵政省は、NTTドコモを「指定電気通信事業者」とするか否かを決定する。
(3)接続協定の簡素化:「多数事業者間接続協定に関する検討会」の結果報告が1999年3月に公表された。事業者は、本報告書で提示された方策を参照することによって、2者以上の事業者間での接続協定を簡素化することが出来る。郵政省は、無差別でコストベースなサービスを提供するクリアリングハウスの利用を妨げない。
(4)陸揚局へのアクセス:郵政省は、設備への装置のコロケーションを含む国際陸揚局への接続の取決めによるアクセスに関する如何なる紛争についても、電気通信事業法に従って裁定を行うことを確認する。
(5)番号ポータビリティ:「番号ポータビリティの費用負担に関する研究会」の結果報告が1999年3月に公表された。この報告に基づいて、地域番号ポータビリティが2000年度を目途とする出来るだけ早い時期に導入される。(6)優先接続:「優先接続に関する研究会」の結果報告が1998年11月に公表された。この報告に基づいて、優先接続が2000年度中を目途に導入される。
2. ネットワークの柔軟性
(1)郵政省は、電気通信事業法が、第一種電気通信事業者に対し、他の第一種電気通信事業者の所有する伝送路設備を使用して、自らのネットワークの一部を構築するための3つの取決め(業務委託、IRU、接続)を提供していることを確認する。それらの取決めに関する現実的、経済的要件及び技術的実現可能性についての第一種電気通信事業者の評価に基づき、それらの取決めのどれを利用するかを電気通信事業法との整合性のもとに選択する際の第一種電気通信事業者の柔軟性に対するニーズを郵政省は認識している。
(2)郵政省は、1999年末までに、それらの取決めの利用が可能であることの理解を促進するための資料を一般に利用できるようにする。当該資料は、法律、命令、審査基準の説明及び既に認められた取決めの例を含むものである。郵政省は、これらの資料を、進展する事業ニーズ及び技術発展を反映させるために毎年更新する。
3. 線路敷設権
(1)日本政府は、線路敷設のために利用可能な土地、施設等を利用するための手続等の現状を調査し、1998年12月25日に検討結果を公表した。この検討結果に従って、政府は、1999年3月26日に関係事業者等による改善措置の調査結果を公表した。
(2)日本政府は、線路敷設に関する苦情を受け付け、関係事業者の協力を得られる範囲内で、必要な事項を調査し、苦情申立者に適宜取りまとめた形で回答する。これらの事例は1999年度中のレビューにおける更なる改善の検討のための参考とされる。
(3)提案された措置が如何に機能するかを検討し、広範な意見を聴取しつつ、今後更なる検討を行う必要がある。1999年度には、関係省庁の参加を得て、レビューが行われる。
(4)1999年度に、日本政府は、引き続き、電気通信事業者やケーブルテレビ事業者による線路敷設の円滑化に努める。この点に関して、レビューグループは改善措置の実施状況を注意深くモニターし、これらの措置が線路敷設権へのアクセスを改善する効果を評価し、内外からの苦情、意見及び質問を検討し、線路敷設権へのアクセスを改善するその他の手段の必要性をレビューする。
4. 電力線信号装置:郵政省は、検討に必要な技術的データに基づき、電力線信号装置に係る技術的要件を見直す検討を開始した。検討を完了した後、郵政省は、電力線信号装置に係る許可範囲を拡大するために必要な規則変更案の作成を1999年半ばまでに完了させる。また、パブリックコメント手続を行い、可能な限り速やかに必要な規則を発布する。
5. KDDの外資規制:日本政府は、KDDの外資規制を撤廃した。
6. ケーブルテレビ事業者の外資規制:日本政府は、1999年3月、ケーブルテレビ事業者に係る外資規制及び外国人役員規制を撤廃するための関係法案を1999年春の通常国会に提出した。
7. 試験及び認証手数料の引下げ:「電気通信分野における規制の合理化のための関係法律の整備等に関する法律」(1998年4月30日成立、同年5月8日公布、1999年3月6日施行)において、電波法の一部を改正し、設計認証制度を創設した。郵政省は、1999年3月8日に、手数料の大幅な引下げ及び審査期間の大幅な短縮を実施した。さらに郵政大臣による承認を受けた外国の適合性評価機関が行う証明の結果を、相互承認協定の締結の有無如何に拘わらず受け入れるという制度も創設された。この制度は、我が国における強制規格に係る制度としては、初めてのものである。
8. パブリック・コメント手続:郵政省は、引き続き、重要な規制の変更に関して、パブリック・コメント手続を行う。
9. 百対地規則(国際中継取決めに係る制限の廃止):国際電気通信役務を提供する第一種電気通信事業者の国際伝送路の設定に関して、取扱対地が百対地以下の場合の第三国中継の制限については、1998年6月に廃止した。
10. ケーブルテレビ:郵政省は、電気通信事業法第31条の4に従い、NTTがそのファイバーの使用について、不合理乃至反競争的な条件を課さないことを確保する。
11. DSL(デジタル加入者回線):郵政省は、1999年1月7日に、漏えいに関する技術基準について関係省令の改正を行ったことにより、全ての電気通信事業者は、DSLサービスの提供が可能となった。この改正を受けて、1999年2月よりDSLサービスを開始している電気通信事業者が1社ある。
B. 住宅
1. 1998年度の進展
(1)日本政府は、性能に基づく基準、2000年6月までに導入される新しい建築材料の統一的な評価制度及び1999年5月1日に導入される中間検査制度を含む効果的で進歩した検査手続きを導入する建築基準法の改正を1998年6月5日に行った。改正建築基準法は2000年6月までに完全施行される。
(2)日本は、改正建築基準法及び施行令や告示等の関連する書類の英訳のための資金を準備するための調整を始めるとともに、一連の公式及び非公式会合を通じて、これらの施行に関する情報の提供を行った。
(3)日本は米国とともに、1997年8月開始された準防火地域内の3階建て木造共同住宅並びに一定の商業及び複合用途建築物の認定手続きを紹介し、促進するための一連の共同セミナーを1998年7月2日より開始した。
(4)国際的及び北米の慣行に基づいた2x4建築の評価試験方法が1998年12月に確立され公表された。
(5)米国製材規格委員会(ALSC)及び米国西部木製品協会(WWPA)の認定マークは、機械応力等級格付材(MRS)については1998年2月に、構造用たてつぎ材(FJ)については1998年6月に、2x4建築に用いることができる資材として認定を受けた。
(6)アンダーライターズラボラトリーを各種防火材料の試験を行う試験機関として認定するために要求される技術者の訓練が1998年に完了した。
(7)日本は、1998年3月にコードレス釘打ち機(IM350/90CTQ)が銃刀法上の「銃砲」に当たらないとの結論に達した。
(8)日本は、住宅専門家会合及び日米加建築専門家会合において合衆国の釘及び釘システムの認証に関し、米国と実施中の対話を継続した。
(9)日本は、住宅専門家会合及び市場参入や住宅分野の基準・規格に関するその他の会議において、米国と実施中の対話を継続した。
2. 新しい進展
(1)1999年4月1日の日本政府によるパブリックコメント手続の導入後、建設省は建築基準法の見直しを施行するために出される政令、省令、告示及び他の関連する規則の制定においてパブリックコメント手続を実施する。
(2)1999年5月1日までに、建設省は準防火地域内の3階建て木造共同住宅並びに一定の商業及び複合用途建築物に関する性能規定を使用するために必要な全ての手続きを開発し、施行する。
(3)日本及び米国は、日本の工務店及び消費者に新たに使用が可能となった米国様式の建築資材及び構法を周知するための共同教育プログラムの対象及び頻度を拡大する。
(4)建設省は、1999年6月までに建築規制における中間検査制度に関し、検査の時期及び内容を含むガイドラインを発出し、施行する。
(5)建設省は、米国から全ての必要なデータが提出された後6ヶ月以内に、米国の機械打ち釘及びステープルの日本国内における使用を承認する。
(6)建設省は、現地調査を実施したのち、特定の必要な認定手続きにより、建設省は、アンダーライターズ・ラボラトリーを防火材料の試験機関として承認する。
(7)農林水産省は、構造用合板の日本農林規格(JAS)について、強度等性能を重視した規格への改正を1999年度早期に実施する。
(8)米国から1999年9月1日を目途として必要な全てのデータが提出されたのち2ヶ月以内に、建設省は、合板の既存の調整係数と一致させ、それにより同一性を達成する観点からOSBの既存の調整係数を再評価する。
(9)建設省は、その制度において輸入製品に対する差別を意図するものではないことを、1999年6月1日までに公に再表明する。
(10)2000年6月までに、日本政府は、建築工法及び建築資材に関し、全国的に受け入れられる試験データの受容及び評価を行う承認・認定性能評価機関制度を制定し施行するとともに、それ以前において潜在的な応募者に対し相談する機会を与えることにより、施行の円滑化を図る。
(11)海外の検査機関にJASの登録格付機関(RGO)及び登録認定機関(RCO)としての機能を付与することを盛り込んだ、JAS法の改正案を今次国会に提出する。
(12)建設省は、1991年のアルミニウム製防火戸の認定手続きに関し、米国から要請された情報を提供する。
C. 医療用具・医薬品
1. 開発の認識
より効果的で費用効率的な治療を患者にもたらすような新製品の導入を阻害することのないよう医薬品と医療用具の開発の重要性を認識する。
(1)薬価制度の見直しに際しては、日本の公的医療保険制度の状況の下で、日本政府は、より効果的で費用効率的な治療を患者にもたらすような新薬の導入を阻害しないよう、医薬品の開発の重要性を認識し、また、市場の役割を認識しつつ、米国の製造業者を含めた関係者と、薬価制度について引き続き研究する。
(2)中医協の承認を条件として、関係者の意見も参考にしつつ、医療用具の新たな機能別償還区分の一定期間内における迅速な創設のための効率的かつ透明な手続きを、できる限り早期に策定する。日本政府は、上記手続きの策定と、機能別区分の見直しやペースメーカーについての機能別区分制度の導入の両方に取り組み、これらの措置を2000年度中に同時に実施するよう取り組む。
2. 外国臨床データの受入
(1)1998年8月に発出された、日米EU医薬品規制整合化国際会議(ICH)のガイドラインに基づく厚生省通知により、新医薬品の承認のために必要な外国臨床試験データの受入れを拡大した。(2)この分野における規制緩和を更に促進するため、日本政府は、
(a)新しい医療用具及び医薬品の承認のために、日本の臨床試験の実施の基準(GCP)又はICH-GCPに適合する又は同等の外国臨床試験データを受け入れる。
(b)医療用具又は医薬品の承認申請書とともに提出される臨床データは国内の専門の学会で発表され又は学会誌に掲載されたものでなければならないとする要件を、2000年4月1日をもって廃止するとともに、暫定的にそのようなデータの掲載、発表を任意のものと扱う。
(c)医療用具の保険償還手続きにおける必要データは、承認手続きのものとは異なることがあることを認識し、臨床データを含めた資料の提出が申請者にとって不必要又は重複する負担とならないよう努める。
日本政府は、ケースに応じ外国臨床データを活用する可能性も含め、申請者に不必要又は重複する負担を課さないよう努めるとともに、手続開始時あるいは必要に応じ手続中に、活用できる外国臨床データの範囲など保険適用申請に必要な資料を文書により明確にすることを含めた改善措置を、できる限り早期に、遅くとも2000年度内に、実施するよう努める。これらの措置は、中医協の承認を条件とするものであり、中医協が上記の措置の承認について検討する際には、厚生省はともに取り組むものとする。また、日本政府は、引き続き、保険適用申請前及び手続中の申請者からの相談に対して適切に対応する。
本件については、必要に応じて更に議論する。
3. 承認手続
(1)2000年4月1日までのできるだけ早い時期に、日本政府は、例えば評価基準、情報の請求、質問及び他のあらゆる照会が書面で行われることを必要とすることにより、医療用具及び医薬品の承認過程において個々の審査官によってなされた判断が審査機関に対して拘束力を持つものとして扱われ、また承認過程を通じて他の審査官に対して拘束力を持つものであることを確保する。
(2)医療用具の承認過程の一貫性及び迅速性の向上を図る。例えば、一部変更承認申請の範囲に関する基準及び臨床試験を必要とする新医療用具と後発医療用具を区分する基準を明確化するとともに、審査機関と申請者の継続的な直接のコミュニケーションを認めることにより、後発医療用具の承認における医薬品医療機器審査センターと医療機器センターの効果的な審査の促進を図る。必要な対応はすでに開始されており、2000年4月1日までにペースメーカー及び整形インプラント(人工骨及び人工関節)についての対応を最初の成果としてまとめることを含め、継続した進展を図る。他の品目についての進展は引き続きMOSSの場で議論する。
(3)厚生省は、中医協の承認を条件として、新技術に対するアクセスを含む様々な観点に立って、迅速かつ透明な手続き等、高度先進医療制度の適正な運用に努める。
(4)日本の新GCPへの円滑な移行を確保するため、1997年4月1日以前に開始された臨床試験において日本の旧GCP又はそれと同等の基準の下で作成されたすべての臨床データなどが、新たな臨床試験の実施を必要とすることなく、新薬承認申請等の要求資料として受け入れられるものとする。
(5)新薬承認審査期間を2000年4月までに12ヶ月に短縮するとともに、現在からその時点まで着実かつ継続的な改善を行う。また革新的な新薬の導入を一層迅速化するため、とりわけ優先的医薬品について承認期間を相当程度短縮する。優先審査の取扱いを受ける承認申請の判断基準及び選定過程の概要については、厚生省通知で既に示されている。円滑で迅速な新薬承認を確保するため、日本政府は、
(a)すでに承認済の用量に包含される用量に関しては、生物学的同等性データ以外に追加の臨床試験データを要求することなく承認する。
(b)2000年4月1日に中央薬事審議会の調査会を廃止し、審査官と申請者の間に継続的かつ直接的なコミュニケーションを認める医薬品医療機器審査センターにおけるチーム審査体制を設ける。また、必要に応じ、申請者は自らの新薬承認申請について、厚生省の上級職員と協議する機会を持つことができる。
(c)2000年4月1日から、中央薬事審議会医薬品特別部会を現行の年4回よりも頻繁に開催する。
(d)1999年度にGood Reviewer Practice(GRP)のガイドラインを起草し、実施する。
(6)1999年4月1日より、ソフトコンタクトレンズと化学消毒剤の適合性評価に関し、ソフトコンタクトレンズのグルーピング制度を導入し、製造業者はグループ内の1種類のコンタクトレンズを試験することによってグループ内のすべてのブランドについて厚生省の承認を得ることができるようにした。
4. 流通システム
日本政府は、サービスの明確化のため、医療用具の製造業者と卸売業者が用いるモデル契約は、業界団体の自主的な取組みであることを認識する。日本政府は、このモデル契約については、公的に認知するものではなく、また、強制するものでもない。
5. 透明性
(1)医療政策の検討における透明性を確保するために、外国の医薬品・医療用具製造業者からの要望に応じて、関係審議会や関係検討会における意見表明を日本の製造業者と同等に行う機会及び厚生省のあらゆるレベルの職員との意見交換を行う機会が設けられた。厚生省は、引き続きこのような有意義な機会を提供する。
(2)厚生省は、政令、省令、基準、告示その他の措置を出す際には、3月23日の閣議決定の手続に従い、パブリック・コメント手続を行う。
6. 栄養補助食品
「いわゆる栄養補助食品の取扱いに関する検討会」においては、業界及び関係者に意見を表明する意義ある機会を提供した上で、2000年4月1日までに、結論が出される予定であるが、その結論に基づき、日本政府は「市場開放問題苦情処理推進本部」(OTO)が1996年3月18日に決定した、ビタミン、ハーブ、ミネラル等の栄養補助食品市場の自由化の推進のための措置の制度化及び実施に向け、最大限努力する。また、非有効成分又は賦形剤の位置付け及び取扱いについて、栄養補助食品における使用の観点から議論される予定である。
D. 金融サービス
我が国の金融システム改革(日本版「ビッグ・バン」)は、1996年11月に橋本前総理のイニシアティブにより開始され、フリー、フェア、グローバルの理念の下に抜本的な金融自由化・規制緩和を行うことにより、我が国金融市場の活性化を目的としている。改革のための殆どの措置を盛り込んだ金融システム改革法は、1998年12月1日より実施された。アメリカ政府はこの進展を歓迎する。
1998年のバーミンガムサミット以来、既に以下の措置が実施されている。
1. SEC基準と同様の不良債権情報開示基準の採用等、金融機関による市場参加者に対するディスクロージャーの強化(1997年4月1日以後開始する事業年度より順次実施)
2. 会員保険会社に対する算定会の料率使用義務の廃止(1998年7月1日)
3. SPC(特定目的会社)を利用した資産証券化の制度を確立することによる資産の流動化の促進(1998年9月1日)
4. 新しい証券投資信託の商品(会社型投信、私募投信)の導入(1998年12月1日)5. 有価証券店頭デリバティブの全面解禁(1998年12月1日)
6. 証券会社の業務範囲制限の撤廃(1998年12月1日)
7. 証券業の免許制から登録制への移行(1998年12月1日)
8. 私設取引システムの導入(1998年12月1日)
9. 証券取引法の公正取引ルールの整備・拡充等(1998年12月1日)
10. 銀行の業務範囲の拡大(投信の窓販の解禁等)(1998年12月1日)
11. 銀行の子会社の業務範囲を金融関連業務全般に拡大(1998年12月1日)
12. 投資者保護基金及び保険契約者保護機構の創設(1998年12月1日)
13. 投資信託委託会社及び投資顧問会社が他の資産運用会社に一任運用を委託することの解禁(1998年12月1日)
14. 証券会社の顧客資産と自己資産の厳格な分別管理(1999年4月1日)
15. 金融サービス関連規制の制定、修正及び廃止についてパブリック・コメント手続を導入(1999年4月1日)
16. 連結会計主体のディスクロージャーへの移行等のディスクロージャーの強化(1998年4月1日以後開始する事業年度より順次実施)
17. 厚生年金基金及び国民年金基金について信託銀行間で、また、適格退職年金について資産運用者間で運用委託先を変更する場合において、証券現物移管を可能とする規定の整備(1999年4月1日)さらに、我が国の金融システム改革は2001年までに完全に実施することとなっており、今後以下の措置を実施する予定。
18. 金融会社(ノンバンク)の社債、CPの発行による調達資金の使途制限の撤廃(1999年5月実施見込み)
19. 銀行・信託銀行の証券子会社、及び銀行・証券会社の信託銀行子会社の業務範囲制銀の完全撤廃(1999年10月1日実施予定)
20. 株式売買委託手数料の完全自由化(1999年10月1日実施予定)
21. 保険会社による銀行分野参入制限の撤廃(1999年10月1日実施予定)、及び保険業と金融他業態の相互参入の完了として銀行による保険分野参入制限の撤廃(2001年3月までに実施予定)
22. 厚生年金基金及び国民年金基金について、資産運用者間(投資顧問会社を含む)で運用委託先を変更する場合において、証券現物移管を可能とする規定の整備(今国会への提出が検討されている年金制度改正法案の国会成立後)
23. 年金福祉事業団の承継基金について、十分なリスク管理体制が構築された場合には、資産運用者間(投資顧問会社を含む)で運用委託先を変更する場合において、証券現物移管を可能とする規定を整備、及び、年金福祉事業団の承継基金の資金運用について、リミテッド・パートナーシップ・スキーム以外の新たな信託スキーム(特定信託)を導入(年金資金運用関連法案の国会成立、及び年金福祉事業団の承継基金の設立後)
E. エネルギー
1. 高圧ガス保安法
(1)日本政府は、高圧ガス保安法上のコンプレッサー及びその他の機器に関し、ASME(アメリカ機械エンジニア協会)基準のSectionVIIIDivisionIUG-101(n)(1998)を、設計圧力の4倍加圧試験に代わる応力測定試験に相当するものとして、受け入れる。
(2)日本は1998年3月に高圧ガス保安法上の申請要件を簡素化し、検査合格証及びその他の証明書が提出される場合には、強度計算書の添付を省略した。日本政府は米国及びその他外国企業に対し、必要に応じ、高圧ガス保安法上のコンプレッサー及びその他の機器の日本への輸出申請プロセスの簡略化の実施に関する質問に答えることとする。
2. 電気事業法
日本政府は、以下の措置を採用すべく電気事業法改正法案を国会に提出した。2000年7月に施行する予定。
(1)電気工作物の溶接基準の性能規定化を図る。
(2)原子力発電所を除く電気工作物の基準適合性の確認を設置者(製造事業者ではなく)による、自己確認制度とする。
3. 既存発電設備のアップグレード
日本政府は、原子力発電所を除く全ての電気工作物の工事計画(設置又は供給能力増強を含む)について認可制から届出制に移行する電気事業法改正法案を国会に提出した。2000年7月に施行する予定。
4. 非常用発電設備の認証
日本政府は、
(1)2000年度末までにISO8528と日本の消防法令の差異に関する研究を終え、安全性を十分に考慮しつつ、可能な範囲で国内基準をISO基準と整合させる。
(2)1998年の公正取引委員会の報告書において記載された問題点に沿って、非常用発電設備の認証手続きの簡素合理化を図るという、1998年8月に(財)日本内燃力発電設備協会が行った決定を歓迎する。
5. 給油所および給油ポンプ
日本政府は、
(1)1999年度末までに、給油ポンプの危険範囲の基準についての検討を終えることとしている。そして、クレジットカード読み取り機のようなPOSシステムを備えたセルフ方式の給油ポンプが円滑に導入されるように、安全性を十分に考慮しつつ、危険範囲の基準を国際的に認められている種々の基準との整合性を図りながら、必要に応じて改めることとする。
(2)給油ポンプの製造に使用される電気部品について、ULが指定外国検査機関として労働大臣により指定された後に、IEC基準に整合する範囲で、ULによる認証を受け入れることとする。
(3)指定製造事業者の指定を受けるための手続とISO9001/9002の取得手続の重複について、省略が可能かどうか検討を開始し、遅くとも2000年末までに結論を得る。
6. エネルギー分野ーのリストラ
日米エネルギー規制緩和専門家会合は1998年5月に設立された。日本政府及び米国政府は日本のエネルギー分野の規制緩和計画及び米国における進行中のリストラに関し意見交換を行い、エネルギー分野における規制緩和の目的は、より競争的な市場環境を導入することであり、それにより、一層効率的、合理的かつ低価格のエネルギー供給が図られるとの認識を共有した。両国政府はまた、エネルギー分野の規制緩和の実施に当たっては、公共の福祉、エネルギー安全保障及び環境への潜在的な影響に留意すべきとの点でも認識が一致した。両国はエネルギー分野における規制緩和の現状及び今後の展開につき理解を深めた。
F. 流通
1. 通関/輸入手続き
(1)日本政府は、1998年に電子メールを使った事前教示制度を確立した。
(2)日本政府は、1999年度までを目途に、外国為替及び外国貿易法に基づく輸出入許可及び承認の手続きをEDI(電子データ交換)化する。
(3)1999年度の措置:日本政府は、
(a)海上コンテナ貨物について、貨物の保税地域への搬入確認と同時に輸入許可の取得を可能とする制度を導入し、
(b)現在開発が進められている外国為替及び外国貿易法に基づく輸出入システム及び運輸省の港湾諸手続を処理する電算システムについて、NACCSとの連携を図るべく検討を完了し、また、
(c)国際貿易の円滑化のための、調和、簡易化及び合理化された貨物処理システムの利用を促進する改正京都規約のWCOでの採択を支持する。
(4)日本政府は、税関における取締り及び通関手続きの迅速性の観点から問題がなければ成田空港周辺に保税倉庫の許可を行うとする、1995年3月の「規制緩和推進計画」についての閣議決定を再確認した。
2. 小売及びサービス
(1)大規模小売店舗に関する基本的な政策変更:日本政府は、大規模小売店舗の開店・事業活動に関する需給調整を廃止し、周辺地域の生活環境を保持する観点から、大規模小売店舗立地法(「大店立地法」)を導入した。同法を2000年6月1日より施行し、現行の大規模小売店舗法を同日廃止する法的措置が講じられている。
(2)大店立地法の運用にあたり、日本政府は、一貫性があり、透明で、予測可能な法の運用を促進するため、以下の措置をとる:
(a)通産省は、大型店設置者が交通、騒音等の生活環境の保持の観点から配慮すべき事項を、ナショナルスタンダードとして、詳細に定める「指針(ガイドライン)」を1999年前半を目途に策定する。また、その指針は、地方自治体が意見・勧告を行う際に用いる、ナショナルスタンダードとしての詳細な判断基準ともなる。
(b)通産省は、大店立地法の施行に必要な、政省令、指針等を策定する際には、1999年3月23日に閣議決定された「規制の制定又は改廃に係る意見提出手続(パブリックコメント手続)」に従うこととする。
(c)大店立地法の下で大規模店舗の設立や拡張に関して地方政府及び出店者に要求される全ての要件と手続は、大店立地法、政令、省令等により規定される。
(d)通産省は、
(i)地方自治体による大店立地法の運用が法の目的を損なうものとならないよう注視する;
(ii)同法の適用に関する関係者からの苦情を受け付け、その解決の円滑化を図るコンタクトポイントを省内に設置する;
(iii)同法の適用に関する関係者からの苦情の解決を円滑化するために、地方自治体に対し、必要に応じ、地方自治法に基づく、技術的助言・勧告を行う等の適切な措置をとる。
(3)1998年の都市計画法の改正の内容は、特別用途地区の「類型の自由化」である。特別用途地区の指定にあたっては、地方自治体は、提案された案の縦覧を行い、公聴会を開催し、関係者に意見を述べることを認め、都市計画地方審議会に対し、提出された意見を客観的かつ公正に審議することを求める。これらのパブリックコメントに基づき、地方自治体は、透明で中立的な決定を行う。
(4)酒類
酒類小売業免許に係る需給調整規制について、人口基準は1998年9月から段階的な緩和を着実に行い2003年9月1日をもって廃止し、また、距離基準は2000年9月1日をもって廃止する。
3. 運輸
(1)トラック運送業
(a)トラック事業の運賃・料金規制について、より自由な運賃・料金規制にする方向で検討し、1999年度末を目途に結論を得る。
(b)トラック事業の営業区域について経済ブロック単位に拡大した。
(2)倉庫業
倉庫業の参入許可制については政府の規制を最小限にする方向で、また、料金の届出制についてはより自由な制度とする方向で、それぞれ検討し、できるだけ速やかに結論を得る。
(3)貨物運送取扱業
自動車(トラック等の貨物自動車)に係る貨物運送取扱事業の運賃・料金の届出については、貨物自動車運送事業と対応する形で、原価計算書を不要とする範囲を1998年度に基準となる運賃の上下20%の範囲まで拡大した。
(4)港湾運送事業港湾運送事業の免許制を許可制に、料金認可制を届け出制にすべきであると同時に港湾運送の安定化等を図るための各施策を実施及び検討すべきであるとした1997年12月の行政改革委員会最終意見を踏まえ、1998年5月より、運輸政策審議会海上交通部会港湾運送小委員会において審議を行い、同年12月中間報告を行った。同中間報告に対してパブリック・コメント手続を実施。
G. 独占禁止法及び競争政策
1. 競争政策の唱導
(1)公正取引委員会は、日本の上位2,372社に対し独占禁止法遵守プログラムについての調査を実施し、1998年6月にその調査報告書を公表した。
(2)公正取引委員会は、いわゆる「民民規制」に関し、3件の実態調査を実施するとともに、独占禁止法違反に対して積極的に取り組んだ。(3)日本政府は次の事項を実施する。
(a)1999年4月から、独占禁止法を遵守する方法を開発するための企業による自主的な取組を支援するために、公正取引委員会は、公正取引協会が現行の「独占禁止法コンプライアンス・プログラムの手引」を改定し、充実させた、モデル的な独占禁止法遵守プログラムを策定することに対する支援を開始する。
(b)公正取引委員会は、1999年度末までに、事業活動のプランが独占禁止法に適合しているかに関する事業者や事業者団体からの相談を容易にするために、地方の商工会議所と協力して「独占禁止法相談ネットワーク」を構築する。
(c)公正取引委員会は、日本における重要な規制緩和や競争政策に積極的に取り組むため、公聴会を含む、適切なフォーラムを利用する。
(d)独占禁止法及び競争政策の観点から、競争を促進するために、公正取引委員会は、経済法令案及び規制措置案について他の政府機関と積極的に調整を行うとともに、適当な場合には、閣議の機会に公正取引委員会の考え方を表明している。公正取引委員会は、また、政府機関により設置又は主催されている審議会又は研究会において積極的に意見を表明している。公正取引委員会はこれらの種類の問題に対し積極的に取り組み続けると堅く決意しており、2001年の中央省庁再編後も原則としてこの取組にコミットし続ける。
(e)競争を促進するために、公正取引委員会は,参入規制及び需給調整規制を積極的に見直し、適切な場合には、関係省庁に対し、当該規制の廃止を公に提案する。
(f)政府機関による行政指導を通じての市場への介入は競争をゆがめる効果をもたらす可能性があるとの認識に基づき、関係省庁は、「行政指導に関する独占禁止法上の考え方」の趣旨を十分に認識し、政府規制が競争制限的な行政指導に取って代わられることのないようにするために、公正取引委員会と事前に所要の協議を図る。
(g)競争を促進するために、公正取引委員会は、中央政府及び地方政府レベルで存在する競争制限的規制を見直すことや、適切な場合には、当該規制の廃止又は改正を提案することによって、競争政策の唱導に積極的に従事する。
(h)競争を促進するために、政府規制の撤廃及び緩和に際し,競争を制限するいわゆる「民民規制」が従前の政府規制に取って代わられることのないようにすることが、必要不可欠である。この観点から、公正取引委員会は、事業者団体等による市場参入規制が独占禁止法違反となる場合には、これを積極的に排除する。公正取引委員会は、また、経済や事業活動の実態調査を行い、競争を制限する民間取引慣行がみられる場合には、積極的にこれを是正し、行政指導がそのような民間取引慣行の後だてとなっていることが判明した場合には、関係省庁に対し当該指導を撤回し、また、行わないようにするよう積極的に要請する。
(i)独占禁止法の運用に対する理解及び運用の透明性を高めるために、公正取引委員会は、ガイドラインの作成・改定及び事業者又は事業者団体の活動に関する主要相談事例の公表により、引き続き、独占禁止法の規定を容易に理解し得るようにするための努力を行う。1999年2月に、公正取引委員会は、特許・ノウハウライセンス契約に関するガイドラインの改定原案を発表し、ガイドラインの最終版発表前に、利害関係者からのコメントを求めている。
2. 民事的救済制度
(1)私人による差止請求制度に関する通産省の研究会は,1998年6月、最終報告書を発表した。同報告書は、私人に対し、不公正な競争行為に対する差止請求を認めることが必要であると結論付けた。
(2)民事的救済制度に関する公正取引委員会の研究会は、1998年12月、私人による差止に関する中間報告書を発表した。同報告書は、独占禁止法違反行為に対する私人の差止請求については、いくつかの具体的事項についてさらに検討することを条件として、独占禁止法の枠組におくことが「適当」であろうと結論付けている。
(3)日本政府は,
(a)民事的救済制度について、公正取引委員会と通産省のそれぞれの研究会により発表された報告書を踏まえつつ、独占禁止法違反行為を含む不公正な競争行為に対する民事的救済制度の整備を図る方向で更に検討を積極的に進める。また、
(b)公正取引委員会の研究会の最終報告書を遅くとも1999年12月末までに得た上で、1999年度中に結論を得ることを目指す。
3. 反カルテル執行
(1)日本政府は、
(a)1994年の「公共事業の入札・契約手続の改善に関する行動計画」におけるV. 6(1)「入札書への記載」の完全な遵守を確保するため、必要な措置をとった。この結果、中央公共工事契約制度運用連絡協議会に参加している12省庁・16政府関係機関すべての入札書において、入札参加者に、独占禁止法等に抵触する行為を行ってはならないと認識していること及び現に行っていないことを確認させている。
(b)入札過程における透明性を高めるため、公共事業に関し落札者が公表された後に、予定価格を公表することとしており、既にほとんどの発注機関で実施されている。
(2)米国政府は、公正取引委員会が,1999年2月に、各社のシェアを決定する共謀行為でダクタイル鋳鉄管製造業者3社を検事総長に刑事告発したことに留意する。1999年3月、公正取引委員会は、当該製造業者の当該受注業務に従事していた10名を追加告発した。
(3)米国政府は、公正取引委員会が、1998年度において、27件の独占禁止法違反事件に対し、法的措置を採り、そのうち19件が価格カルテルや入札談合などの不当な取引制限であったことに留意する。
(4)ハードコア・カルテルに対する効果的な措置に関するOECD勧告(1998年3月25日)を推進するために、日本政府は次の事項を実施する。
(a)公正取引委員会は、価格カルテルや入札談合などの独占禁止法違反に対し、積極的な独占禁止法の執行を継続する。重大かつ悪質な独占禁止法違反に対し、積極的に刑事罰を求めて告発を行うという1990年の公正取引委員会の方針に基づき、公正取引委員会は、こうした違反に審査活動の努力を向け続け、積極的に刑事告発を行う。
(b)公正取引委員会は、関係方面の理解を得つつ、審査能力を強化するために、一層の努力を払う。公正取引委員会は、審査局の職員に対する研修プログラムの改善,審査局の職員の専門技術の向上、及び改善を図る観点からの審査手続に関する規則の見直しにより、審査能力を強化するために一層努力する。
(c)入札心得は、発注者として公共事業の入札における入札条件を示したものであり、これに従わないことが直ちに法令違反となるものではないが、入札心得に従わなければ当該入札を無効とすることがあり得ることについて、米国政府は理解する。
建設省は、上記米国政府の理解を前提条件として、入札心得第4条の3に以下の2項を追加する。「2入札参加者は、入札に当たっては、競争を制限する目的で他の入札参加者と入札価格又は入札意思についていかなる相談も行わず、独自に価格を定めなければならない。3入札参加者は、落札者の決定前に、他の入札参加者に対して入札価格を意図的に開示してはならない。」
4. 流通
(1)公正取引委員会は,
(a)1997年7月のカラー写真フィルム及び印画紙に関する公正取引委員会の実態調査における指摘に対応する関連事業者による措置の実施についてのフォローアップ調査の結果を1998年6月に公表した。
(b)現在の競争状況及び公正取引委員会の指摘に対する企業の対応状況を評価するために、1998年夏、板ガラス業界のフォローアップ調査に着手した。
(2)公正取引委員会は,
(a)最近の変化に照らし小売流通分野やその他の分野において、「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」にしたがって、注視し、独占禁止法を積極的に運用する。
(b)できる限り早く、板ガラスの実態調査を終了し、その結果を公表する。
5. 独占禁止法適用除外
(1)内閣は、1999年2月16日、不況カルテル、合理化カルテル及びその他の独占禁止法適用除外制度を廃止する法案を、第145回通常国会に提出した。
(2)公正取引委員会は、将来の状況の変化を考慮しつつ、適用除外を必要最小限の範囲内にできる限り限定するために,継続的な見直しが必要であるとの観点から、今後も独占禁止法適用除外制度の見直しを検討する。
6. 合併政策
(1)米国政府は、公正取引委員会が、1998年12月、株式所有と合併に関する最終的なガイドラインを作成・公表したことに留意する。
(2)公正取引委員会を通して日本政府は、
(a)合併審査における事前相談制度の透明性を高めるために、企業からの事前相談の主要事例を適時に公表する。
(b)より多くの人員及びリソースを合併事案に投入するよう努める。
7. 公正取引委員会の予算,リソース及び組織
(1)日本政府は、公正取引委員会の予算を1.1%、人員を10人増加させる1998年度予算案を国会に提出し、1998年4月に、1998年度予算案は国会によって承認された。
(2)日本政府は、公正取引委員会の人員を審査局に中心に9人増加し、予算を2. 8%増加することを提案する1999年度予算案を国会に提出し、1999年度予算案は1999年3月に国会で承認された。
(3)日本政府は,2001年に公正取引委員会が総務省の外局となる際に、特に人事面及び政策決定面において公正取引委員会の独立性を維持するために必要なあらゆる措置を採る。
H. 法律サービス
1. 外国法事務弁護士(外国法コンサルタント)と弁護士による共同事業の目的の拡大、外国法事務弁護士に関する職務経験要件及びその他の諸規制の緩和を内容とする外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部改正が、1998年8月に施行された。
2. 日本政府は、日本弁護士連合会(日弁連)に対し、虚偽ないし誤導にならないことを確保するための合理的な必要最小限度の規制を除き、1999年度内に、弁護士による業務広告の禁止を撤廃するよう要請する。
I. 自動二輪
高速自動車国道における自動二輪車の最高速度規制について、日本政府は交通事故の分析等の要素を考慮しつつ、交通安全の観点からどのような規制が適切か検討している。日本政府は1999年度中を目途に検討を終え、この結果を踏まえ、2000年度中に必要な措置をとる。
J. 透明性及びその他の政府慣行
1. パブリック・コメント手続
(1)総務庁は規制の設定又は改廃に係る意見提出手続(パブリック・コメント手続)を取りまとめの上公表し、1998年11月5日から12月10日までの間、広く一般国民・事業者の意見・情報を募集した。提出された意見・情報を検討した後、パブリック・コメント手続は1999年3月23日に閣議決定され、新年度初頭(1999年4月1日)から実施されている。
(2)パブリック・コメント手続を実施するに当たり、日本政府は中央政府機関が手続を可能な限り広範囲に亘り適用するよう最大限努力する。
(3)パブリック・コメント手続が適切に実施されることを確保するために、総務庁はその実施状況につきフォローアップを行い、その結果を公表する。
(4)政府全体に係るパブリック・コメント手続の採用及び実施までの間、審議会を含むいくつかの政府機関は、重要な規制又は報告を公表する前には自発的にパブリック・コメント手続を採用してきている。
2. 申請手続
(1)申請手続の簡素化、迅速化総務庁は、免許、許可、承認等に関する審査処理期間を短縮化するための見直しを行い、結果を1998年9月に公表した。3,602ある申請手続のうち、1,380事項の審査処理期間について短期化され、そのうち580種類については標準処理期間が半減された。
(2)審査基準日本政府は、規制緩和推進3か年計画(1998年3月31日閣議決定)に沿って、裁量的要素を最小限にするとともに、審査基準を明確化、具体化、数値化する目的をもって免許、許可、承認等の審査基準の見直しを行っている。
3. 行政手続法の実施
総務庁は、1994年10月の行政手続法の施行以降、同法の施行状況に関する調査を実施し、審査基準の設定状況等その施行状況に関する情報を収集してきたところである。日本政府は、規制緩和推進3か年計画に沿って、引き続き行政手続法の遵守を促進し、申請手続に関連する行政手続及び行政指導の透明性・明確性を高める。また、行政手続法が必要とする条件の理解を高めるため、「行政手続法、許認可等の審査、届出、及び行政指導に関する共通ルール」と題するパンフレットを作成し配布した。
4. 情報公開法
日本政府は1998年3月に、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律案」等の関連法案を国会に提出した。現在、国会で審議中の情報公開法案は、特殊法人の情報公開に関する法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする旨の規定を含んでいる。
5. 地方公共団体の調達における総合評価方式
政府は、地方公共団体の調達における落札者決定方式の一つとして、総合評価方式を導入することができることとするため、地方自治法施行令の一部を改正する政令を1999年2月に閣議決定した。同政令は直ちに施行された。
「強化されたイニシアティブ」の下で米国政府によってとられた規制緩和及びその他の措置
A. 規制緩和・競争政策作業部会にて取り扱われる問題
1. 政府調達:バイアメリカン法
米国政府は、日本政府と、外国の製品およびサービスの米国市場アクセスに影響する「バイアメリカン条項」に関して対話を継続する。
2. エクソン・フロリオ条項
米国政府は、日本政府に対し、エクソン・フロリオ条項における国家安全保障条項のクラリフィケーションを提示した。
3. メートル法
商務省の国立標準技術研究所(NIST)は、メートル法のみの表示のオプションを可能とするよう、公正包装および表示法の改正を求めることを検討する。計量に関する全米会議は、製造業者に対し、州政府のみによって規制されている商品に関し、メートル法のみの表示のオプションを許可するため、包装・表示に関する統一規則の改訂をめざす。
4. 再輸出規制
米国は、商務省による関連の規制の下で、日本に対して、許可可能再輸出(例外規定)およびデミニマス・ルールを適用する。商務省は、日本との間で、再輸出管理に関する日本側の懸念について議論を継続する。
米国は、日本の輸出業者に対し、何が現行の米国再輸出管理規制の対象となる米国産製品、技術、ソフトウェアであるのかについて周知するための更なる措置をとる用意があり、政府のホームページやパンフレット等により周知させる。この点に関し、米国は、日本の輸出業者のために、輸出管理規制に基づく義務に関する指針を改善する。
5. 関税関連
米国ITC(国際貿易委員会)は、米国の関税構造の簡素化を目的とする関税率表の検討を進めている。簡素化の検討は時計を含んでおり、2000年夏までに終了する。
6. 時計の原産地表示規則
米国政府は、日本政府に、関連する行政規則を提示することにより、時計バンドへの原産地表示の根拠規定を明示した。
7. 繊維製品に関するNAFTA原産地規則
米国政府は、繊維製品に関するNAFTA原産地規則を見直すべきとの日本政府の要望を他のNAFTAメンバーに伝えた。また、今後も日本政府と本件に関し議論を継続する。
8. 1992年自動車ラベリング
国家高速交通安全委員会(NHSTA)は、現在、自動車ラベリング法の下でのラベリング制度の影響についての評価を実施中。また、本評価の一環として、日系企業を含む製造業に関する調査を行った。NHSTAは、2000年夏までに、本評価につき、全ての利害関係者からパブリックコメントを招請する。
9. CAFEスタンダード
米国政府は、日本政府との間で、本件に関する日本の懸念について議論を継続する。
10. アンチダンピング措置
日米両国は、WTO・アンチダンピング委員会の活動および当該委員会の機能の適切な利用についての重要性を認識する。
11. ビザ/移民
(米国政府の)担当当局は、米国の公立高校過程の終了を希望する外国人駐在員の子弟が被っている困難を軽減するための方法を検討している。
12. 反トラスト法適用除外
1998年10月、米国政府は、カート・フラッド法の成立に伴い法律上設けられた野球業界における反トラスト法適用除外制度の範囲を縮減した。司法省においては、反トラスト法の適用除外制度の見直しは現在進行中の案件である。
13. 法律サービス
重要な国際的商取引が行われている州においては、外国法コンサルタントについての規則が定められている。米国は、このような規則を有していない州が、これを採用することを支持する。
B. 住宅
米国は、2000年に完了する予定の、米国内の性能規定基準を作成し、公表するための国際基準会議における活動を支援する。その努力の中で、日本や他の関心国がこれらの活動や米国内での建築基準の分野の他の活動に参加することを支持する。
C. 電気通信
1. インターネットサービスに係る国際費用負担の在り方:米国政府は、インターネットのトラフィックフロー、コスト構造を調査するAPECの努力に積極的に参加する。
2. 国際ベンチマークに関するFCC規則:米国政府は、コストを上回る計算料金の問題に対処するITUその他のフォーラムにおける多国間の議論に積極的に参加し、貢献する。
3. 申請手続:1999年3月に、米国政府は、簡素化された認証についての期間の短縮等国際通信サービスの申請手続を改正した。さらに、1999年2月に、米国政府は申請手続の簡素化の手段として、申請書の電子的提出についてのパイロットプログラムを導入した。
4. インテルサットへのアクセス:連邦通信委員会(FCC)は、米国におけるインテルサットへのダイレクトアクセスを認める適切な条件を考慮した規則制定案を発表した。
5. 州レベルの規制:商務省電気通信情報庁(NTIA)は、州レベルの規制の問題に関する懸念を取り上げるための機会を日本に提供するためのプロセスを開始した。
D. 医療機器・医薬品
1. 食品医薬品庁は、様々なやりとり等を通じて、GMP相互承認を促進するために相互信頼醸成過程を促進するべく、厚生省とともに取り組んできた。この協力過程は、今後も積極的に推進される。加えて、食品医薬品庁及び厚生省は、日米EU医薬品規制整合化国際会議(ICH)のような国際的な整合化に関する会合においても積極的に取り組んでいる。
2. 食品医薬品庁は、現在、510(k)の機器のための90日間の審査期間を満たしており、未処理案件をなくしてきた。食品医薬品庁は、生物製剤評価・研究センター(CBER)所管のいくつかの機器の審査期間において相当の遅延があることを認識し、これらの申請につきより早期の審査を目指して取り組みを続ける。
E. 金融サービス
1. 外国証券従業員に対する簡素化された試験の導入:証券取引委員会は、ニューヨーク証券取引所、全米証券業協会、及びアメリカ証券取引所における外国証券従業員に対する簡素化された試験案を、1996年1月11日、1996年4月12日、1997年9月15日にそれぞれ承認した。
2. 外国銀行に対する検査:連銀は、FBOプログラムに参加している他の監督機関とともに、検査方法の効率性と調和の改善に引き続き努めている。例えば、1998年8月25日に連銀は、通貨監督庁及び連邦預金保険公社とともに暫定規則を公表し、外国銀行の支店及び代理店(例えば、総資産が2億5千万ドル未満で経営及び資本状況が良好なもの)について、検査周期を12ヶ月毎から18ヶ月毎に伸ばす案に関し、パブリック・コメントを求めた。
3. 市民権要件:国法銀行法第72条は、「国法銀行の取締役は米国市民でなければならない」と規定している。通貨監督庁免許の国法銀行又は外国銀行子会社の場合、通貨監督庁長官はその裁量により、取締役総数の過半数未満であれば市民権要件を免除することができる。通貨監督庁は市民権要件による弊害が最小限に止まるような方法で適用していく。市民権要件を有する多くの州も、各々の州法にしたがいつつ、市民権要件を免除している。
4. 金融近代化法(HR10):内国民待遇及び競争機会均等の原則は、先の議会で議論された金融近代化法案に盛り込まれていた。米国政府は、将来のいかなる法案にもこれらの原則が盛り込まれるよう努力する。
5. 外国銀行支店に対する監督:州銀行監督当局者協議会は、外国銀行及び外国監督当局とともに、複数の州で活動を営む外国銀行に対する監督の協調と統一性の改善のための2つの合意文書を作成した。これらの合意は切れ目のない柔軟な監督方法を提供すること、及び規制に伴う負担と費用を最小化することを目的として作成されている。これらの合意は、外国銀行が活動を営んでいる全ての州、複数の州で活動を営む全ての外国銀行、及び連邦レベルの銀行監督者によって署名されている。
6. 証券会社に対する規制:証券市場改善法により、連邦と州の間の証券登録要件の重畳が最小化されるとともに、殆どの証券について、州が販売を制限したり条件を付すことが禁止された。
7. 銀行の州際業務:1997年6月1日より、複数の州に子会社を有する銀行持株会社及び外国銀行が、合併または統合により、これらの子会社を州際支店を有する単一の銀行にすることが認められた(但し、州際支店ネットワークを明示的に禁止している州を除く)。
8. レギュレーションYに規定された活動リストの拡大:1997年、連邦準備理事会は、銀行持株会社及び外国銀行が従事することのできる活動対象(レギュレーションYに明示)を拡大し、リスクのない元本、私募、私設取引システム、及び以前は理事会の個別の命令によってのみ認可されていた他の活動を認めた。また、理事会は、銀行持株会社または外国銀行がレギュレーションYに明示された活動に参入するための、またはそのような活動に従事している会社を買収するための簡素化された申請・届出手続を採用した。
9. レギュレーションKの改正:1997年12月、連銀は、米国銀行の海外での営業及び外国銀行の米国での営業について規定しているレギュレーションKの改正を提案した。特に、この改正によって、非銀行業務に関する制限が一部免除される条件を満たしているか否かを決定するための資格外国銀行資格の算出方法が変更されることとなる。